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中国鉄路 CRH6A型~城際列車向けに導入された準高速動車

2018-08-15 | 鉄道[中華人民共和国]

昨夏MAKIKYUが中国と東南アジアへ足を運んだ際には、各国で様々な列車に乗車機会があったものの、ブログ記事として取り上げる事が出来ずに…という列車が多数あります。

その中の一つが近年、中国鉄路が大都市近郊の中距離列車(城際列車)向けに導入している準高速動車・CRH6型で、この車両には約1年前の昨夏、広東省の広州~肇慶間で初めて乗車したものでした。

中国の高速鉄道用車両は、大きく分けてCRH1235型という海外技術を用いた動車組車両が登場、その中でもCRH2型は日本の新幹線(JR東日本E2)をベースにした車両としても知られ、他の3形式は欧州のビッグ3と言われるボンバルディア・シーメンス・アルストームの高速車両をベースにした車両となっています。

その後これらの美味しい部分を寄せ集め、小改良を施した車両としてCRH380シリーズが登場し、初期のCRHは動車組列車(列車番号D~次)CRH380シリーズ各形式は高速動車(列車番号G~次)の主力として活躍、また最新型のCRH400シリーズも運行を開始していますが、中国の動車組列車はこの他に大都市近郊を走る短距離列車(列車番号C~次)も存在しています。

C
~次も既存CRH各車種が用いられる列車が圧倒的に多い状況ですが、近年ではこの短距離高速列車向けに新形式導入も実施されており、この短距離高速列車向けに特化した新形式車両がCRH6型です。

CRH
シリーズの中でも、ボンバルディアのCRH1型は元々近郊型車両がベース、扉数削減や車幅拡張、座席増設などが中国向けの変更点で、同型は他の動車組車両に比べて座席も簡素なモノが用いられています。

同型の派生型でドア数をベース車同様にした上で座席数を減らし、代わりに通路幅を広げて立席空間を増やした車両を導入しても良かったのでは…と思いますが、わざわざCRH6形という新形式を登場させたのは、中国鉄路が売店や1等座、デッキなどもない純粋な近郊輸送用高速車両を欲したのか…とも感じます。


外観は近郊型電車と高速鉄道の合の子と言った雰囲気、客扉は片開式で各車両2箇所ながらも他の高速鉄道用車両に比べると広めとなっており、専ら短距離運行で乗降性を重視した車両である事を強く実感させられたものです。


中間車は両端に客扉を設けているものの、先頭車は真ん中と乗務員室のない側の車端に客扉を配した変則配置となっており、今後設計変更で中間車を3扉にした車両の製造なども検討しているのか…と感じます。

車内に足を踏み入れると、高速列車と地鉄などの都市鉄道用車両を折衷した雰囲気、デッキなしの乗降口付近には折畳式ロングシートも設けられています。


隣車両との間の通路は一応貫通扉付ながらも、中華圏地鉄では標準的な広幅貫通扉なし車両にガラス製貫通扉を増設したのでは…と思わせる雰囲気となっており、他の高速鉄道用車両各形式とは雰囲気も大きく異なります。



車内設備も先述の通り売店や1等座もないモノクラス(2等座のみ)となっており、この座席は向きが固定されており半数が進行方向と逆向きに着席、リクライニング機能もない簡素なモノです。


通路幅を広く確保して立席空間を増やす事を意図したのか、座席自体は2+2列配置となっており、何ヶ所か座席が向かい合わせとなる箇所には大型テーブルも装備。


客車硬座に比べれば遥かにマシと感じるものの、客車軟座と大差ないグレードと言っても良く、
2等座でもJR在来線並の座席が当たり前のCRHシリーズ他形式に比べると、見劣りが否めないと感じたものです。


中国鉄路の列車では標準装備と言っても過言ではない給湯機も見当たらない状況、ただトイレだけは辛うじて設置されており、輸送障害発生などで駅間に長時間停車する事になった際の事なども考慮しているのか…と感じたものです。

総体的に見れば乗降性の良さは評価できるものの、設備は全般的に簡素で近郊輸送向けに割り切った車両という印象を強く受け、CRHシリーズ他車両に比べて設備が簡素な分、設備に見合った料金設定で短距離運行に特化した運用をして欲しいと感じたものです。

また中国では高速鉄道整備は随分進んだものの、都市内交通機関の速達性は難ありと感じる事も多い状況ですので、今後CRH6型はこの方面での活躍にも期待したいと感じたものでした。



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