第34話「スターバックスの優雅な朝」
ある日の平日・・・
いつもより1時間も早く目覚めてしまったしゅんち。
2度寝するには短すぎる。何かをするにもなんだか中途半端。そんな1時間である。
早起きは三文の徳とも聞く。
折角起きてしまったのならば何か有意義な時間にしたいと布団の中で考えた。
そうだ、スタバに行こう。(JR東海)
通勤の道すがらにある早朝のスターバックスに行こうと思ったしゅんち。
早朝からおしゃれ空間で美味しいSクラス級のコーヒーを飲みながらボーっとすればきっと素敵な1日が待っているはずである。
こうして布団を飛び起き、支度をしていち早くアパートを飛び出すしゅんちであった。
・・近所のスタバのオープンは7時である。
7時10分に店に着き、一番乗りと思いきや駐車場にはすでに1台先客である。
白の軽トラ。
荷台には資材や工具や機材などが積まれてる。
これは間違いなく夜勤明けの工事現場のおっちゃんに違いないだろう。
しかし、おっちゃんが朝から優雅にコーヒーをたしなむ姿は想像しにくい。
さてさて、おっちゃんはどんな優雅な朝を迎えているんだろうか。
ウイーン
店員「いらっしゃいませ!スターバックスへようこそ!」
しゅ「・・・。」
この店は、天井は高くて広々としていてテーブルよりもソファーが多い店舗である。
よりくつろぎやすい空間である。
そして店を入って目の前の店内中央のソファに
おっちゃんがめっちゃ寝そべってる。
うつ伏せで寝転がり、頭のあたりには雑誌やらメガネやらが散乱している。
まるで健康ランドでこれからマッサージでも受けるかのようである。
うっかりよそのお宅のリビングに間違えて入っちゃったかと錯覚まで起こしそうである。
コーヒー店でソファーに寝っ転がってくつろぐ行為・・・
これはマナー的にセーフなのだろうか・・・?
いやアウトだろな。(きっぱり)
しかし店内にはしゅんちと寝そべったおっちゃんだけである。
別にしゅんちさえ気にしなければお咎めはないだろう。
むしろ、こんなにくつろげるソファ置いとく方が間違っているのではないかといったところだろうか。
まあ、いっか。
寝そべるおっちゃんが気になりながらもしゅんちは自分のコーヒーを受け取る。
そしておっちゃんを尻目に窓際の席に座りまったりモード突入である。
はぁ~・・・
深いため息を付く。
やはりスタバのコーヒーは美味い。
毎日飲んでるセブンカフェも好きだが、一段階上を行く美味しさである。
・・・
窓から見える慌ただしい朝の風景。
国道を行き交う急ぎ気味の通勤途中の車。
何となく足取りが重そうな通学途中の学生達。
慌ただしい現実世界を眺めながら、ボケーっとできるなど最高の贅沢というものである。
これか、
早起きは三文の徳とやらは。
フト、さっきまで寝そべってたおっちゃんがむっくり起き上がりカウンターに立つ店員に話しかけた。
おっちゃん「この店いいね~!」
店員「ありがとうございます~」
おっちゃん「ここのお店の店員の対応は素晴らしいってアンケートに書いといたからよ!」
店員「え、そうですか!ありがとうございますぅ~」
おっちゃん「本部から何か褒められることがあったら俺のだからよ!がははは」
そう言うとまた寝そべるおっちゃん。
ありがたいんだか迷惑なんだか。
サービス業とは大変だなぁ・・・と思いながら、神対応のお姉さん店員を横目で眺める。
そして残りのコーヒーを飲み干した。
さて、会社に行くか。
こうしてしゅんちのいつもの1日が始まるのだった・・・。
・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
第34話「祭典委員長の大仕事」
町内の重役となってしまったしゅんち。肩書きは祭典委員長である。
そして、祭典委員長の最大の仕事は秋のお祭り「秋季例大祭」なのである。
・・季節は秋となりいよいよしゅんち祭典委員長の正念場がやってきた。
秋祭りの一連の流れはこの通りである。
