教条主義 |   私的喫煙日記

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      私の日々の喫煙生活を記録しています。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
      

昨日に続き、サミュエル・ガーウィスのボシーフレイクについて書きたいのだが、立て続けに同じ煙草の話を書くのもなんなので、テーマを雑記にし、この煙草の正しい吸い方について書いてみた。

 

 

まずこの煙草、製造されたタイミングや缶の密閉具合にも依るだろうが、私の買った缶は可也り湿り気が強く「ウイスキーで着香した」と表現するよりも「ウィスキーに漬け込んだ」印象になっていた。

この煙草に限らず、フレイク状になった煙草を私は必ずよくほぐしてから詰めている。これには様々な見解があって、シートの形状を残したままクルクルと巻いてボウルに入れる人や、二つ折りにして詰め込む人なども居る。このような「通な」手法を格好良いと思い真似をした事もあるが、着火が断然面倒になるしすぐ立ち消えしてしまう。そして私の感想では喫味もなんとなく味気ないように思う。

と言うわけで、私は古式ゆかしい方法で、手の平に取り崩しながら丸め、ポロポロと紙の上に溢したあと指先で細かくほぐす。この時私の掌にはベットリと煙草の匂いが染み込むのであるが、それがまたこの手の煙草の愉しみの一つなのだ。

穿った事を言えば火を点ける前から喫煙は始まっているのであり、飲み物を用意してそれをすすりながら、紙の上で乾燥する煙草を20分ほど呆うっと見つめる。この際に立ち薫る着香の薫りを愉しむのがまた、至福のひとときなのである。

そしてこの煙草、何本かのパイプで吸ってみたところ、コーンパイプが最も合うという結論に達した。程よく乾燥した後の煙草を粗い葉から摘んでボウルに落としていく。縁まで一杯になったら薬指で軽く沈める。次には更に多くの葉をいっぺんに摘み、ねじ込むように詰め込む。最後に紙の上に残った粉状の葉を、紙を折った折口から注ぎ入れる。そしてタンパーでボウル8分目ぐらいまで押し沈める。

この状態でボウルを立てて置き、5分ほど待つ。意味はない。意味のない意味ありげな段階を踏むのが教条主義なのである。

着火はマッチが良い。パイプを銜えてマッチを擦り、半ばまで燃やす。この時黒く細くなった首から頭が落ちるようなマッチをゆめゆめ使ってはならない。黒く細くなってもシッカリと頭が残っている良質なマッチを使用すべし。

半ばまで燃えたら焦らずにリムトップに近づけ、パッパッパッ っと三度ポンピングドローをし、火を放す。煙が景気良く出るまで更にパッパッパッ っと三度ポンピングドロー。その後、指先まで火が迫ったマッチを再度近づけてパッパッパッ っと三度ポンピングドロー。合計9回吸ったら、一本目のマッチを吹き消して灰皿へ。

次にタンパーで軽く押す。火種を潰すように押すが消さなくて良い。消えても消えていなくても二本目のマッチを擦る。やはり半ばまで燃やしてリムトップに近づけ、今度は少し大きく一度長い息で口腔内を大きく広げて吸って煙をバンバン出し、然る後パッパッパッ っとまた三度ポンピングドローで二本目のマッチを吹き消して灰皿へ。

そして静かに、口腔内の前の部分だけを使い、つーっと真っ直ぐに天井に一本、煙が昇るように安定させる。極楽へ繋がる一本の蜘蛛の糸のように。

 

と、このような式次第でありました。