第51話「欲望メーター」
しゅんちの平日は単身赴任の一人暮らしである。
一人暮らしの生活は自由が多い反面、管理も自己責任である。
特に気を付けなくてはならないのが健康面である。
自己管理だとついつい自分に甘くなり、欲望に任せてしまうことに陥る。
そこで、自らの欲望レベルを抑えるために自分の心に3つのメーターを用意しているのだ。
①健康メーター
これは普段から運動をしているか?
寝不足はないか?お菓子やインスタント食品ばかり食べてないか?
ちゃんと摂生できているかというのがこのメーターである。
②糖質メーター
主に炭水化物を取りすぎてないかというメーターである。
これは肥満の原因になる糖質をいかにオフできるかというメーターである。
何かを食べようとするたびにこの食べ物は糖質が多いのか?この飲み物は糖質オフか?と常に気にしてしまうメーターである。
年頃なので糖尿病にも気を付けたいということもある。
③散財メーター
これは日々の食費を掛けすぎてないか?
余計な出費をしてないか?というメーターである。
しゅんちは酒飲みでお金がかかるので散財メーターは特に気を付けなければならない。
サンプルとしてある日のくら寿司に行った時のメーターをみてみよう。
・・しゅんちの単身アパートから歩いて5分くらいのところにくら寿司がある。
歩いて行けるから運転をしないので飲みたくなるのである。
つまり、しゅんちにとってこのくら寿司は
「居酒屋くら寿司」なのである。
店員「いらっしゃいませー!」
しゅ「1人です」
店員「お皿の取り方はご存知でしょうかー?」
しゅ「大丈夫でーす」
店員「では、カウンター31番にお願いしますっ」
ここでしゅんちはそのままカウンターには向かわず店内の冷蔵庫に向かう。
まるで人のうちの冷蔵庫を勝手に開け、ビールを勝手の飲むの図である。
ビールとコップを両手に席に着き早速オーダーを考える。
やはり平日から1人で飲むならさっと食べてさっと飲んでパッと帰りたいところである。
欲望メーターは低めに切り上げたいところである。
最初にオーダーしたのは・・・
オニオンリングフライ。
ブロッコリーサラダ。
チビコロチキン
そして無料のガリ。
大半を野菜でカバーしたヘルシーな布陣である。
健康メーター、糖質メーター、散財メーター共に抑えたベストチョイスである。
実はシャリ(ご飯)は糖質メーターに大きく関わる。
回転寿司においてシャリこそ糖質メーターの天敵なのである。
なるべくシャリは避けたい。
オニオンリングの衣部分は糖質だが中身は野菜なので糖質メーターの上昇は抑え気味である。
ブロッコリーサラダはドレッシング部分は怪しいものの大半は野菜なのでセーフだろう。
チビコロチキンも揚げ物で衣は糖質だが、中身はヘルシーなチキンなのでセーフと判断。
ガリは無料な上に糖質オフで健康にも良さそう。全てのメーターに嬉しい食材である。
もはやガリだけ食べてればいいのでは?
ここまでで300円。
散財メーター的にも申し分ない。
ああ!これを忘れちゃいけない!
特製茶碗蒸し 180円。
くら寿司の茶碗蒸しはしっかりとした濃いダシが効いててかなりの絶品なのである。
これを頼まずしてくら寿司を語るなかれである。
とはいえ若干高めなもののしっかりと糖質オフで健康にも良さそうである。
ここまで頼んでみたが散財メーターどうだろうか?
ビール中瓶 550円
お皿 3枚 300円
茶碗蒸し 180円
合計 1,030円チーン
健康★★☆☆☆
糖質★☆☆☆☆
散財★☆☆☆☆
各メーターは5段階。
ビールを飲むので摂生メーターは2。
糖質は控えめなので1。
散財はビールを飲んでいるがまだ控えめなので1。
摂生、糖質、散財。
見事に全てのメーター抑え切った。
ふつふつふつふつ・・・
さすがはくら寿司だなぁ!これだけ居酒屋して1000円ちょっとで済むなんて!散財メーターも大喜びだ!
ふつふつふつふつ・・・
ガリをもっと食べれば健康メーターにもいいよね!糖質もオフ。散財メーターにも影響無し!
ふつふつふつふつふつ・・・
ガリはいいよなぁ~
ふつふつふつふつふつふつふつふつふつふつ
ブチッ
うおおおおおおおおおおおおおおおおおお~~~!!
ダメだダメだダメだダメだぁあああ!!
