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THE PONDS
Curzon Home CinemaというVODサイトで"THE PONDS"という映画を観た。たぶん、日本では観れない映画なのだけれど、エピソードとして面白かったので紹介しよう。

ロンドンの北部にはHampstead Heathという大きな公園がある。この公園にはいくつか池があり、これらの池で泳ぐのがHampstead Heathの定番の楽しみ方になっている。"THE PONDS"はこのHampstead Heathで泳ぐ経験をそこで泳いでいる人へのインタビューを通じて描いた映画だ。

当然、温かい夏に泳ぐ人が多い。夏はMartin Parrの写真のように観光客様とした人で池は溢れる。でも、実は冬の寒い時期にも毎日のように泳ぐ人々がいるのだ。ご高齢な方が多くてもう泳いで50年以上になるという人もいる。彼らにとって池で泳ぐのは人生の最も良い部分のようでとにかく嬉しそうに話す。冬は水温が3度ぐらいになり、インタビューを受けるおじさんがあからさまに震えていたりするのだけれど、そのコメントは含蓄にあふれているようでもあり、ただのアホのようでもある。

あるご高齢のご婦人のコメント。人生は30台、40台、50台とどの10年もあらたな波があるけれどだんだん身体のいろんなところにガタがくる。だから、70歳になる日、何か身体的な新しいチャレンジをしようと思った。そして、トレーニングを積んで、70歳になった日、冷たい池で泳いだ。それができたとき、自分の身体に誇りをもてた。

別の中年女性のコメント。これだけ冷たい池で泳げたならどんな人生の苦しみにも向き合える。

ある男性のコメント。妻を亡くした日、この池で泳いで救われた。ここで泳ぐとあらゆる辛いことが忘れられる。

池の水面に反射する光。池を囲む緑。人々の笑顔。

とてもよい映画だった。COVID-19で池は今は閉鎖。この人たちはどうしているんだろうと思わずにはいられない。


# by mydaytoday | 2020-04-12 07:01 | 映画
サッカー観戦
コロナウイルスがイギリスに押しよせる前にサッカーでも観ておくかと思い立った週末。ロンドンにはアーセナルやチェルシーといったプレミアリーグの名門チームがあるが、この日はタイミングの都合でロンドンでは恐らく最弱のウェストハム・ユナイテッドFCの試合を観戦することに。

ウェストハムの試合前の順位はプレミアリーグで18位。プレミアリーグでは18位~20位のチームはシーズン終了後、降格となってしまうので、まさに降格争いの真っただ中にいる。

一方で、育成が得意なチームとしても有名で下部組織を含めた出身者にはジョー・コール、フランク・ランパード、リオ・ファーディナンド、ジャーメイン・デフォー、マイケル・キャリックと錚々たる顔ぶれが並ぶ。日本の野球でいうと広島カープみたいな感じだろうか。

試合のチケットは当日でも行けなくなった人から購入することができる。ネットでチケットを購入してovergroundの電車に乗り、ウエストハムの本拠地のあるStratfordへ。

Stratfordはロンドンに東側に位置する地域。この辺りは昔は貧しい人が住む場所という位置づけで治安もあまりよくなかったが、ロンドンオリンピックを機に再開発が進み、今はヨーロッパ最大のショッピングモールやスタジアムのある立派な街になっている。

ショッピングモールのフードコートで昼食を済ませ、スタジアムへ。スタジアムのすぐ隣にはArcelorMittal Orbitというタワーがあり、世界一高低差がある滑り台があり絶叫系であるらしい。

JとKの入口の間のチケットセンターでチケットを回収し、入場。あまりサッカー観戦をしないものだからどの席をとればよいのかわからず、なんとなく真ん中あたりの前から2列めの席を選んでいたのだけれど、座ってみてまあそうかと納得。回りは選手に熱声を送る熱心なファンで埋め尽くされていた。

15時試合開始。試合開始とともに何やらチームの応援歌のようなものを皆で歌っている。

カモン!ウェストハム!カモン!(頑張れウェストハム)

ウェイ、イージー!(簡単に突破されすぎ!)

ウェアアーユー、ウェストハム!(ちゃんと守りに入って!)