1.おみこしに参加する子供達にお菓子を配る
2.子供のおみこしを手伝う
3.お神楽(かぐら)と近所の各家庭を回る
5.お神楽と一緒に神社に参拝
6.おじさん達と慰労会
・・こうしてしゅんち委員長の長い夜が始まったのだった。
16:30~
集合場所である町内会倉庫にはっぴを着た子供達がワラワラと集まりだした。
どこにこんなに子供達が住んでいたのか知らなかったがとても少子化とは思えない光景である。
17:00~
わっしょい!ピッピ♪わっしょい!ピッピ♪
笛と掛け声に合わせにわかに盛り上がりをみせるおみこし。
おみこしを担ぐというよりも重い荷物を運んでいるだけのおみこしは町内を進む。
18:00~
おみこしの途中で他の役員にその場を任せ、しゅんち委員長はお神楽隊が待機している食堂へと向かった。
そこでは礼服を来た町内副会長や会計顧問など物々しい面々がビールをあおりながら、お神楽の人たちをもてなしていた。
しゅんちはビールを駆けつけコップ3杯を一気に飲み干し、いよいよ出発。
ピ~ヒャラ♪ピ~ヒャラ♪ トトントントトン
笛や太鼓を鳴らしながら練り歩くお神楽隊。
よくよく聞くとなかなかの技術である。
これだけの演奏技術を垂れ流しているわけだからご近所にもご利益もあるというものだろう。
18:30~
各家庭にお神楽隊と共に訪問する。
入る機会などまず無いと思っていた近所の家庭の居間に上がり込む。
正座で待ち構える家族たち。座布団が敷かれた席の先頭に座るしゅんち委員長。
お神楽隊は見事な獅子の舞を見せ、一通り踊った後にご祝儀を受け取り挨拶をする。
「おめでとうございました」
なぜか挨拶はおめでとう?
19:30~
町内の各家庭をぐるりと回った後、神社に向かいお神輿を奉納する儀式である。
奉納と聞くと「何かを奉げて納める」という意味だと思うのだが一体何を奉げるのだろうか。
どうもいつものお参りとは意味合いが違うらしい。
・・神社に着くと、綿あめやたこ焼きなどの夜店があり、神社は盛り上がりをみせていた。
この後にも花火大会も控えているらしく神社にはかなりの人たちが押し寄せていた。
そして他の地域からもおみこしやお神楽が集まっていて、神社に奉納する順番待ちをしていた。まさに
奉納渋滞。
しかし、なぜこんなに各地で同時多発的にお祭りをしているのだろうか・・・。
・・そして待つこと30分。
ようやく順番が来て、しゅんちは台本通りに発声。
しゅ「吉村地区!お神楽ご奉納させていただきます!」
で、奉納って何なのさ?
21:00~
残りのお神楽周りも終了し、食堂に戻る。
もうすでに酔っ払い、陽気に騒ぐおじさん達に圧倒され委縮しながら慰労会は進んだ。
ようやく慰労会が終わる頃には22:30を過ぎていた。
こうして、無事に秋季例大祭が終了となるのだった。
その日、しゅんちは疲れ果てぐったりと眠りにつくのだった。
次の日・・・
しゅんち委員長は神社へ招かれていた。
着て行く服は礼服。
先日、結婚式の準備で用意した漆黒の礼服が役に立っていた。
しゅんちは恐る恐る神社の境内を覗く。
境内には黒服のおじさん達がひしめき合っていた。
町内のレジェンド勢揃い。
おじさん「あ、祭典委員長さんかな?」
しゅ「あ、はい。お、お邪魔します・・・」
このレジェンド達の前では圧倒的小物なので末席にちょこんと座るのだった。
どうやらしゅんちの住む地区は、8つの地域に分かれて各地に8人の祭典委員長がいるらしい。
そしてしゅんちの地区は辺境の小国だったらしい。
井の中の蛙、大海を知る。
いや、結局は町内でしょ。
しばらくすると立派な着物に聖徳太子のような帽子をかぶった神主が、お祓い棒を両手に持ち現れた。少し小太りで眼鏡をかけた60歳前後という感じである。今にもドリフのコントが始まりそうな雰囲気である。
神主「いやいや皆さん、昨日は盛大な宵祭を執り行っていただき誠にありがとうございました」
よいまつり?
神主「それでは本祭りを始めさせていただきます」
え、え?これから本番なの?
