神奈川・東名あおり運転死傷事件は感情ではなく法で裁かれるべき | テレビ番組 時事ネタなど書いていきます。はい。

神奈川・東名あおり運転死傷事件は感情ではなく法で裁かれるべき

日産のゴーン前会長の事件は複雑怪奇となっておりまして、
メディアは懸命にこんなことをしていた、あんなこともしていたと
報道を繰り返し、
おそらく、情報源は日産と検察のリークなのでしょうが
だからといって
それが何の法律にどのように触れるのかはよくわかりません。
そこに言及している記事でも、
彼が「会社のために」といえばそれまでの話が多く、
犯罪ならばその主体は日産にあるのではないかと思うことも多いです。
実際、ここまで聞こえてきている話では
日産の自爆クーデターのように見えます。

デモで大騒ぎになったフランスの政府の意向も表に見えてきて、
電気自動車の技術と米中の思惑もからみ、
この問題を正しく認識するためには
相当、幅広い視野が必要ではないかと思います。
いずれにせよ、ゴーン前会長を裁くのであれば、
国民感情などではなく、法に基づき粛々と行ってほしいものです。


さて、法によって裁かれるかどうか懸念しているのが
昨年6月の神奈川大井町・東名高速道路における
あおり運転を原因とする死傷事件です。

裁判員裁判が行われている横浜地裁は
傍聴希望者が多数詰めかけているようで
たしかに、裁判所がどういう判断を下すのか
たいへん気になるところです。

起訴状にあるのは危険運転致死傷罪の自動車運転処罰法違反などですが、
クルマから離れて2分が経過した被告人に対し、
運転者の状態を規定している条文で裁くことが適当なのかという疑問があります。
横浜地検から「チャレンジ」という声が聞こえてきて、
その難しさを認識した上で危険運転致死傷罪で起訴した模様です。

ただ、起訴後に監禁致死傷罪を追加。
危険運転の適用ができなければこちらでという考えです。

法曹界の専門家たちも意見が分かれているようで、
個人的には危険運転致死傷罪の適用は厳しいのかなと思います。
クルマを停止させるのは運転行為の一部ですが、
車外に出て2分も経過していれば
その行為を運転行為の一部に当てはめるのは困難だと考えます。

私は石橋和歩被告に対し「人殺し」と罵りたいという感情はありますが、
何者であっても法律が規定していない罪に問われるべきではありません。
問題はこういった事態を想定していない法律の不備ですから。

一方、監禁致死傷罪はどうでしょうか?
「監禁」という言葉としては壁などに囲まれ施錠された部屋や、
車中の閉じ込められて移動の自由が奪われた状態のことを指しますが、
法律上は移動や脱出ができないか、困難な状態にすれば
監禁罪は成立します。
たとえば、壁や檻がなくても
被害者の周囲を毒蛇に囲ませて移動の自由を奪えば監禁罪になります。
走行するバイクの後ろに同意を得ずに乗せるのも
監禁罪になる可能性があります。
この場合、隣の車線などでは高速走行中のクルマが走っているわけですから、
被害者の行動の自由を奪っていたのではないかというわけです。

だから、横浜地検は監禁致死傷罪を追加しているわけですが、
この罪に問えるかどうかも専門家で意見が分かれています。

被告人は被害者を監禁していたという認識はなかったと回答、
被害者がその気になれば移動できたという認識を示しました。
これは監禁致死傷罪を回避するための回答でしょう。
ただ、ここまでに被害者のクルマに詰め寄り
「なめてんのか。道路に投げつけてやろうか」
と脅したとしています。

これは重要な発言であるように思います。
この言葉は被害者を引き出して道路に投げれば
高速走行中のクルマにはねられて
ただではすまないという認識があったことを示しています。
つまり、彼は移動の自由を奪っていたということにはならないでしょうか。

感情で裁くべきではないとしながら、
何とか、彼に重い刑を適用できないかと考えているのは感情そのものですが…

求刑は危険運転致死傷罪上限の懲役20年。
監禁致死傷罪が適用された場合も同様ですが、
暴行罪だけとなりますと、懲役2年が上限です。

これまで裁判員裁判では裁判官のみの裁判よりも
重い判決が出る傾向がありますが、
今回はどうでしょうか。

いずれにしても、

ここまでを見る限り、控訴は避けられないかと思います。
二審は裁判員裁判ではありません。
一審で危険運転致死傷罪、監禁致死傷罪のいずれかが有罪、
二審では無罪ということもあり得ます。
もちろん、その逆も。
国民からも注目されている裁判ですが、
ただちに法律の不備を正すべく、
改正案を作っていただきたいものです。
この人殺しには適用できませんが…


ところで、子どもの頃、
スティーブン・スピルバーグの初期の監督作品「激突!」(原題:Duel)を見ました。
クルマで大型トレーラーを追い抜いたことから始まるドライバーの恐怖を描いた作品で
あまり面白いとは思いませんでしたが、
執拗に追いかけてくる様子は、
あおり運転の報道が続く今では
違った見方になるかもしれませんね。