富山マネジメント・アカデミー

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高齢者が自ら人生100年時代と言うべからず

2020年02月21日 | Weblog

実は、「管子」をよく調べると、原文には「百年の計」ではなく、「終身の計」とある。また、「人を樹(うえ)るにしくなし」と訓読するのは誤り。「樹」は、「樹立」の意味。人材を登用することを「樹(た)つ」という。誰か、中途半端な学者が、原文に、一年の計は、穀物を植えるにしくなし。十年の計は、樹木を植えるにしくなし。君主の終身の計は、人材を立て、政治を任せるにしくなし、という意味である。私も78歳であるから、人生100年時代だと言いたくもあるが、天寿というコトバがあるが、人の命は「天命」の知る所のみである。70歳を超えると、ココロの欲するままに生きてもよいが、「規矩」を超えてはならない、と孔子は、自らを諫めるコトバを残している。30、40、50歳代が、高齢者に向かい、「人生100年時代、いつまでもお元気で」といのは、礼儀をわきまえた教養人のコトバである。それを真に受けて、「そうか、100歳まで頑張るぞ!」というのは、健康寿命を高めるのにはよいが、孔子の謂う「規矩」(規範やルール)を無視するような謙譲をわきまえないのは恥ずかしい。中国共産党も、指導者の老害を経験し、現職の「行政職」は70歳という線を自ら引いた。その70歳は孔子のコトバが起源である。高齢者が、自ら人生100年時代だ、と言うべからず。『論語』を深く読み込むと、孔子は70歳を過ぎて、無理難題を言って、周囲を困らせている。彼は、1点、賢いから、若い世代に学べたので、2500年も、孔子の思想は絶えることなく継承された。その孔子が勉強したのは、管仲のコトバを集めた「管子」である。

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