・・どうやら、しゅんちが苦労して準備し執り行ったのは前夜祭だったらしい。
そしてこれから行われる儀式こそ本祭りだというのだ。
ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ
太鼓の音が腹に響く。
すると神主が野太い声で見事なお経を読みだす。
…
神主「無事、本祭り執り行われました」
あっさり終了。
神主「えー・・・お祭りというのは人が集まる事が大事でして」
神主はお祭りの趣旨を説明し始めた。
しゅんちはここでお祭りの真の意味を読み取れてきた。
これはあくまでしゅんちの解釈である。
しゅんちの住むこの地域の中心はこの吉村神社なのである。
ここを居城とする神様がこの地域一帯を守ってるという設定である。
こりゃ設定としか言わざるをえない。
年に一度、秋祭りの日に神様の住む扉が開かれ、その神はこの地に住む者たちの様子を見に来るらしい。
お祭りの日には子供たちがおみこしに神様を乗せ町内をお祝いして回る。
お神楽はこの地域で起きためでたい家に対して笛と太鼓と獅子の踊りでお祝いを捧げる。
その家庭をお祝いしているので挨拶は「おめでとう」だったのだ。
最終的にはこの神社にやってきて、神様にお神楽の舞を奉納し神社をお祝いする。
神社では出店や花火を予定し、人を集める。
お祭りとは人が集まる事がお祝い意味だと。
神様は人が集まる事が喜びなのだという。
お祭りの全てはこの地を収める神様をお祝いする事だったのである。
地域に愛着を持ち、この地で幸せに暮らしてく事を願うお祭りである。
そんなお祭りに一役買えたことが嬉しく思うしゅんちであった。
ありがとう・・・
本当にありがとう・・・
無事に大役を務め、家族と地域の協力に感謝をしつつ、この役を引き受けて良かったと思うしゅんちであった。
・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
第35話「トイレのアレ」
・・ある日の週末の土曜の夜。時刻は22:00。
ビールを飲み酔いもそこそこになってきたしゅんち。
明日も休みなので気が抜け、のんびりとほろ酔い気分を楽しんでいた。
寝る支度をして、トイレから出てきたカホが質問してきた。
カホ「ねえねえ、お父さん・・・。」
しゅ「ん?どした?」
カホ「トイレがなんか変なの」
しゅ「変?」
カホ「なんかいつもより水が多くてね」
水が多い?
しゅ「どゆこと?」
カホ「水があふれそうになっちゃって」
・・・
・・・
・・・
嫌な予感。
しゅ「ちょ、ちょ、ちょ!?ま、マジか!?」
慌ててトイレにダッシュで向かうしゅんち。
ドアを開け、便器を覗く。
しゅ「うわぁああああああ~~!!めっちゃ詰まってるぅぅ~~!!」
コップになみなみに注がれた日本酒のような便器の水。
しゅ「紙流し過ぎたんじゃないの!?」
カホ「え・・・そうなの?」
しゅ「紙が詰まっちゃったんだよ!」
水がなみなみになった便器の前で立ち尽くすしゅんち。
とりあえず、解決策を考えてみた。
(あ!この前、水のトラブル解決業者の広告が入ってたっけ?)
郵便物を漁るしゅんち。
するとクシャクシャになっている水のトラブル業者のチラシを発見。
どうやら24時間対応らしく、今から電話してもよさそうだ。
(よし!早速電話だ!)
プルルル・・・
しゅ「あ、もしもし!?」
受付「はい。水のトラブル緊急隊です」
受付のお姉さんに事情を説明する。
受付「ただいま大変混みあっておりまして・・・」
しゅ「い、いつ頃になります?」
受付「明日の午前中になります」
そんなにトイレ我慢できんわ。
それでもとりあえずは受付だけをして電話を切った。
にわかに絶望感が漂って来た。
カホも責任感じてシクシク泣きはじめる。
トイレが使えない状態がこれほど家族に不安をもたらすとは。
マオ「マオもトイレ行きたくなってきたんだけど・・・」
しゅ「そうだよなぁ・・・」
こうして寝る前のトイレを家族4人、最寄り駅までパジャマで歩いて向かう。
まるで夜中に避難勧告が発令し、避難してきた家族のようである。
こうして夜の寂しい駅のトイレでそれぞれに用を足した。
暗闇にポツンと立っている電灯がなんだか寂しさを増していた。
用を済ませ、また歩いて家に戻り、とりあえずカホマオには心配するなと言って寝床に付かせた。
それにしても明日の午前中まで待ってはいられない。
こうなったら自力で何とかするしかない。
しゅんちは薄暗くなった部屋でスマホで色々と調べ始めたのだった。
(やっぱり、トイレが詰まった時はアレだろ)
(あれだ・・・)
(ほら、あれ)
(名前が出てこない・・・?)
