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人類の未来 人類の覚醒と真実 健康の真実

オーストラリアの大学の研究者が「恐怖の記憶を消滅させる」脳内のメカニズムを発見。それはDNAのエピジェネティクス的な働きによる

投稿日:2019年2月20日 更新日:

私たちは自分の中に「恐怖の記憶を消滅させる」機能を持っている

 

2019年2月19日のオーストラリア・クイーンズランド大学のニュースリリースより


University of Queensland




 

恐怖という観念と人生

私は、「恐怖という観念」というものと、相当幼い頃から対峙し続けていた人ではありまして、

「原因の知れない恐怖」

というようなものが、相当小さな頃……記憶のある時からですから、3歳くらいの時から、しかも、いろいろとありました。

今に至る記憶が芽生えた頃には、すでに「経験したことのあるはずのない恐怖」が自分の中には存在していました。

そして、このように大人すぎるくらい大人になってきた中で、それを解消していくことが今の世に生きている目的のひとつだというように思っている部分があります。

なかなか進展しないのですけれど、それについては、4年ほど前の、

自分が「今生」に生まれた理由がやっとわかったのは嬉しいけれども、恐怖と不安からの解放の前に立ちはだかる「西洋科学的思考」
In Deep 2015年04月17日

という記事から少し抜粋させていただきます。

2015年04月の In Deep 記事より

私には「幼少からの根源的な恐怖」があります。

これを言葉で説明することは大変に難しいですが、神経症やパニック障害などだけの問題ではなく、人生の上で「厳しかった多くのこと」の基本的な原因はそこにあると思っています。

しかし、なぜ3歳とか4歳とか、そんな小さな時から自分はこの世に対しての根源的な恐怖を持っていたのだろうと考えると、その理由はわからないです。

ただ、今後どれくらいあるかわからない自分の人生の主たる目的が、中村天風さんの本を読んだ後に翻然と頭の中に出てきたのです。

その「私の目的、あるいは私が生まれた意味」とは、

「この根源的な恐怖と対峙して、これを消し去る」

ことです。

ここに「来世」とか「転生」などという意味を含めて言いますと、私の今後の人生の「責任」は、

「今生の中、つまり今生きている時代の中で自分の根源的な恐怖を消し去る」

ことだと認識し始めたのです。

この世に「輪廻転生」という概念が仮にあって、そして、それは次の世(来世)に「同じ気質」として伝わっていくのだとすれば、私が今のまま根源的な恐怖を解消しないままで死んでしまうと、

「来世に同じ苦しみを残すことになる」

と気づいたからです。

私はずっとこの「根源的な恐怖」から目をそらしていました。

例えば、不安ならどれだけ極度なものでも、ベンゾジアゼピン系の抗不安剤やお酒をたくさん飲めば、まずは回避できます。

その「消極的な対策」が今まで、どれだけ自分の肉体や脳を破壊し続けていたかは、「ブラック・フラミンゴが現れた地球。そして、数百万人の「ベンゾジアゼピン依存症」が作られている日本」という記事でも記しました。

何しろ、私が持っている不安と恐怖は、大人になってからのものではなく、「記憶があるころから始まっている」という強固なものです。それ以前からあった可能性があります。「生まれた時」から、あるいは、「母親の中で生命として芽生えた瞬間」から、すでに私は根源的な恐怖を持っていた可能性があるのです。

この状態を来世にまで引き延ばすことがどれだけ罪なことかを、最近少し実感したのです。

「もし来世というものがあった場合」ですが、私は、とんでもない大きな傷を次の世に受け継がせていく、ろくでもない存在となります。

いや、実は、来世だの輪廻転生があるかないかなども関係ないかもしれません。

今生を良くするということだけにでも意味はあるとは思います。

ここまでです。

この中の、来世とか転生とかの概念は、たわ言だと考えられる方もいらっしゃると思われますので、それらのことはともかくとして、私は、

「恐怖の記憶がある場所」

というものに興味がありました。

物質的には「脳の中」であろうことはわかるわけです。

なぜかといいますと、

上の抜粋部分に、

 

> 例えば、不安ならどれだけ極度なものでも、ベンゾジアゼピン系の抗不安剤やお酒をたくさん飲めば、まずは回避できます。

 

とありますように、薬やアルコールが「効果を出す」ということは、脳内の物質に作用する部分があるから、そのようになると思われるからです。

ですので、「恐怖が蓄積されている場所」は、確かに身体、その中の「脳」にあるのだとは思います。

ただ、抜粋部分に「根源的」と書きましたように、経験したことのないはずの恐怖に対して、相当小さな時から、私は恐怖の観念をいろいろと持っていましたので、その部分の、

「まだ何も経験していないような 3歳の子どもの脳に、どのように大人だけの経験によって生まれるような恐怖が伝達されたか」

についてはわからないままです。

 