くら寿司来てこんな内容じゃ、俺の欲望は全く満たせん!!
ビール追加や!追加!俺にビール中瓶一本などあり得ん!
やっぱ寿司や!
食いたい寿司ぃぃ!
ピッピッピピッピピッ ←操作パネルを連打する音
天然熟成マグロ来たぁ!やっぱり寿司やろがっ!
オニオンサーモン大好きやでぇ!これ考えた人天才やわぁ!こってりとさっぱりのコラボレーション!
グビグビ~~ ムシャムシャ ゲーーーーップッ
まだ足りんなぁ~~
ピッピッピピッピピッ
きたきたきたぁーーーっ!
熟成びんちょう、ネギトロ軍艦、赤身来たぁ~~!
ホンマくら寿司はマグロが最高やね!
いや~~~もうちょっと食べたいわぁ~~
うどん食うか!せやっ うどんや!食いたい食いたいうどん!食いたいわ~~~
うどんは糖質の塊である。
きた~~!固定リング外せ外せや!
おほーーっ!うまそうな出汁の香りやんけ!
ぶふーぶふーーーフーフー
ずるっズゾゾゾゾーーゾルルゾルル~~ゾルッゾルルッ
なかなかのコシやんか!香川からお取り寄せか?なんやねんこのうまさっ!
汁も甘めでダシが効いててめっちゃうまいやんけ!
こいつはなかなかのもんやでぇ~~!
ぷはーーー汁まで全部飲み切った!もう食えん大満足やわ!
ホンマくら寿司はこうでなきゃアカンな!
・・・
メーターはどうなった!?
健康★★★★☆・・・食べ過ぎ、塩分取りすぎ
糖質★★★★★・・・シャリ、うどん、ビール2本
散財★★★★☆・・・夕食を1人で3000円越え
メーターが大惨事。
くら寿司で欲望メーターを抑えようというのが無理な話であった・・・。
・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
第52話「最高のからあげ屋」
家族4人でお花見に行った。
長野市の有名なお花見スポットというと善光寺の城山公園である。
花はちょうど満開でかなりの花見客で賑わっていたが、思ったより肌寒くビールがあまり進まなかった。
長野の花見は寒い。(北国あるある)
そこで帰り道に飲みなおそうと居酒屋に寄ろうと思いながら歩く。
しゅ「おっ!この店にプレモル生があるじゃん!」
タカ「あぁ!本当だねぇ」
しゅ「ここにするか!」
カホ「いいね!いいね!」
マオ「やったー!やったー!」
店員「いらっしゃいませー!」
ケンタッキーフライドチキン(KFC)に入店。
なんと生ビール(プレミアムモルツ)を販売しているケンタッキー。略してケンタ。
ケンタのチキンで飲むビールの味は一体どんな味なのだろうか。
期待に胸を膨らませながらレジに向かい注文をした。
トレーにチキンと生ビールを受け取り、席に着く。
酒盛りしているお客は他にいないので割と空いている。
ここはかなりの穴場の居酒屋らしい。
早速チキンにかぶりつく。
シャオッ
うまい・・・!
やっぱりケンタのチキンは段違いにうまい。
特に皮についている11種類のハーブとスパイスとやらは絶品である。
更に揚げたてなのかいつものうまさ以上である。
すかさずビールに手を伸ばす。
グビッグビビッ・・・
・・・・!!
これはなんと贅沢なことか。
しゅ「こ、これは最高だぞ!」
いつもは持ち帰った冷めたチキンでビールを飲むことはあったが
出来立てのチキンをつまみにビールをあおる。
これはなんと贅沢なことか。
店内にヘビーローテーションで流れるプロモーションビデオを眺める。
フライドチキンが出来る過程がダイジェストで流れる。
からりと揚がったチキンを背景にキャッチフレーズが
「本物は、真似できない。」
しゅ「くはぁ・・・来たな・・・王者のフレーズ」
カホ「王者って何?」
タカ「どういうことか私も聞きたい」
しゅ「だってさ、ケンタって類似店が他に無いじゃん?」
マクドナルドにはモスバーガーやロッテリアなどがある。
ミスタードーナツならばクリスピークリームドーナツやドーナツプラントなどがある。
スターバックスならばタリーズカフェやドトールコーヒーがある。
しかし、フライドチキンをメインに提供するチェーン店はケンタしかないのだ。
「本物は、真似できない」というフレーズが妙に納得させられるのだ。
タカ「確かにそうだねぇ」
しゅ「ケンタッキーは誰も真似できない唯一の存在なんだよ」
カホ「お父さん!見て!」
しゅ「ん?」
「本物は、真似できない。」
しゅ「そうそう。そういう事!」
しゅんちの熱弁は軽くスルーされ、カホマオはビスケットを食べ始めた。
シロップをたっぷり掛けうまそうである。
・・続いての映像は高畑充希のCMが流れる。
美味そうに悶えながらチキンをほおばる高畑充希。
それにしてもチキンを美味そう食べるものである。
思わずつられて頬張るしゅんち。ビールも進む進む。
高畑「ねえ、今日ケンタッキーにしない?」
あれ?今食べてたじゃん?