と怒号が飛ぶ。

ファ〇ク!という声もしょっちゅうだ。

応援のかいあってか

15分に新加入のFW、ボーウェンがローパスを華麗にトラップしてゴール右隅に流し込み先制。

ところが徐々に守りに入る時間が多くなり、31分にサウサンプトンのマイケル・キャリックに1点返され、同点。

そのままハーフタイムへ。

後半はウェストハムが2点追加して勝利。

試合が終わるとまたチームの応援歌の大合唱。

回りのファンはいずれも辛口でいかにもなんだけど、中でも前列のおじさんが声も大きく、怒りが乗ってくると地団駄を踏み始めてすごかった。

途中、後ろのファンの怒声を聞いて、お前は本当のファンだ、と意気投合していたのだけれど、英語の訛りがすごすぎてほとんど何を言っているのかわからなかった。


DSC_0986
終始前傾姿勢だった前列のおじさん。


# by mydaytoday | 2020-03-01 04:53 | ロンドン
パラサイト 半地下の家族
米国アカデミー賞で多言語作品として初めて作品賞を受賞した作品。週末に訪れたバービガンセンターでたまたま上映していたので観てみた。

(以下、多少のネタバレあり)


More
# by mydaytoday | 2020-02-28 05:49 | 映画
ジョジョ・ラビット
ラボの皆さんとジョジョ・ラビットという映画を鑑賞。
空想上のヒットラーと友達の少年の視線をとおして戦時中のドイツの状況を描いた映画。

重たくなりがちな戦争映画のメッセージを、
少年の視線をとおして描くことで映画として楽しめるものにまとめることに成功している。

空想上のヒットラーは少し間抜けでどこか憎めないキャラクターであり、
様々なシーンがロックな音楽と雰囲気のある映像とともに描かれているので
戦争映画がこんな軽くていいのかという向きもあるかもしれない。

少し愉快な空想のヒットラー、太った少年の友人、少年を指導する愉快な大尉など、
魅力的なキャラクターが出てきて、印象深いシーンを残すことに成功している。

少年の母親はスカーレット・ヨハンソン史上最もかっこいいキャラクターかもしれないが
実際の母親はこんな状況で子供を家に一人残したりはしないと思う。

# by mydaytoday | 2020-02-28 05:48 | 映画
温暖化とベジタリアン
ロンドンにはベジタリアンが多く、地球温暖化に対する危機感は日本に比べてずっと高い。今日はそのことについて書いてみたい。

毎週月曜日、所属グループのミーティングがある。論文紹介と研究発表が交互にあり、今週は論文紹介。地球温暖化に対して、脳科学者がどのように貢献できるのか、ということを問うレビュー論文が紹介された。

お馴染みの議題なのか議論は洗練されていた。
- 地球温暖化に対する取り組みは、短期的な報酬がないにも関わらずある信念に則って着手されるという点で宗教と似ている
- 地球温暖化に対する取り組みを奨励あるいは罰する報酬系が整備されていないということが問題
- 社会心理の領域ではないか。social decision makingの問題ではないか
- 結局、程度問題。子供を産まないというのが地球環境には最も良いが誰もそのアプローチは選びたがらない。
- 地球環境に対するメリットとその他のメリットのバランスを考えなければならない

その中で何度か、ベジタリアンになるかならないかという話題があった。
なぜそれが地球温暖化と関連するのか最初わからなかったが、
NetflixのCOWSPIRACYというドキュメンタリーをみてその根拠をたどることができた。

ドキュメンタリーの主旨はこう。
- 地球温暖化の主要因は畜産業
- 温室効果ガスの51%は食肉生産のための家畜業により発生している
- これは利権に関わるのでほとんどの地球温暖化の取り組みのターゲットから外されている

よくよく調べるとこのドキュメンタリーの主張の根拠が必ずしも正確でないことがわかってくる。
憂慮する科学者同盟のブログでは、
- 科学者の現在のコンセンサスは「畜産業がしめる温室効果ガスに対する比率は15%程度」としている
- 彼らは畜産業の悪影響について何度も発表している
としている。

憂慮する科学者同盟のブログ記事

ただ、15%は十分大きな比率であり、その話題を一般に知らしめたという点でドキュメンタリーの意義は評価できる。

調べていくと、畜産業の悪影響を小さくする取り組みも進んでいることがわかっていた。
ある研究によると牛の飼料にある種の海藻をまぜることで牛が排出するメタンガスの50%をカットできるらしい。

海藻によってメタンガスを削減する取り組みに関するwiredの記事

もう1つの解決策は牛を食べないこと。その解決策を推し進める上でカギとなりうるのが人工肉だ。

そんなわけで今日、Beyond Meatという植物性の人工肉をつかったベジタリアンバーガーを食べてみた。Honest Burgersというハンバーガーチェーンのビーガンバーガーである。価格は13.5ポンドと高いが、これでも研究段階に比べれば随分安くなっている。

Plant Burger @ Honest Burgers

Beyond Meatは牛肉の味の再現を試みているらしいのだけれど、パテを切りとり食べてみると確かに、牛肉の焦げた風味、一様でない噛み心地、肉汁に似た旨味がある。実際の牛肉より食感は軽いし、旨味もそこまででない気がするけれど、それでも驚かされるクオリティーだし、十分においしかった。

子どもを持つと未来を危惧する気持ちが強くなるけれど、少しだけポジティブになれた。



# by mydaytoday | 2020-02-16 03:22 | ロンドン



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