(いや、もともと正式な名前を知らない)
(あの、トイレをスッポンってやるやつ)
(どこで買えるんだスッポンってやつは?)
スマホで調べようにも名前がわからないので進まない。
でもとりあえず「スッポン」で検索をしてみた。
亀のスッポンの生態やらすっぽん鍋の高級料亭の予約状況やら世の中の余計なスッポン情報を得ながら、ようやくトイレのスッポンにたどり着く。
トイレのスッポンの正式名称は・・・
「ラバーカップ」
聞いてもピンとこねえな。
もう喉の奥まで出掛ってという気持ちだったが、全くの思い違いだったことに気づかされる。
続けてどんなところで売ってるのか?を調べてみた。
「コンビニにはあまり売ってません。」
(そうか・・・コンビニにはさすがに置いてないか)
「スーパーに売ってます」
(お!朝からやってるスーパーってあったっけ?)
フト、脳裏に24時間営業という看板を掲げているスーパーを思いついた。
24時間営業 SEIYU
みなさまのお墨付きスッポンを買いに行こう。
とりあえず今は飲酒状態なので車では出掛けられない。
今夜は成すすべが無く、早々に寝床についたしゅんちであった。
・・そして次の日の朝。時刻は6:30。
あわよくば水が抜けてないかと便器を確かめてみるが、水面の様子は変わり映えはしなかった。
やはりSEIYUに向かうしかない。家族を救うという使命感を持ち、単独で朝早くにSEIYUへと向かうしゅんちであった。
・・お店に着き、人が閑散とした24時間営業でいつでも開いているという面構えの店舗に到着。
足早に日用品コーナーに向かうと1本だけスッポンが売っていたので、ライバルなどいないのに奪い取るようにそれを握りしめレジへと向かう。
早朝からスッポンを1本だけ購入。
こうしてスッポンを買い、家へと戻る。
さて、果たしてうまくいくだろうか?
カホ「なんなのそれ・・・?」
しゅ「これでスッポンってやると詰まりが抜けるんだよ」
マオ「マオもやってみたい」
しゅ「いやいや!ここは大事な場面だからお父さんがやる!」
慎重にスッポンを水に沈め、押し付けてみる。
2、3度スッポンスッポンとしてみるが手ごたえが無い。
やり方はあってるのだろうか・・・。
強くグッと押し込みもう一度・・・
しゅ「ん・・・?お・・・水の量が減って来たような?」
カホ「あ!何か抜けてきてる!」
スッポンうまくいく。
こうしてなんとかトラブルを解決したしゅんち。
家族も安堵した様子で平和が訪れたのであった。
スッポンは一家に1本あった方がいいかもしれないと痛感したのだった。
だからラバーカップだって。
・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
第36話「世間話が苦手」
しゅんちは普段は物静かなタイプである。
人が集まる場所ではあまり率先して発言をしないのである。
実は世間話が苦手だからである。
アイスブレイクという会話手法がある。
初対面の人同士が出会う時、その緊張をときほぐすための手法である。
例えば、面談の際に本題に入る前に
「いや~今日は本当寒いですねぇ~。」
などと誰もが共通する話題を振り、場を和ませてコミュニケーションを取りやすくするのだ。
まさにこれが苦手なのである。
何となくわざとらしく、自分が興味が無い話題を振るというのはどうしても抵抗がある。
歳も出身も趣味も好みも何も知らなく、ただ相手に失礼になってはいけないという絶対条件があるので、ついつい発言することに物怖じしてしまうのだ。
しかし、歳もそれなりになり、立場も出てくるとそうもいってられなくなる。
多少はウィットの富んだコメントの1つや2つ答えられるようになりたいと思っているのだが。
こうして世間話が出来ない事がコンプレックスのしゅんちであった。
・・仕事で自分より年上の人達と打ち合わせをすることになった。
シチュエーションとしてはしゅんちは千葉にあるメーカーの人と一緒にお客様を訪問。
検討中の装置について打ち合わせをする予定である。
お客が1名こちらは2名である。
2人ともしゅんちより10歳程度年上である。
何となく知性溢れる大人を感じさせる2人なので、さぞウィットに富んだ会話が飛び交う事になるだろう。
(ウィットとは・・・その場に応じて気の利いた事を即妙に言う才知 大辞林より)
ここは人生の先輩たちに学び、どういう会話をするのか観察してみることにした。
しゅ「おはよーございます!今日はよろしくお願いします」
お客「いやいや どうもどうも」
しゅんちが出来る事というと礼儀正しく挨拶をするくらいである。
メーカー「いやーさすがに今日は寒いですねぇ」
天気の話題は鉄板である。
お客「そうですねぇ~この時期になると最高気温が10度行かない日が続くんですよ」
ナイスウィット―ーーッ!