高畑充希につられて頬張ったチキンを噛みしめビールを咽に流し込む。
しゅ「く~~~ これは堪らん」
カホ「お父さん!見て!」
しゅ「ん?」
「本物は、真似できない。」
しゅ「お、おう いいフレーズだね」
ケンタにプレモル・・・。
これははまってしまいそうだ・・・
もう1つ欲を言えば・・・
角ハイボールを置いてもらえないだろうか。
マオ「お父さん!見て!」
しゅ「ん?」
「本物は、真似できない。」
もういいって。
ケンタでハイからをやってみたいしゅんちであった。
・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
第53話「県外ナンバー」
GWも半ば。
しゅんちはGW期間中に町内会の仕事があるため、長野市で過ごしていた。
車で日常的な買い物に出掛けたのだが街中は各所で渋滞していた。
恐らくGWなので観光客が来ているのだろう。
渋滞で暇だったのですれ違う車のナンバープレートを眺めていた。
長野・・・
長野・・・
長野・・・
大宮・・・!
しゅ「おおっ 県外ナンバー!」
長野・・・
長野・・・
八王子・・・!
長野・・・
練馬・・・!
長野・・・
品川・・・!
しゅ「都内からも結構来てるなぁ~!長野のどこに行くのかね?」
信州そば?善光寺?山の自然?
今日は小雨が降っていてあいにくの天気である。
地元民としてこの天気がなんだか申し訳なく思えてきたしゅんち。
長野・・・
松本・・・
長野・・・
広島・・・!
しゅ「ひろしまぁ!?すげー!」
そんなに遠くから来て長野にどんな価値があるのだろうか。
地元の良さは地元の人が一番知らないものである。
わざわざ長野に何をしに来たのか聞いてみたい。
長野・・・
松本・・・
松本・・・
長野・・・
習志野・・・!
しゅ「ああ!習志野!」
タカ「・・・」
長野・・・
長野・・・
長野・・・
相模・・・!
しゅ「おおっ 相模だって!」
タカ「・・あのさ」
しゅ「ん?」
タカ「さっきから驚てるけど地名全部知ってるの?」
しゅ「ううん。知らない」
知ったかぶり。
※注 習志野(ならしの)→千葉県 相模(さがみ)→神奈川県
長野・・・
長野・・・
長野・・・
松本・・・
習志野・・・!
しゅ「おわっ!さっきの車と知り合いかな!?」
トランプのペア探し状態である。
長野・・・
長野・・・
松本・・・
長野・・・
長野・・・
札幌・・・!?
・・どうやって車で来たの?
