更年期障害を原因とする便秘:更年期の便秘の予防と治し方

 

更年期障害の症状として便秘があります。また、更年期に便秘を訴える人も多数おられます。更年期あるいは更年期障害の一症状として、急に便秘が生じるのはどうしてでしょうか?更年期の便秘は、更年期障害の他の症状の悪化原因ともなります。更年期障害は、女性のみならず、男性にも起こります。女性の更年期障害は、主に閉経による女性ホルモンの変動を原因として生じ、また男性の更年期障害は、社会的集団の中で更年期にみられるストレスがその主要な原因となります。更年期障害で便秘が生じますと、便秘のみならず、精神的状態などのメンタルやお肌の状態にも影響します。更年期の便秘は、頭痛、めまい、吐き気、イライラ感などの精神神経症状や吹き出物や肌荒れなどの皮膚疾患の原因となります。更年期または更年期障害に伴う便秘で皮膚症状が生じ、それが慢性化することによって、加齢現象(見かけ上の老い)が進行します。更年期障害で便秘が生じる原因は、女性の場合、主に閉経による女性ホルモンの変動に起因した自律神経失調症によるものです。男性の更年期障害の場合は、職場等の役職に起因した社会的ストレスの増大にによるものです。更年期障害に伴う便秘あるいは更年期の便秘の予防や改善には、乱れた自律神経系の改善と腸内環境の改善が必要となります。イヌリン食物繊維は、大腸内のビフィズス菌などの善玉菌を特異的に増やし、腸内環境を整える優れた効果を有する水溶性食物繊維です。更年期障害は、10数年間にもわたる長期的な全身性の障害です。更年期障害に伴う便秘の予防と改善は、他の更年期障害の諸症状の緩和にもつながります。ここでは、「更年期障害を原因とする便秘:更年期の便秘の予防と治し方」について、お話します。

 

更年期とは

生誕から死亡までのライフステージは、いくつかの期間に区分することがあります。例えば、0歳から4歳までの「幼年期」、5歳~14歳までの「少年期」、15歳~24歳までの「青年期」、25歳~44歳までの「壮年期」、45歳~64歳までの「中年期」、65歳以上の「高年期」という区分です。また、8歳~18歳までの「思春期」、18歳~40歳代半ばまでの「性成熟期」、40歳代半ば~50歳代半ばまでの「更年期」、60歳代以上の「老年期」という区分もあります。「更年期」とは、前者の区分では、「中年期」に含まれ、これは女性の場合、閉経の時期を挟んだ前後の時期となります。したがって、女性の場合、「更年期」とは、閉経の前後の時期のことをいうこととなります。日本人女性の閉経の平均年齢は50.5歳ですので、更年期の平均は、45歳~55歳となるでしょう。過去1年間に生理がなかった場合、閉経となります。閉経前の30歳代後半から40歳代前半をプレ更年期とよばれることがあります。

 

更年期症状と更年期障害

更年期に現れるさまざまな症状の中で、他の病気に伴わないものを更年期症状とよび、その中でも症状が重く、日常生活に支障をきたすものを更年期障害といいます。更年期障害の主な原因は、卵胞ホルモンであるエストロゲンの分泌低下であり、これに加齢に伴う体の変化と精神・心理的な要因、また社会的な環境的要因が加わり、これらが複合的に影響することで更年期障害の諸症状が現れると考えられています。

 

エストロゲンは、女性の生理、妊娠、出産に必要不可欠な女性ホルモンです。女性の卵巣は、脳下垂体から分泌されるホルモンの指令を受け、卵胞の中で卵子を成長させます。成熟した卵子は、卵胞から飛び出し排卵が起こります。この卵胞の成長・成熟を助けるために卵巣から分泌されるのがエストロゲンです。エストロゲンは、このような女性の生殖器に作用するだけでなく、神経、皮膚、血管、骨あるいは脳に対してもさまざまな作用を示します。これにより、エストロゲンは、女性らしい丸みを帯びた体を作り、また自律神経を整えて精神的あるいは情緒的に安定をもたらします。他にも、エストロゲンは、血液の流れを良くして、肌や髪に潤いやハリを与えるなど、女性にとってうれしい効果があります。このように、女性の体と心は、エストロゲンの分泌量に影響されることとなります。

 

