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空気を読む

2020-03-21 | 本の紹介
「空気を読む」という同じ言葉がタイトルに入った本を2冊読了しました。
ここ数年「KY」という流行語になり、ちょうど今の社会の混乱を表しているような言葉です。

1冊は鴻上尚史 著『「空気」を読んでも従わない: 生き苦しさからラクになる』(岩波ジュニア新書)

この本は、「埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本 2019」の第3位に選ばれました。
鴻上尚史(こうかみ しょうじ)さんは劇作家・演出家で、TVやラジオにもよく登場される方で、
私が良く目にするのは国営放送の「COOL JAPAN〜発掘!かっこいいニッポン〜」という番組です。

この本の中で、社会の空気を読みながら生きる苦しさのカギは「世間」と「社会」にあるといっています。
一見すると同じような言葉ですが、「世間」には自分個人が周りに認知されていて、
「社会」の中で自分個人として認知されずその他大勢の一部であると言っています。
空気を読むことを強いられるのは「世間」、住む地域や所属する学校・会社、家族や親族にあたり、
かつてはその集団が安定して存続していくために、異端なものは許されなかったのです。
逆に「社会」の中で自分は特定されないでの、「自分は無関係」と冷たい人間になりがちな日本人、
海外には世間が無いのに日本にはあって、しかも中途半端に壊れているのが今の日本なのだそうです。
そう理解すると、今は命を取られるわけでもないので、他の「世間」に逃げてもいいわけですよね。

この一冊は社会学的な見地から「空気を読む」ことを論じていたのに対して、
次の一冊は脳科学的な見地から「空気を読む脳」を理論的に論じています。

中野信子 著『 空気を読む脳』(講談社+α新書)
中野先生は私が好きな番組に出演されていて、理論的に冷静に話される姿に好意をもっています。
日本人の「空気」を読む行為は、すぐれた協調性、絆の深さ、恩や恥を感じる心にもつながるでしょう。
それは逆に「生きづらさ」や「不安」「忖度する心」「バッシングの快感」「人を引きずりおろす快感」
「ルールを守らない人間を懲らしめたい欲求」といったものを生じさせる原因にもなります。

これら様々な現象の背景には脳の影響があり、脳内物質の量の多さ少なさに由来していて、
日本人の幸福度の低さの問題も、脳内ホルモンという生理的な特質からきているそうです。
ただ、日本人特有の「良心的で慎重で注意深く調子に乗らない、真面目でネガティブな未来を感じる力」
こそが日本人の長寿に関係しているという調査データが!
そして、その反対の気質「陽気で楽天的」な人は長寿ではなかったそうで、
これは、まさに今の世界の国別感染者状況を表しているのでは?!とビックリしました。

何を良しとするか幸せの基準は、その人により様々で良いと思います。
不安に思いながら長生きするか、陽気に生きて短命で終わるか、そもそも長寿は幸せなのか、
所属する「世間」にいつも振り回されなければならないのか?
子育て中の方は中野先生の本の中の「褒めて育てるは子どもを伸ばさない」に注目して下さい。
どうしても褒めたいのなら、何を褒めるかが肝心だそうですよ。

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