2020年02月18日

シウマイ弁当が届かなかったこと

大黒ふ頭に着桟中のダイヤモンド・プリンセス号に届けられた崎陽軒の4000個のシウマイ弁当が乗客の口に入らなかった件について考えてみた。

もっとも、私は横浜市民だが、それほどシウマイ弁当は好きではない。シウマイが小さすぎるし、肉の量が少ないように感じている。が、本題とは関係ないので味の話はしないことにする。

話を戻すと、そもそもこの船(の従業員)と外部との連絡の流れだが、複雑なのではないだろうか。私も海運代理店7ヶ所などを営業していた会社の社長だったのだが、外国船(特に不定期船)が入港する時には、その船の運航会社が世界的に有名な総代理店に依頼し、その総代理店が現地の代理店を通して外部と連絡することがほとんどだ。

世界的な代理店というのも、2社寡占状態(W社とI社)で、最終的な現地代理店はユニエックスエーゼンシーという会社(港湾への届出)で、この会社は全国5ヶ所で営業していて横浜では中区に営業所があり、全社員で120名近いが、他の営業所の仕事や違う船の仕事もあるだろうし、人工島である大黒ふ頭には拠点(建物)がないので大苦戦だろうと思われる。

さらに、この船はP&Oという大会社の所有船で、船員もそこで乗船させているだろうが、運航しているのは別のグループの会社(何らかの事情があるのだろう)。つまり、本船のクルーへの連絡には最低2社が間に入っているわけだ。(現場では直接の口頭などのルートがあるだろうが、船内の組織も複雑なのでうまくいかない)

船内の組織だが、一番偉いのは船長だが、船長だけでは何もできない。何しろ乗員は1000人だ。(乗客と乗員の比率が、2.5:1ぐらいが、並みのクルーズ船である。本船もそういう数字だ)

クルーズ船や客船ではない場合でも、船員は航海士と機関士に仕事がわかれ、それぞれの資格によって、階級が与えられる。一級航海士とか二級機関士とか。クルマでいえば運転者とエンジン係がいるわけだ。さらにクルーズ船は、まさにホテルと同様なので、接客専門だったり料理専門だったりエンタメ専門とか別組織になる。機能的にいって分業制度になるしかないわけだ。(もちろん緊急脱出訓練は一緒にやるだろうが、今回はまったく逆。緊急隔離訓練なんかしないだろう。普通の会社と同じように各部門のトップが集まって会議をしているのだろう)

シウマイの件も、船側も理由がよくわからなかったのだろうと思う。「キヨウケン」「シウマイベントウ」。意味が通じたのだろうか。まずいことに、コンビニ弁当と異なり、シウマイベントウは赤いフタの紙箱に入っていて中身が見えないし、まとめて大きな段ボールに入っていたのだろうと想像できる。さらに情報のキーになる乗員が無事ならいいが、入院してしまうと、わけがわからなくなる。

また、乗客からの連絡の多くは申し込んだ旅行代理店を通してだろう代理店から直に運航会社につながっているのかどうかはわからない。自宅に届いているH旅行社からのツアーパンフレットには、この船によるツアーも含まれているが、他社も同様ではないだろうか。情報混乱が起きるのは必然のような気がする。


一方、船内の食の安全性から言うと、罹病したかもしれない船員が調理した手作り料理よりも、コンビニ弁当や駅弁の方が優れている。船内には、大型の焼却炉があるはずなので、もったいないが残り物や容器も安全に焼却することができる。


思えば、大黒ふ頭に仮設の対策本部を建てて、関係者が情報共有する必要があったのだろうと思われるが、すでに遅いだろう。港湾への届け出では20日の17:10出航予定となっているが、延長になるだろう。船内消毒とか、どこでどうやるのだろう。ちなみに建造地は長崎である。


この記事へのコメント
日本人だけでも元々聞く耳を持たない人もいて一方向からの情報の周知だけでも困難なのに多国籍でおまけにそのような複雑な経路だったら大変な混乱だったでしょうね。

習近平の来日が予定されているので中国人の全面的な入国禁止措置は難しい上に、中国が情報を隠していたから深刻度も中々分からなかったことを考えると、安倍さんの決断が遅いと非難したいけど、しにくいですw。

船籍も運行会社も日本じゃなく日本はとばっちりを受けただけなのに、しかし、まあよく頑張る国民です。都市ごとまとめて監禁するような国とは違い、日本は善意ある中々良い国じゃないですか。善意のお人好しで食い物にはされるでしょうけど…。
Posted by さなえ at 2020年02月19日 14:43
さなえさま、
人類がはじめて迎えた危機らしいです。スペイン風邪のように全地球的に感染し、弱いDNAを淘汰する。ちなみにスペイン風邪は全人口20億人中、5億人が発症し、1億人の葬式があったそうです。70億人だと3.5億人の計算になります。

クルーズ船はみかけはHOTELですが、しょせんは船です。夜は狭いところで寝るしかないです。部屋から出ないというのは潜水艦に乗っているようなものです。
Posted by おおた葉一郎 at 2020年02月19日 18:05