女性の健康と美容に欠くことのできないエストロゲンの卵巣からの分泌量は、女性のライフサイクルによって変動します。エストロゲンは、8歳~9歳頃から卵巣から分泌され、その分泌量は30歳代半ばにピークを迎えます。しかし、その後、卵巣機能が低下するに伴って、分泌されるエストロゲンの量は徐々に減少し、40歳半ばからは急激に減少します。つまり、女性にとって更年期とは、エストロゲン量が急激に減少する期間となります。更年期障害は、このエストロゲンの急激な変化に体全体が対応することができず生じた不快な症状群であるといえます。

 

更年期障害の症状

更年期障害の主な症状は、「自律神経失調症症状」、「精神症状」及び「その他の症状」の3つに分類されます。

 

自律神経失調症症状には、のぼせ、ほてり、ホットフラッシュ(急に暑くなったり、寒くなったりする、汗が止まらなくなる、顔は熱いのに手足は冷たい等)、発汗、寒気、冷え症、動悸、胸痛、息苦しさ(息切れ)、疲労感、頭痛、肩こり、めまい、耳鳴り、口の渇き、口臭等があります。精神症状には、イライラ感、怒りやすいなどの情緒不安定、抑うつ気分、不安感、物忘れ、不眠・睡眠障害等があります。その他の症状には、腰痛、関節痛、吐き気、嘔吐、食欲不振、尿漏れ、頻尿、膣炎、性交痛、目の渇き(ドライアイ)、乾燥肌、皮膚のかゆみ等があります。

 

更年期障害の症状は、ひとつだけが現れるのではなく、今日はホットフラッシュ、昨日はうつ、一昨日はひどい肩こり、といったように複数の症状が同時に、あるいは日を換えて同時に現れることがあります。ですので、これらが更年期の女性ホルモンの低下が原因だと気が付かないと、内科、婦人科、精神科、整形外科など症状ごとに異なる医療機関の診療科を受診し、それぞれの対症療法が行われてしまうことも多いです。血液検査で、更年期障害の原因となる女性ホルモンを測定することができますので、上記の症状が、更年期障害によるものなのか、あるいは他の原因によるものなのかの判定ができます。更年期で現れる体調不良や諸症状につき、まずは更年期障害を疑い、それに対する臨床検査を行うことが大切です。

 

更年期障害であるか否か、医療機関に行く前に、まずはセルフチェックをしてみましょう。①顔がほてる、②汗をかきやすい、③腰や手足が冷えやすい、④息切れや動悸がする、⑤寝付きがわるい、眠りが浅い、⑥怒りやすく、すぐイライラする、⑦くよくよしたり、憂鬱になることがある、⑧頭痛、めまい、吐き気がよくある、⑨肩こり、腰痛、手足の痛みがある、⑩疲れやすい。これらの10項目で、多く当てはまる場合、特に基礎疾患がないのであれば、更年期障害を疑った方がよいでしょう。

 

男性の更年期障害

更年期障害は、女性の閉経前後に起こる不快な症状群であるといわれていました。しかし、特に基礎疾患のない男性にも、更年期障害が生じることが知られるようになってきました。男性の更年期障害が起きるメカニズムは、当然のことながら女性の閉経のように、体内のホルモン変動によるものではございません。男性の更年期障害は、女性と同じ年齢層である50歳前後、45歳から55歳の間で生じます。男性の更年期障害の主たる原因は、自律神経失調症によるものです。自律神経失調症は、体内のホルモン変動のみならず、他の要因によっても引き起こされます。更年期の男性における自律神経失調症の主な症状には、心理的なストレスによる抑うつや不安感といった精神的症状がみられます。女性の更年期障害でみられるホットフラッシュのような症状は男性ではみられません。男性の更年期障害でよくみられる症状は、性的能力の不全あるいは性欲の減退となります。これは、いわゆる「中年離婚あるいは更年期離婚」の原因につながるもので、今、家族の在り方として社会的に問題となる要因の一つとなります。男性の更年期障害は、管理職世代の仕事によるストレスを起因とした自律神経失調症を原因としたものであるといえるでしょう。

 

