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【石油価格低下で実体経済は恩恵大も金融経済は動揺へ】「古い世界」は石油とともに終わる③

2019-11-03 09:55:33 | アメリカ

前回からの続き)

 あと〇〇年で枯渇する!とか、ペルシャ湾岸情勢がヤバい!ということで、需給ひっ迫や価格高騰のリスクが取り沙汰されることの多い石油ですが、(もちろん「油断」は絶対に禁物ではあるものの、)前述の事情などからすると、じつはその需給は現在、世界的に見て緩和気味であり、したがって価格も安定・・・から下がるトレンドにある、といえるでしょう。とくにアメリカシェール革命にともなう原油の増産がこのあたりに大いに効いている、といった感じがします。

 ・・・となると現実的には、いまは逆の面のリスク、つまり原油の価格下落がもたらすリスクのほうに、いっそう注意する必要がありそうです。具体的には、将来、石油は足りなくなって価格が上がるだろう、といった甘い?見通しに基づき、相当に高い採算ラインに立って油田開発にのめり込んだ国々や企業などが、上記想定外の市場環境で、当てにしたほどの収益を上げられずに資金繰りに窮する→これら国債、および当該企業の株価や社債価格が急落(利回りは急上昇)→これを嫌気した投資家が一斉にエネルギー関連株やら債券を投げ売り→金融市場が動揺→恐慌へ、といった事態です。こっちのほうがよほどヤバい!というべき、差し迫った危機になっていきそうな気がしてなりませんが・・・

 このへんを予感させる(?)事態がアメリカでもすでに起きています。日経新聞が掲載しているFinancial Timesのレポートによれば、いま独立系の小規模シェール業者が資金調達に苦しんでいるとのことです。原油価格が下落し、投資家も銀行もおカネを出さなくなってきているためです。そんな中、今年の倒産件数が増加しており、とある法律事務所の集計では9月までに33件であり、うち27件が5月以降に発生し、2018年通年とほぼ同じになっているそうです。こうしたせいか、銀行も将来の石油・ガス価格をこれまで以上に控えめに想定するなど、業者への貸し出し基準を厳しくしつつあるそうな。となると、上述原油価格の低下が続けば、さらに多くのシェール企業が資金ショートに追い込まれて破綻し、貸し手の債権は焦げ付いて、といった上述の世界的な危機の連鎖が、皮肉なことに、シェール革命を享受するアメリカから始めに起こりそうな可能性も高そうです(?)。こちらの記事に以前、金融恐慌は米社債市場から始まるだろう、と書いたのは、その時点から、上記事情が、ある程度、予想し得ていたためです。

 このようにアメリカ・・・を筆頭とした世界各国は、原油価格のいっそうの低下で、実体経済とか国民生活は大きな恩恵を得られそうですが、いっぽうで金融経済の方では今後、上述した株や債券等の価格低下や不良債権の増加がもたらされ、最終的には金融システムの機能不全のような大きな危機勃発は避けられない・・・ような気がします。

(続く)

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