バービー


 

監督:イ・サンウ
キャスト:イ・チョニ、キム・セロン、キム・アロン
製作年:2011年

原題:바비

★★★★☆

 

後味の悪ぅ~い映画というのが、だいたいの感想なんだけど…私は嫌いじゃない。これが実話に基づいていると知ってみると余計に切ない気持ちになる。「貧困」がいかに人の感情をゆがめさせ、どんどん不幸の坂道を転がり落ちていくのか、そんな現実を思い知らされる。

 

母親を亡くし、知能障害を持つ父と金のために身内まで売ろうとする叔父と、姉妹の日常から始まる。

 

 

そんな貧しい一家と対照的な金持ちの父親と娘が、アメリカからやってくる。最初は単に韓国の女の子を養女にするためと思われるが…

 

姉妹を演じたのが、ご存じキム・セロンとキム・アロン。実の姉妹でもある。あんまり似てないけど…

 

 

セロンちゃんの演技のうまさは知ってるけど、妹役の実の妹アロンちゃんの演技が絶妙なのである!

 

セロンちゃん演じる姉が実は養女の対象だった。でも姉は家族思いなので、拒否する。対して妹はバービー人形にあこがれ貧乏と意思疎通できない父親にうんざりしている。なので、自分がアメリカに行きたいと姉の邪魔をする…

 

 

やがてアメリカ人の娘が、姉と友達に。

それをみたアメリカ人の父親は、ターゲットを妹に変更!

 

実は…叔父が金目当てに妹を売ったのだった。

 

アメリカ人のはもう一人心臓病の妹がいて、その臓器を調達するために、韓国に来たのだった!

 

そんなことを知らない妹は、有頂天に!

 

 

背伸びして化粧したり、アメリカ人の父親に取り入ったり…

 

 

そしてついにアメリカへ旅立っていく。

最後に空港で星条旗を振りながら笑顔でエスカレーターを登る妹の姿が胸を締め付けられる。

 

日本映画の「鬼龍院花子の生涯」の花子と少し重なった。

恰好ばかりを気にして確かに愚かなんだけど、それがまた哀れさを感じさせるのだ。

 

 

妹を見送った姉に、友人になったアメリカ人の娘が手紙を渡す。そこには「Sorry Sorry Sorry……(ごめんね)」と書かれていた。

その娘も殺人であることを知って、実の妹の命と天秤にかけたのだ。何かを察して車を追いかける姉だけど…

 

韓国映画のやっぱりスキル高さ。演技力の高さを再認識する一本であった。