更年期障害と便秘

更年期障害では、便秘や下痢などの胃腸障害も生じます。更年期障害の典型的な症状である胃腸障害の多くは便秘です。これは、女性の更年期障害及び男性の更年期障害に共通した症状となります。更年期障害の原因は、女性の場合はホルモン変動、男性の場合はストレスとなりますが、これら女性及び男性に共通する便秘の原因は自律神経失調症となります。女性及び男性の更年期で多くみられる便秘の直接的な原因は、その原因の源泉は異なりますが、最終的には自律神経失調症となります。

 

ここで、排便と自律神経との関係をみておきましょう。自律神経は、交感神経と副交感神経で構成されています。このうち、副交感神経は、胃腸における消化吸収の働きをコントロールする役割があります。更年期障害のように女性ホルモンの変化や男性の更年期障害でみられる神経性ストレスなどで副交感神経の働きが弱まりますと、腸の蠕動運動が抑制されて便秘が生じます。逆に、副交感神経の働きが高まり、相対的に交感神経の働きが弱まりますと下痢が生じます。このように、更年期あるいは更年期障害の症状としてみられる便秘や下痢の主原因は、自律神経系のバランスが乱れることに起因します。

 

更年期あるいは更年期障害で、「たかが便秘」だからと、更年期の便秘を放置することは要注意です。更年期に起きる便秘には、大腸がんや子宮がんあるいは卵巣がんなどの重大な病気が隠れていることもあり、また便秘をきっかけに他の更年期障害の症状を悪化させる原因ともなります。

 

更年期あるいは更年期障害で便秘を放置しますと、それを原因としてさまざまな症状が現れ、また他の病気の原因ともなります。便秘になりますと、腸内に老廃物が溜まってしまうために、大腸菌などの身体に有害な悪玉菌が増殖します。そのような悪玉菌が増えますと、毒性の強いアンモニアや腐敗物質、例えば脳症を引き起こすアミン類や硫化化合物の産生が増加します。それらの有害物質は、尿毒症の原因物質となり、腎不全や心不全の原因ともなります。また、便秘で生じる有害物質には発がん性もあるので、腸では大腸がんや大腸ポリープの原因となり、また全身では、乳がん、子宮がん、肺がん、胃がん、腎がんなどの原因となります。さらに、便秘で生じる有害物質は、肝炎、肝硬変あるいは肝がんの合併症である肝性脳症、脳梗塞、脳出血などの脳卒中、糖尿病の合併症である糖尿病性腎症などの更年期で多くみられる病気の原因ともなります。便秘になりますと、おならの臭いや排便時の臭いがひどくなりますが、その原因は、腸内の悪玉菌で生じる有害成分によるものです。便秘が悪化しますと、重大な病気のみならず、お腹の張り(腹部膨満感)や吐き気・嘔吐といった胃腸障害も生じます。また、発赤、ニキビ、吹出物などの肌荒れ、さらには頭痛あるいはイライラ感といった精神症状を伴う更年期症状を引き起こす原因となります。

 

便秘は、単に腸のトラブルのみならず、他の病気によっても生じます。便が細い、黒い便が出る、排便後の残便感などの症状は、大腸がん、大腸ポリープ、直腸がん、子宮筋腫、子宮がん、卵巣腫瘍などでもみられる症状です。帝王切開による分娩で臓器癒着を起こした場合でも、便秘が生じます。便秘は、胃腸障害を原因とするものと、それとは直接的に関連しない他の病気に由来するものがあることを理解することがとても大切となります。

 

更年期または更年期障害の便秘対策

40歳代から60歳代の更年期にある女性は、閉経と関連し便秘になりやすくなります。更年期あるいは更年期障害による便秘の予防とその改善方法についてお話します。

 

更年期又は更年期障害としての便秘の多くは、自律神経の乱れによるものですので、自律神経を整えることが便秘の予防やその改善につながります。また、更年期では、腸の蠕動運動機能が衰えることにより便秘が生じますので、善玉菌が優位な腸内環境を整えることも重要となります。このように、更年期又は更年期障害による便秘の対策方法としては、乱れた自律神経系の改善と腸内環境を整えることの2つが、とりわけ重要となります。

 

自律神経の乱れを整えるためには、興奮しやすい交感神経を抑えて、副交感神経を優位にさせることとなります。そのためには、心身ともにリラックスすること、すなわちストレスを解消させることになります。乱れた自律神経系を整える方法として、日常的に無理なく行える方法は、やや温めのお風呂にゆったりとつかること、また歩くことを中心とした運動です。無理して走る必要はなく、散歩を毎日1時間程度行うとよいでしょう。このような入浴と散歩で、自律神経の乱れは大幅に改善され、それが便秘の予防や改善にもつながります。