ただ寒いというわけではなく、最高気温までサラリと答える所がウィットポイントである。
メーカー「あーさすがは長野県ですね。」
お客「まあ朝晩は氷点下になりますからね」
ナイスウィット―ーーッ!
「朝晩は氷点下」。
なんて文学的な表現だろうか。しゅんちなら「気温がマイナスで超寒いんですよ」と普通に言うであろう。
とにかく、この時期の最低・最高気温を抑えておくのがウィットポイントだろう。
お客「今日はどちらから?」
メーカー「あー私は千葉から出てきましてね」
お客「お車で?」
メーカー「中央道を走ってきましたね」
お客「首都高抜けて?」
メーカー「東関東から首都高抜けて高井戸から中央道ですね」
お客「あ~そのルートですか。関越ルートじゃなくてね」
ナイスウィット―ーーッ!
メーカーの方は自分がどの自動車道で来たのかを正確に名称を覚えている。
そして、お客はそのルートは知っていて更に別ルートまでも知っている。
いつもナビ頼りのしゅんちは今通ってる道の名称など気にせず走っているでノーウィットである。
メーカー「なかなかお詳しいですね」
お客「いやいや、昔、仕事でしょっちゅう行ってたもんですから あはは」
こうして商談に入り、打ち合わせは順調に進んだ。
話の向きは工場に装置を見学する事になった。
メーカー「当日は電車で来られますか?」
お客「新宿に出てから乗り換えればいいのかな?」
メーカー「あ、いやいや 八王子で乗換ですね」
お客「八王子?ああ~横浜線ね!なるほど」
メーカー「そうですそうです。町田に出てから小田急線で」
お客「はいはい。確かにそちらのルートの方が早いですね」
どうしてそんなに詳しいのよ。
いつも乗換案内というアプリ頼りなので、どのルートで行くだなんて気にしたことも無い。
こんなウィットな会話に参加出来るはずも無く、ただひたすらに「へー」とか「ほうほう」などと頷くしかないしゅんちであった・・・。
あるセミナーで身振り手振りや相づちが上手な人ほどコミニュケーション上手であると聞いた事がある。
会話の内容よりも相づちを打ったり、目くばせしたり、笑ったり、相手の話に合わせる方がコミュニケーション能力が高いと聞く。
寡黙で偏屈な人と思われるよりはそちらの方がいいので、先ほどの会話に参加する場合のシミュレーションしてみよう。
メーカー「いやーさすがに今日は寒いですねぇ」
しゅ「いやー本当寒いですね!」
お客「そうですねぇ~この時期になると最高気温が10度行かない日が続くんですよ」
しゅ「そうそう!10度行かない日が続くんですよ」
メーカー「あーさすがは長野県ですね。」
しゅ「長野県は寒いからなぁ~ うんうん」
お客「まあ朝晩は氷点下になりますからね」
しゅ「本当、今朝も氷点下!マイナス!いや~本当寒いっ」
お客「今日はどちらから?」
メーカー「あー私は千葉から出てきましてね」
しゅ「そうそう。今日は千葉からでしたよね」
お客「お車で?」
メーカー「中央道を走ってきましたね」
しゅ「うんうん。中央道ですね」
お客「首都高抜けて?」
メーカー「東関東から首都高抜けて高井戸から中央道ですね」
お客「あ~そのルートですか。関越ルートじゃなくてね」
しゅ「あ~やっぱり首都高抜けちゃうルート?あー首都高怖いっすよね」
メーカー「なかなかお詳しいですね」
お客「いやいや、昔、仕事でしょっちゅう行ってたもんですから あはは」
しゅ「ああ、しょっちゅう行ってたんですか!どうりで詳しいわけだ~!」
これはウザい。
寡黙で無口でも別にいいかもしれないと思い直すしゅんちであった。
・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
第37話「子供たちの罰則」
土曜日の夕食時・・・
この時間は最高に幸せな瞬間である。
まずは明日は日曜日。
どれだけ酒を飲んで酔っ払っても、ニンニクを食べても、明日は休みなのである。
しゅんち家は楽しさを増す為に土曜の夜はご飯を食べながら自由にテレビも見ていいという無礼講を許している。
夕飯をダラダラ食べながらテレビを観る。
これが我が家の幸せタイムなのだ。
・・そんなある日の土曜日。
今夜の幸せタイムでしゅんちは撮り貯めたドラマとイッテQを観ながら焼酎のお湯割りで過ごそうと決め込んでいた。
そして夕食は豚しゃぶ&湯豆腐。
ダラダラとテレビを観ながら食べて飲むには最高である。
幸せタイムを過ごすには十分な役者が揃ったという状態である。
食卓には鍋や具材が並べられ、ビールグラスが用意されている。
ウキウキ気分で今まさに幸せタイム突入とばかりに席に座ろうとしたその瞬間・・・!
