#61 「安曇野リレーマラソンに参加する」③ | ちょっと笑えるお話@しゅんちの極楽日記

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「42.195㎞を10人で4時間以内に走る」

普段走ってもないしゅんちがエントリーしてしまった安曇野リレーマラソン。
もがき苦しみながらも細々と練習を重ね、なんとか1.5kmを8分半で走れるようにはなっていたのだった。

そしていよいよ本番当日…

今日の天気は
あいにくの晴れ。
昨日の天気予報では降水確率50%だったはずだが、一体50%の雨はどこに行ってしまったのだろうか。
全く雨の降る気配は無く、空高くにウロコ雲が浮かび、絶好の運動会日和といったところである。
あわよくば雨天中止にならぬものかと願っていたが、もはや腹をくくるしかないしゅんちであった。

あまりに弱気なしゅんちを心配して家族が応援に来てくれることになり、車で一緒に会場である国営アルプス安曇野公園へと向かうのだった。


しゅ「はぁ~…(深いため息)」


タカ「えらいテンパってるねぇ…(笑)」


しゅ「いや~…金曜日に嫌な情報を聞いちゃって」


どうやら本番のコース会場は山の中腹にあって、アップダウンがかなり激しいところらしい。
平地ですら苦しめられた1.5kmである。アップダウンではどうなってしまうのだろうか。

タカ「確かに安曇野の山沿いならアップダウン厳しそうだよね」

しゅ「はぁ~…」

ため息が止まらないしゅんちであった。

・・9:30に会場に到着。
会場では様々なチームカラーのTシャツを着た人たちが続々と集まっていた。
思っていた以上に参加者が多く驚かされた。

しゅんちは自分の会社の仲間達を見つけた。
皆、派手なスパッツや帽子やサングラスを着けて、いかにも普段から走ってます感が半端ない。
職場の仲間であることは違わないのだが、今日はアウェイ感が止まらないのだった。

・・会場では既にコースを走り、足慣らしをしている人が大勢いる。

僅かな体力を準備運動で消費したくはないしゅんち。
なけなしの体力を温存する為にジッとしながらスタートを待つ。

・・にわかに仲間が集まり、走る順番を決めエントリーシートに名前を書き込んでいた。
しゅんちは4番手に決まったのだった。

そしていよいよスタートの時間が迫って来た。
30人ほどがスタートゲートに集まり各自ストレッチをしている。

どうして、こうもみんな速そうに見えてしまうのだろうか。

 

時刻は10:30。
いよいよスタートである。


3・・・2・・・1・・・スタート!!


掛け声と供にドドドッと一斉に走り出すランナー達。結構速いペース。
速いチームも遅いチームも同時にスタートする第一走者。
これはかなりのプレッシャーだと想像できた。

とりあえず1番手じゃなくて良かったと胸を撫でおろした。


しばらくして…


「3番、10番チェックポイント通過~」


場内アナウンスからチェックポイントのお知らせが聞こえる。

残り100mを通過するとアナウンスしてくれるらしい。

ちなみにしゅんちのチームは3番である。



「うわ!速いぞ!まだ6分だぞ!」


第1走者のF君が6分前半で戻ってきた。
ノルマは1周8分半なので2分も縮めてきた。


「やるなぁ~!結構速いな」


それを聞き、プレッシャーで胸がキューっと苦しくなる。

続く2番手。ちょっと太めのSさんは8分で戻って来た。
3番手の50代後半のKさんにタスキが渡った。

次がしゅんちの出番である。

「頑張れ―!」

「無理するなよ!」

「無事完走が目標ですよ!」

仲間が暖かい声を掛けてくれる。
遠くから家族が手を振って応援してくれている。


「15番、25番、3番チェックポイント通過~」



「あ!戻ってきた!しゅんちさん頑張って!」

50代後半のKさんは7分10秒で戻って来た。
何てタフなおじさんなんだ・・・。

そしてしゅんちにタスキが渡された・・・!


