富山では、呉西と呉東とがアメーバーのように分裂し、さらに呉東の方に先端技術の牽引力があるようにみえる。しかし、県下の全ての中小企業のモノづくりの資金循環を支える信金、富山第一銀行、富山銀行の取引先から分析すると、富山で伸びているのは、資源ごみのリサイクルによる展開である。これは、これまで資源ごみを買い取ってきた中国が輸入禁止に踏み込んだので、全国から伏木富山港に向かって集められる廃棄物を日本国内で「処分」する必要に迫られているからである。というのは、東京、名古屋、関西で排出される資源ゴミは、伏木富山港に陸送と内海航路で集めやすい立地にあるからだ。電車も、車も、家電も、パソコンも、改めて素材に再生され、しかも、新しい商品の素材に生まれ変わる。基本は、銅のリサイクル技術である。銅合金でも、温度差で融点が違うので、その融解点の違いを利用し、分離したり、合成できる。こうした知識が、他の元素にも生かされてくる。高岡の技術は、融解した金属を高圧で押し出し、金型をくぐらせて、さまざまな線条のパイプを作り、それをカットする技術、それはYKKの技術のルーツともなっている。つまり、技術の世界では、高岡が始原であり、そこには呉西・呉東の分裂はない。では、富山では、今なにが問題なのか。それは、県民総生産から生み出されて国庫に収納される「富山の富」を、今度は、国家資金を導入して、日本国の経済の基幹部分としての富山への国家投資を呼び込むことである。その場合、県営では、他府県とのバランスがあり、富山ファーストとはならない。日本国民の全体が、富山ファーストを認めざるをえない国家を代表する産業技術の基地化を育成する必要がある。そこで、富山県にある国営の科学研究の基地は、国立富山大学と国立高専である。富大は高岡にキャンパスがあり、工学部が高岡に発祥した関係で高岡との関係は深い。ここに理学部と融合しながら、原子・電子・ナノレベルの資源リサイクルの実用研究の基地化がもとめられる。今回、知事選挙で、新旧の交代が叫ばれ、保守がアメーバーのように分裂してきたが、呉西と呉東との戦いではなく、エンジニアリングと資源のロジスティクス・マネジメントの科学の進化によせる期待感の世代差が大きく関係している。香港と台湾では、民主が叫ばれたが、富山では、元素周期律表を身体化した理工学をめぐる科学の進化によせる先端人からの世代交代の要求である。
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