早く行きたいと思いながら、バタバタとしてなかなか時間が取れず、
春になり、だんだんと気温も上がってきた頃、第二回の遍路に出た。

高速バスで徳島駅まで行き、そこから高徳線で板野駅へ。
ちなみに、徳島県内は全線非電化路線なので、徳島人は「電車」ではなく「汽車」と言う。
汽車の中には、今日から打ち始めらしいお遍路さんの姿がちらほら見えた。
それぞれ、一番の板東駅、二番の阿波川端と降りていき、三番の板野で降りたのは私だけだった。
区切り打ちでは、前回の打ち終わりの札所から打ち始めることになっているので、
今回は前回の終わりの三番・金泉寺から再開する。

板野を降りて、金泉寺へ。
方向感覚を失わせる、斜めに入り組んだ道。あとになって「快速寺」さんの絵地図を見たら、
「板野の町は迷いやすい」とちゃんと書いてあった。
もちろん、しっかり迷った。

前回は、二番からへんろ道を辿り、農道を通って裏側から入ったので、
正面の山門をしっかり見たのは今日が初めてだった。
はやる気持ちを抑えながら、本堂と大師堂、そして観音堂にもお参りする。
やはり暖かくなっただけあって、境内にも人が多かった。

納経所で「重ね」の御朱印をいただき、金泉寺をあとにする。

歩き始めてすぐ、荷物の重さに苦しむ。
来るまでは足の痛みばかりを心配していたのだけど、最初に来たのは肩だった。
決して荷物が多いわけではない。一泊だけなので、荷物は最低限に絞ってある。
後にへんろ小屋で出会う先達さんに教えていただいてわかったのだけど、この痛みは荷物の背負い方が悪いせいだった。
リュックを背負い、その上から頭陀袋を肩からななめ掛けにしていたせいで、
そのせいで左肩だけに負担がかかって極度の肩こり状態になっていたのだけど、この時はまだそんなことを知るよしもなく、ただひたすら歩いた。


しばらく町中を歩き、徳島道を越えると看板がある。
「この先の昔ながらのへんろ道は人気のない山道ですので、不安な方はこちらの大きな道を」
という親切な看板だった。
山道を分け入るルート。少し冷たい風が心地よい。

やがて、3番奥の院、愛染院に到着。

参拝を終えると、若い住職さんが 「お茶でもどうぞ」と声をかけてくださった。
今回のお遍路、初めての「お接待」。
温かい緑茶をいただいた。
出がけには「ちょっと待っててください」と、お菓子を袋に入れて持ってきてくださった。
愛染院を出て、歩きながらお菓子をいただいた。
今まで食べた中で一番美味しいチーズおかきだった。