「頑張れーー!」


「無理するなよーー!」


緊張した面持ちで走り出すしゅんち。


スッス ハッハ・・・


スッス ハッハ・・・



(無理するな・・・)


(マイペースだ・・・)


走り出すこと100m通過。早速の登り坂である。


ぜはぜは…


ぜはぜは…


(これは早速きついな…)


(でもゆっくり目で走れば大丈夫だろ…)


ぜはぜは…


(くっ…足が痛いぞ…ぜはぜは)



次々にしゅんちを追い抜く他の選手。



(ま、惑わされるな…マイペースでいいんだ…)



坂は500mぐらい続き、ようやく坂を登りきった。
そしてすぐさま下り坂となる。


ぜはぜは…



(お…?)



(下り坂は割と楽だぞ!?)



(ここは一気に走って行くか…!)



ペースアップを試みるしゅんち。



タッタッタッタ…


ぜっは…ぜっは…ぜっは…


(ふ、太ももが痛い・・・)


(でも…この調子で一気に下ってしまえ…)


自分なりにかなりのスピードで下り坂を走るしゅんち。


ぜっは…ぜっは…ぜっは…

 

 

 

ぜっは…ぜっは…ぜっは…

 

 

(体力もまだ大丈夫だ・・・!)

 

 

ようやく1km地点を通過。
再び上り坂にさしかかる…


(ぐおっ…こ、これはキツイ…!)


太ももが苦しい状態で上り坂である。
足が鉛のように重い。息も苦しい。
呼吸も乱れてしまった。



(こ、呼吸だ…)


(呼吸を整えろ…)


スッス…ハッハ…


スッス…ハッハ…


スッス…ハッハ…



ブハーーッ!!


(く、苦しい…)


背後に他のランナーの気配を感じた。
スッと抜いていくのは背の小さい選手。




こ、子供!?



小学生に軽く抜かされるしゅんち。


心が折れそう。


(ダメだダメだ!心を乱されるな!)


(今は自分との戦いなんだ…)


(ぜはぜは…ペースを乱されるなっ)


自分に言い聞かせ、残り400m地点にさしかかる。登り坂は相変わらず続いていた。
まさに心臓破りの坂である。


(や、やばい…)


ぜはぜは…


(これはキツイ…)


(歩きたい…)


(歩いてしまいたい…)


と、その時


「頑張れー!あとちょっと!」

「しゅんちさんファイト―!」



会社の仲間が沿道に駆け寄り応援してくれた。

 

「おとーさーーん!がんばれー!」

 

カホやマオも応援してくれた。

 

 

 

ぜはぜは…


スッス ハッハ


スッス ハッハ



(もうちょっと…!)



残り100m…


「3番、20番、17番チェックポイント通過~」


(さ、最後が強烈に苦しい…)


(あとちょっと…)


(見えてきた…!)


次のランナーが手を振って待っている。
しゅんちは走りながらタスキを肩から外して手に持ちバトンのように持つ…

 

そして・・・

 

 

しゅ「ぜはぜは… た、頼みます!」


タスキを第5走者に渡した。


「しゅんちさんナイス!」


「お疲れ!」


「よう走ったなぁ!」


ぜはぜは…


ぜはぜは…


しゅ「な、何分くら…ぜはぜは…何分くらいで…した?ぜはぜは」


Tさん「えーっと…
7分51秒です!」



え・・・?

 

 

なかなかの好タイムじゃん!?


意外にもノルマタイムである8分半をクリアしていた。
練習の時よりも速く走れたのである。
皆の足を引っ張る事無く走り切れたのだ。
しゅんちは自分が思いのほか走れたことに感動を覚えるのだった。

・・この調子で2本目、3本目も何とか8分以内で走れたしゅんち。

そして最後はゴール直前でラストランナーとメンバー全員が集まり、みんな一緒にゴールを迎えた。

こうしてしゅんちのチームは3時間31分で完走し、大会は無事終了したのだった。

 

 

帰り道…


しゅ「何とか走れたね…」

タカ「そりゃ頑張って練習してたもん」

しゅ「そ、そうかな?」

走る経験も無く、走る事も好きではなかったのだが、「みんなに迷惑かけたくない」という一心で頑張れた。
最初は600mでヘトヘトだったはずなのに、練習をして走れるようになり、まあまあの結果で終われたのである。

40過ぎてからでも頑張るという事に遅いということは無いと考え直したのだった。

また来年もチャレンジしてみようかな…。
と、すでに筋肉痛が始まってきている太ももをさすりながら思うしゅんちであった。

 

おわり

 

無事完走しました!
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