他県ナンバーがなんだか嬉しいしゅんちであった。
・・あるパーティーで自己紹介する機会があった。
50人くらいの規模で今回初参加の人は前に出て自己紹介するという状況である。
相手はしゅんちの顔と名前は見たことあるがどんな人かは知らないという感じである。
「えー・・・しゅんちです。今年42歳になりました」
と、言った瞬間に
「えええーー!そうなんだー!意外ーー」
などと会場から声が上がった。
きっともっと若く思われたのだろう。
確かにしゅんちは昔から童顔だと言われてきたし、発言も考え方も自分では子供っぽいと思う。
周りから若く思われてもおかしくない。
が、
「しゅんちさんってもっと年上だと思ってましたよ」
どうして人は自分の都合の良い方に取ってしまうものなのだろうか。
その日以来、しゅんちはあるキーワードに敏感になった。
「アンチエイジング」
アンチエイジングとは・・・加齢による衰えを可能な限り小さくすることである。
そんなある日・・・
本屋をブラブラしていたら「食事で10歳若くなる方法」という本を見つけた。
即、買い。
まさに今抱える悩みを解消してくれそうだと、需要と供給がベストマッチした瞬間である。
その日以来、本を熟読しアンチエイジングの道を目指し邁進するしゅんちであった。
ある日の夕食時・・・
しゅ「おっ!納豆いいね!」
タカ「・・・」
しゅ「納豆は肌を綺麗にする成分がたくさん入ってるんだよ」
タカ「ふぅん~・・・」
しゅ「おっ トマトもいいね~!リコピンはシミの原因を抑えるんだ」
タカ「そうなんだ・・・」
しゅ「キノコもいいねぇ~ 菌を体に取り入れるってのは良い事なんだって」
なかなかのウザさである。
本で得た知識を直ぐにひけらかしたいタイプのしゅんち。
面倒臭い奴の典型パターンである。
カホ「さっきから何が良いの?」
しゅ「若返る食事ってのを意識してるんだよ」
カホ「食べると若返るの?」
マオ「マオも食べる食べる!」
しゅ「よし!トマト食べろ!キノコもふんだんに!菌だ菌」
食卓はアンチエイジング食品の奪い合いが始まった。
しゅ「きゅうりもいいぞ!カリウム摂取でむくみ解消!」
マオ「おおぉぉ~~きゅうり食べるっ」
カホ「プチトマトいただきー」
しゅ「あぁあ~ 俺のリコピンがぁ~~」
・・・
カホ「でもさ、若返るってカホ達はどうなるの?」
しゅ「本には10歳くらい若返るって書いてあったけど・・・」
カホ 10歳
マオ 8歳
しゅ「食べるのやめなさい」
マオ「えーなんでぇ~」
カホ「赤ちゃんに戻りたい~」
しゅ「戻れませんっ」
マオ「マオも赤ちゃんに戻る~」
しゅ「あなたは8歳なんだからこの世から消えるでしょっ」
アンチエイジング・・・
一体何歳からこの言葉が適用されるのだろうか・・・。
・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
マオ「ぷはーー!この1杯の為に生きてるね!」
しゅ「・・・」
風呂上りに、タオルを首に巻きコップの牛乳を飲むマオ。
きっと一番搾り(ビール)のコマーシャルのマネをしているのだろう。
マオ「プハーーッ くぅ~~~」
しゅ「う、うまそうだね」
マオ「この牛乳が最高なんだよ!」
しゅ「そうなんだ・・・」
マオ「ちょ~~~最高なのっ!」
30分後・・・
マオ「おとー・・・」
しゅ「んーどした?」
マオ「お腹が痛いの・・・」
最高の牛乳とやらがアダとなる。
牛乳を一気に飲んだからお腹が冷えたのだろう。
調子に乗って失敗するお調子者の典型パターンである。
思い返せば・・・マオは幼少の頃は物静かな性格だった。
マオはいつからお調子者になってしまったのだろうか。
ある日・・・
マオがフラフープを回しながら遊んでいた。
独り言を言いながらなかなかの気味の悪さで盛り上がっていたので、一体どんな状況なのか気になってしまい話しかけてみたしゅんち。
しゅ「マオ何してるの?」
マオ「あのね、マオが転校してきたのね」
しゅ「ん?転校してきた?」
ごっこ遊びか。
マオ「この学校にはフラフープ部があって入部したの」
なんて自分勝手な設定だろうか。
マオ「全国大会に向けて猛特訓しているの!」
最近見たオカマの担任が活躍する学園ドラマの影響だろうか。
汗と涙が欠かせない展開のようである。
「くじけるなー」「まけないぞー」などと叫びながら一人盛り上がるマオであった。
翌日の朝・・・
浮かない顔のマオがしゅんちに話掛けてきた。
マオ「おとー・・・」
しゅ「んーどした?」
マオ「お腹が痛いの・・・」
しゅ「また牛乳一気飲みしたんか?」
マオ「ううん・・・朝起きて何も食べてないけど痛いの・・・」
しゅ「なんだろ?風邪かな・・・?」
マオ「お腹を押すと痛いの」
しゅ「んー・・・」
タカ「それって筋肉痛じゃない?」
マオ「何それ?」
タカ「あなた、昨日ずーっとフラフープやってたでしょ?」
フラフープで人生初の筋肉痛。
タカ「あれだけ回してりゃ筋肉痛になるわ!」
マオ「なーにそれー?」
しゅ「筋肉痛って知らないのか?」
マオ「知らないっ」
またもや調子に乗りすぎて失敗するお調子者のマオであった・・・。
まとめ読みお疲れさまでした!感想コメントいただけたら嬉しいです^^
↓
いいね、コメント、読者登録、リブログ
ぜひお願いしま~す^^