グリリッ
なにやら足の裏に違和感が。
しゅ「ん?おい、スーパーボール落っこちてんじゃん」
カホ「え・・・」
マオ「あ・・・」
しゅ「ちゃんと片付けろよー んもー」
タカ「はい・・・。丸つけするね」
しゅ「ん?」
タカ「今からテレビ禁止ってことになっちゃうね・・・」
しゅ「え?どゆこと?」
どうやらカホとマオは後片付けができない事で叱られたらしく、自分たちでルールを設けて、7回片付けができなかったらテレビとiPadを禁止というルールを作っていたらしい。
そしてこのスーパーボールが
記念すべき7回目。
今の無かった事にできないかな?
・・こうして幸せタイムは中止になり、テレビを観ることが出来ず幸せタイム半減の土曜を過ごす羽目になったしゅんちであった。
翌日の日曜日・・・
マオ「ねえねえ~ おと~ 一緒にあそぼーよ」
しゅ「うぇえぇ・・・なんで?」
マオ「だってーヒマなんだもん」
いつもの日曜であれば撮り溜めているドラマを観たり、テレビゲームに興じている2人だが、今日はヒマを持て余しているようである。
マオ「ねー 遊ぼうよ~」
しゅ「その歳にもなってお父さんと遊んで恥ずかしくないんか!?」
マオ「全然」
マオは小学2年生。
割と妥当かも。
しゅ「で、何したいん?」
マオ「公園に行きたい」
しゅ「公園!?一体いくつなんだよ?」
マオ「小2」
割と妥当かも。
次女は思ったより幼い。
長女カホは小4になり、子供というより女子に近い。
次女も思わず女子かと思いきやまだ子供だったようである。
カホ「えー!カホも公園行きたい!」
しゅ「は!?なんで!?」
カホ「だってーマオだけズルいじゃん!」
・・こうしてカホまで兄弟不公平論を説きはじめ、2人と公園に付き合う羽目になってしまうしゅんちであった。
もう時期は冬になり、とても寒くて外で遊ぼうなんて思いもしない。
まさに子供は風の子、大人は風邪を引くというパターンである。
・・一通り、ドッチボールやフリスビーやバドミントンを散々付き合わせられる。
30分も付き合ったんだからもういいだろうと頃合いを見計らうしゅんち。
にわかに帰り支度を始め、帰宅を試みるしゅんち。
マオ「おとー!ブランコ乗るから押して!」
しゅ「はぁ!?」
マオ「ねー!押してよー!」
しゅ「一体いくつなんだ!?ブランコ押してもらうなんて保育園児みたいだぞ!」
マオ「そんなことないよー!お友達の5年生のお姉ちゃんもやってもらってたもん」
しゅ「そ、そうなの・・・?」
マオは小2。
割と妥当・・・
なのか・・・?
マオな功名な交渉に負け、仕方なくマオのブランコを押してやる。
カホ「マオばっかりズルい!カホのも押して!」
しゅ「うぇえええ!?」
カホの兄弟不公平論を説(以下省略)
こうして2人の女子小学生のブランコを押してやるしゅんち。
強く押せだの
まっすぐ押せだの
強すぎてちょっと怖いだの
まるで召使いのよう。
もはや・・・
罰を受けてるのは俺なのか?
こうして子供たちの罰則がしゅんちに跳ね返るのであった。
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