その9 選ばなかった未来その11 優しさ

2019年07月10日

その10 かりそめのゴール

キャンプ地はその村がある山の 本当の頂上にある野原だった 
ボク達は本当の頂上に登る手前の最後の村の一軒の家で水をもらい
洗面所の冷水で体を拭かせてもらって服も着替えた
なぜならキャンプ地と呼ばれるその場所にはこの家の住人の話じゃ水道も川も
施設のような建物もトイレもない本当のタダの野原だそうだ

ボク「おいウィリアムお前はそんな所で寝るために 火を起こすためにこの先
この果てしのない斜面を登っていこうという考えか?店も水もトイレもないあの丘の上へ
行こうっていうのか?」

ボクはそれよりここの家の隅っこでテントを張って寝るべきだと提案した 
ここなら水もあるそれに暗闇でどこに道があるのかよく見えない夜の中にボク達はいた 
でもそこにいた村人の一人のおじさんはココで眠ってはいかんと言ってどこかに電話を掛け
話し終わった後ボク達を丘の上まで案内しようという 足元を掬われる急斜面をおじさんは
先頭に歩き丘の上に来た時車が数台停まっているのが見えた 大音量の音楽は
そこから流れていたのだった 
町から来たらしい10人ほどの若者達がどんちゃん騒ぎをして酔っていて辺りには
ビール瓶が散乱している

ウィリアム「こんな質の悪そうな奴らの傍じゃテントなんか張って眠れないな‥‥」
ボク「何のために死ぬほど歩いたんだ‥‥
ウィリアム「奴らから出来るだけ離れてテント張るしかないなあぁ最悪
ボク「でもボクはこのおじさんが家に招待してくれるんじゃないかって期待しているんだ
ウィリアム「それはないだろう考え過ぎだ」
ボク「じゃあなんでこのおじさんボク達の道案内をしているんだ?ここがキャンプ地なら
おじさんまだボク達をどこかに連れて行こうとしているじゃないか
ウィリアム「多分あの酔っ払いがいない静かな所まで案内してくれてるんだ

ボクはウィリアムよりジョージア語が分かる
(バトゥミの安宿で1カ月間彼女から教わっていたから)
だけどウィリアムはロシア語は随分話せる それは半年以上ロシア圏を旅してきただけでなく
ロシア人の彼女を見つけて3カ月一緒に旅しながらロシア語漬けの日々を送っていたからだ 
そしてここジョージアはロシア語が通じる国だから2人で協力してジョージア人との
やり取りを可能にしてきた だがこの目の前のおじさんは酷い訛りが入っていて
何言ってるのか全然わからない上に酒も入ってる 
しかしさすが厳しい寒村で生きているだけあって酔っていてもグングン斜面を進んで
ボクの手を握って引っ張ってくれるそして本当のてっぺんに辿り着いた時
そこには女の子と犬がボク達を待ってくれていた 
彼女がこのキャンプ地の経営者という事だった 


つづく 

犬はただの野良犬だった
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photon_5d at 19:38│Comments(0)2018ジョージア 

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