まあ、それはともかくもとしても、脳に存在している「恐怖の概念の蓄積場所」について知りたいなと思い続けていました。

そんな中、昨日(2月19日)、オーストラリアの名門大学であるクイーンズランド大学の科学者たちが、

「恐怖の記憶の消去のメカニズム」

を発見したことをニュースリリースで報じていました。

それは、DNA と関連して起こる、いわゆるエピジェネティクスという DNA の配列変化によらない遺伝子発現の制御や伝達システムの中に起きるもので、決して単純な話ではないのですが、そのメカニズムが発見されたという科学的成果よりも、私は、

人間(あらゆる動物)は、自分の遺伝子の中に《恐怖の観念を消滅させる》正確なメカニズムをきちんと持っていた

ということに、感動というか、なるほどなあと思ったのです。

今回は、そのニュースリリースをご紹介させていただこうと思います。

 

なお、今の私は「西洋医学の薬」というものに対して、基本的なところでは好意を持たない面がないではないのですが、しかし、

「恐怖の概念の消去に役立つ薬」

というものが登場することがあるのならば、たとえ一時的ではあっても、そのような苦しみを抱えている人の中には、助かる人たちがたくさんいるかもしれないなと正直思います。

 

私は、かつて、ちょっとした偶然のつらなりで、PTSD (心的外傷後ストレス障害)と呼ばれる疾患にかかっている女性たちと数多く知りあったことがあります。

PTSDは、強烈なショック体験などが、その事象の後から、繰り返し、その恐怖がこみ上げるようなもので、一般的には長く続きます。そして、その多くは、パニック障害を伴います。

その女性たちの苦悩の様子はすさまじいもので、「恐怖の記憶から逃げたい」という望みは切実なものでした。

女性の場合は、性的な被害などで PTSD に陥る人もかなり多いようで、そのような女性とも知り合いだったことがあります。

男性から見ればどうということもないような性的なアクションが、ある女性たちにとっては、信じられないほどのショックだったりすることもあるのです。

しかし、PTSD の人たちに対しての現代の医学の対処は、「大ざっぱな投薬」が、ほぼすべてとなっています。

PTSD の人たちが、たとえば、神経内科やメンタルクリニックに行ったとしても、そこでは、

パニックになった時の抗不安剤(ベンゾジアゼピン系)

か、

うつになった時の抗うつ剤(SSRI含む)

を処方される「だけ」というのが、ほとんど日本のすべてのメンタル系の病院での接し方です。

 

しかし、PTSDの人たちに本当に必要なのは、

恐怖の記憶を消去すること

であるわけです。

PTSDの人たちは、それはもう本当に人生すべてをかけて、恐怖の記憶の消去を切望していると思いますが、それができないから困っている。

 

しかし、今回のクイーンズランド大学の発表は、もちろん、そこに入り込む具体的な方法がわかったわけではないにしても、

「人間のどの部位が恐怖の概念を支配しているか」

に関しては、わかったのです。

そして、

「脳の中には、《恐怖を消し去るメカニズムが存在する》」

こともわかったのです。

 

ですので、薬云々ではなくとも、遺伝子の中のそのエピジェネティクス的な変化を「起こさせる何かの方法」が判明すれば、恐怖の観念に人生を縛り付けられている人たちすべてが、

「恐怖から解放される可能性」

がある、ということを知っていただきたいと思って、ご紹介させていただきます。

ちなみに、ニュースリリースそのものは、専門家相手のもののようで、途中からは大変に難解な言葉が出現し続けます。

それらの言葉について、ひとつひとつ解説を加えようか迷いましたが、むしろ読みにくくなりますので、Wikipedia などへのリンクを示して、あとはそのままとさせていただきました。

それにしても、今回もマウスでの実験なのですが、前回の記事「プラスチックが「100%の人々の体内に存在する」可能性が高い中、プラスチック製品に含まれるフタル酸エステルが「メスの妊娠率を著しく下げる」ことが…」でも、マウスでの実験でした。

マウスさんたちには本当にご迷惑をおかけしているなあと、結構真面目に申し訳なく思いますけれど、マウスさんたちにはお許しを願えればと思います。

それでは、ここからです。


Extinguishing fear memories relies on an unusual change to DNA
University of Queensland 2019/02/19

恐怖の記憶の消滅のメカニズムは DNA の通常ではない変化に依っていた

 

オーストラリア・クイーンズランド大学の研究者たちが、「恐怖の記憶を消去する能力」を高める DNA の修飾(DNAに含まれる特定の官能基を化学的に変化させ、活性などの機能を変化させること)を発見した。

科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス(Nature Neuroscience)」に発表されたこの調査結果は、恐怖の記憶に関連する不安障害に対する新しい治療法の開発に役立つ可能性がある。

研究者の主任であるティム・ブレディ教授(Professor Tim Bredy)によれば、人間が持つ「恐怖の記憶」は、生活する環境の中で突き当たる危険などの状況に対して最適の方法で対応できるための人類の重要な生存メカニズムだが、しかし同時に、人間には「不要となった恐怖の記憶を抑制する能力」があることがわかったと述べている。

恐怖の消滅は、恐怖に対する対抗的なバランスとして働く。それは元の恐怖の記憶と競合する同様の環境要素を持つ新しい恐怖ではない記憶の作成を含む。

「恐怖」と「恐怖の消滅」のバランスは、認知の柔軟性にとって重要であり、脳が状況の変化に迅速に適応することを可能にするとブレディ教授は言う。

さらにいえば、心的外傷後ストレス障害(PTSD)および、恐怖症の両方における重要な特徴は「恐怖の消滅に対しての障害」ということがある。

 

