消費増税の必要性
~今こそ積極財政を~
平成26年(皇紀2674年)10月23日
1.目的は財政再建
小渕大臣、そして松島大臣が辞任し、安倍総理の任命責任を巡って野党が追及の手を緩めず国会での議論が空転している現状ですが、国民の関心は「うちわ」なのかそうでないのかではなく、年内には判断される10%への消費増税決断についてです。
安倍首相が8%への増税を決定した時、その目的は財政再建であることが明言されています。そしてその理由は、「国の信認を維持する」ことと「社会保障制度を次世代にしっかり引き渡す」こととされています。つまり、この2つを実現するためには、「財政再建が必要だ」ということです。
「税率を上げること」や「支出を切り詰める」といった緊縮財政そのものを目的としているわけではないということです。
そこで本号では、現在のデフレ期(まだまだデフレです)において「財政再建」を果たすために必要な政策について考えたいと思います。
2.消費税率と税収
知られている事実ですが、1997年の消費税増税時(3%→5%)に、「増税したのに税収減」という皮肉な結果が得られました。そうした情けない事態が再び10%への増税によって繰り返されてしまう事が強く危惧されます。
5%への増税直前の消費税は6.1兆円、法人税が14.5兆円、所得税が19兆円でした。消費税増税をした翌年の98年には、消費税こそ4兆円ほど増加しましたが,所得税は2兆円、法人税は3兆円以上「減少」してしまい、トータルとしての税収は減ってしまいました。
「過去の増税によって税収が減った」という事実が存在しています。
ちなみに、イギリスは2回増税し、2回とも税収を減らしています。
一方、税収が増えた時は、どのようなことがあったのでしょうか。
それは財政支出です。
デフレに突入した1998年以降で税収が増えた時、多くの企業が収益を上げられるように、一部の内閣は公共事業を増やしました。小渕内閣、麻生内閣、第1次安倍内閣がそうです。彼らは、積極的な財政政策により、大企業だけではなく多くの中小企業も携わる公共事業を増やし、乗数効果の結果、税収を増やし財政均衡へとベクトルを変えることに成功しました。(1兆円の公共事業を実施すると、建設業だけでなく、通信、運輸、製造、電力など、幅広い分野での経済活動に波及し、1.58兆円の税収増となる統計結果が得られています)
3.何をすべきか
4月に実施された8%への増税後、景気が悪化しています。統計的にみると、97年の増税時よりも大きなマイナスの影響が出ています。
つまり、今回も「増税によって税収が減った」となってしまう可能性が十分にある、ということです。
最初に書いたとおり、目的が「財政再建」であるならば、10%への決断を見送ることが当然といえます。せめて、7~9月期の景気動向で判断するのではなく、今年度の税収総額が判明してから判断すればよいのです。
なぜ今年中に判断しなくてはならないのか。
悪いクセで、斜めからこの状況を見ると、こんな感想を抱きます。
増税したい財務省は、「来年まで待つと税収減が判明してしまうかもしれないから、その前(今年中)に判断してしまえ」と考えて法案を作成した?
財務省さん、違っていたらゴメンなさい。
本当は増税に反対している安倍首相が、「増税延期」または「判断時期を延期」という英断を下すことを祈念します。
今こそ積極財政、景気上昇。
消費増税はその後です。