 

症内環境を整えることとは、主に大腸に生息する大腸菌やウェルシュ菌などの悪玉菌を減らす一方で、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌を増やすことをいいます。腸内環境を整えるためには、それら善玉菌を直接摂取する方法と善玉菌を増やす作用のある水溶性食物繊維、特にイヌリン食物繊維を摂取することの2つの方法があります。前者をプロバイオティクスといい、後者をプレバイオティクスといいます。しかし、ビフィズス菌や乳酸菌を直接的に経口摂取した場合、大腸に到達するそれら生きた善玉菌の数は極めて少ないため、プロバイオティクスによる腸内環境の改善効果は非常に低いといわれています。例えば、100億個の生きた乳酸菌を経口摂取した場合、生きた状態で大腸に到達することのできる乳酸菌の数は、摂取した菌数の0.00001%程度であるといわれています。また、経口摂取した善玉菌のごく一部が、生きた状態で大腸に到達したとしても、経口摂取した善玉菌は、大腸内に留まり生育することができないといわれています。ですので、生きた乳酸菌やビフィズス菌を経口摂取したとしても、更年期又は更年期障害による便秘の改善とその予防効果は期待することができないということになります。

 

腸内環境を整える最も有効な方法は、プレバイオティクスであるイヌリン食物繊維の経口摂取です。イヌリン食物繊維は、ゴボウ、アスパラ、タマネギ、ニンニクなどの根菜類や多くの野菜類に含まれる天然の水溶性食物繊維です。水によく溶ける食物繊維ですが、水に溶けても膨潤化を起こしません。そのため、摂取してもお腹が張らない(腹部膨満感が起こらない)という特徴があります。イヌリン食物繊維は、他の食物繊維と同様に、カロリーゼロの食物成分であり、また胃酸や消化酵素では分解されないために、そのままの形で大腸に到達します。イヌリン食物繊維は、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌の栄養源となり、それらの善玉菌を増やす作用に優れています。その一方で、イヌリン食物繊維は、大腸菌などの悪玉菌の栄養素にはなりませんので、悪玉菌を増やさないという特徴があります。ですので、イヌリン食物繊維を経口摂取しますと、大腸に生息しているビフィズス菌などの善玉菌のみが増え、腸内環境が急激に改善されます。また、イヌリン食物繊維は、便秘薬とは異なり、大腸粘膜を刺激しませんので、腹痛を伴わず、自然な便の排泄が促進されます。オリゴ糖もまた大腸内の善玉菌を増やす作用がありますが、大腸菌などの悪玉菌もまた増えてしまい、結果として、腸内環境の改善効力は低いです。イヌリン食物繊維は、更年期又は更年期障害による便秘の改善と予防に最適であるといえます。

 

ところが、イヌリン食物繊維は、広範な野菜類や根菜類に含まれるものの、その含有量は非常に少ないという欠点があります。しかし、今では、スティムフローラのように、不純物を全く含まない極めて高純度のイヌリン食物繊維が、健康補助食品として市販されています。更年期又は更年期障害に伴う便秘対策として、そのような健康補助食品を活用することも有用です。

 

更年期又は更年期障害に伴う便秘の予防と改善は、生活の質の向上にとても重要となります。ストレスを解消し、また適当な運動を積極的に行い、誰でも生じる更年期障害を克服しましょうね。

 

水溶性食物繊維「スティムフローラ」

根菜類に含まれる貴重な天然成分であるイヌリン水溶性食物繊維は、腸内環境を改善し、自然な排便を促します。排便に関する苦痛を伴う方、お通じが毎日ない方、宿便気味の方、便が硬く排便が困難な方など、便の排泄にトラブルをを抱える方に、とても有用な天然成分です。スティムフローラは、この機能性の高い水溶性食物繊維を高純度に(99%以上)に精製し、飲みやすいよう粒にした健康補助食品です。不純物を全く含まないので、疾患により食事制限をしている方にも最適です。市販の食物繊維とは異なり、水に溶かさず、そのままお召し上がりいただけます。快適な、毎日のお通じのために!

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