 

重要な脳の領域は恐怖の消滅に重要な役割を果たす

研究では、前頭前野の小さな領域が、恐怖の消滅の学習、および記憶の作成の過程において重要な役割を果たすことを示す。

そして、脳のこの領域におけるニューロンの活動は、厳重なエピジェネティック的な制御下にある。

ブレディ教授は以下のように述べる。

「私たちの DNA は静的ではありません。 DNA 上の化学タグは、遺伝子の発現を増加または減少させることができるディマースイッチ(車のヘッドライトを下向きにする減光するスイッチ)のように機能しているのです」

しかし、そのようなエピジェネティクス的な変化によって恐怖の記憶の消滅がどのようにコントロールされているのかは、まだ正確にはわかっていない。

DNA についてのこれまでの科学的理解では、シトシン(C)が、修飾され得る唯一の DNA 塩基であると考えられていた。しかし、今では、アデノシン(A)も、化学的に修飾されることが明らかとなっている。

クイーンズランド大学の研究者であるシャン・リー博士(Dr. Xiang Li)は、このような脳内のエピジェネティクス的な修飾は常に遺伝子のディマースイッチを無効にし、遺伝子活性を低下させるのに役立つと考えていると説明する。

さらに、学習と記憶に関連して、シトシンへの修飾のみが観察されたと彼は言う。

そして今、ブレディ教授とリー博士らによって、ある種の遺伝子の活性を高めるアデノシン修飾によって、恐怖の消滅の記憶が形成されることが発見されたのだ。

この新しい研究では、マウスたちが箱の中に置かれ、そこでは、特定の音が聞こえた後に、人間の足の振動が続いて起きるようになっている。

マウスたちはすぐに音と足の振動を関連付け、音が聞こえると凍りついた。

この恐怖の消滅を促進するために、マウスたちは別の箱に入れられた。

そして、そこでも同じ音が繰り返し流されたが、こちらの箱のほうでは、それに続いて人間の足での振動は起こさなかった。

その後、マウスたちが元の箱に戻されたとき、彼らはもはや音を恐れることはなくなっていた。

研究者たちは、それらの恐怖が消滅したマウスたちのニューロンの DNA を調べ、そしてゲノム上の 2800 以上の場所に修飾された「 N6-メチル-2'-デオキシアデノシン(m6dA)」というアデノシンの存在を発見した。

そして、チームは m6dA が学習と記憶を育むことが知られている「脳由来神経栄養因子(BDNF)」の遺伝子に蓄積することを発見した。(※ 脳由来神経栄養因子の説明はこちらです)

興味深いことに、m6dA は恐怖の消滅中に BDNF の発現を増加させる。

ブレディ教授は以下のように述べる。

「これまで、 m6dA は、遺伝子サイレンシング(エピジェネティクス的な遺伝子制御のこと)においてのみ役割を果たすと考えられていました。しかし、そうではなかったのです」(※ 遺伝子サイレンシングの説明はこちらです)

「これらの非常に特定のニューロンを見て下さい。そして彼らが積極的に学習しているときに、それらの DNA に何が起こっているかを見てほしいのです」

リー博士もまた、以下のように言う。

「細胞型の特異的な方法だけではなく、状態依存的な方法で DNA 修飾を調べたのは、今回の研究が、これまでで初めてのこととなります」

「今回の研究で最も刺激的な部分は、BDNF (脳由来神経栄養因子)での m6dA の蓄積が、活動的なニューロン内でのみ起こったことを発見したことでした」

 

 

過去の恐ろしい記憶の消滅におけるエピジェネティックな変化

言い換えれば、これらのニューロンのゲノムにおける、このようなエピジェネティックな変化は、恐怖の消滅の間にだけ起こる。

アデノシンを化学的にタグ付けして、それを m6dA に変えることを担う酵素はよく知られており、そして、リー博士は、それが恐怖の消滅の間に非常に忙しく働いているに違いないと推論している。

これを確認するために、リー博士は一群のマウスにおいて、この酵素の遺伝子をスイッチオフにし、先ほど記したのと同じ音と振動による実験を繰り返した。

この実験で、マウスたちは、音を恐れることは学んだ。しかし、その酵素の遺伝子をスイッチオフされた彼らは、恐怖の消滅の記憶を形成することができなかった。

最終的に、ブレディ教授とリー博士は、恐怖の消滅がどのように形成され、そして脳に保存されるのかについての全体像を理解したいと考えている。

この研究はその全体像の理解に向けてと共に、様々な神経疾患や精神障害のための効果的な治療法を見いだすための重要な一歩であると彼らは考えている。

リー博士は以下のように述べる。

「恐怖の消滅に関連する遺伝子制御が、恐怖関連の不安障害における治療的介入の将来の目標をどのように提供できるかの基本的メカニズムを理解することに向けて取り組んでいきたいと考えています」





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