「白衣の戦士!」と「ラジエーションハウス」 | テレビ番組 時事ネタなど書いていきます。はい。

「白衣の戦士!」と「ラジエーションハウス」

今クールの医療ドラマは2本、
「白衣の戦士!」と
「ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~」を見ていますが、
特に「白衣の戦士!」はかなり納得いかない部分があり、
これでいいのか? と思うばかりです。

「白衣の戦士!」は
観月ありささん主演の「ナースのお仕事」のパクリなどといわれますが、
ずっと医療ものを見続けてきた私から見れば、
それ以前に、菊池桃子さん主演の「ナースステーション」を思い出します。

放送開始前の番組宣伝で、
「えらい古いタイプのナースものが始まるんだ」と思いましたが、
昔からああいうコメディテイストのナースものがあり、
「白衣の戦士!」は「ナースのお仕事」をなぞろうとしている点は覗えるものの
それに限らず、そういうタイプのものを今再びというところでしょう。

第2話でもったいなかったのは、
病気で捨て鉢になった銀行員の女性がIDカードを捨ててしまい、
それを新人ナースの中条あやみさんがゴミ集積所でゴミあさりをするというシーン。
なんでIDカードなんだと。
先輩の水川あさみさんのセリフにあったように、
そんなものは再発行できるはずで、
中条さんのセリフでその探す理由が語られましたが、
その気持ちをさっぱり理解できませんでした。

なぜ、IDカードなんかにしてしまったのでしょうか?
ほかの部分でも脚本がよくないです。雑です。
医療ものに限らず、ゴミあさりはほかのドラマなどでも
結構あるシーン。医療現場の描写にリアリティがなくても、
そういうところは納得させてほしいものです。
捨て鉢になる描写、先輩看護師が縁談を断る理由などが薄すぎます。

ちなみに看護師の方がゴミあさりをするというのは、
実際に経験した人が少なくないようで、
自身や同僚がなくした用具などは
皆で探すようです。
用具や薬品によっては法律で厳重な管理が義務づけられているものもあり、
また、入院患者の失せ物探しもあるようで、
患者が「自分で探す」と言った場合、
そんなことはさせられないので、
余計な仕事をする羽目になるようです。
とはいえ、もしも、このドラマの影響で、
看護師にゴミあさりを頼んでもこなしてくれると思われては、
現場の方々が気の毒ですね。

ともあれ、「白衣の戦士!」においては、
嘘をついていい部分と、
リアリティが求められる部分をはっきりさせてほしいと思います。


「ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~」は
今後が楽しみではあります。
何しろ、診療放射線技師が主人公ですから、
これまでにないドラマが期待できます。
診療放射線技師は医療機関で医師の指示により
放射線を使用する検査、治療を行う医療職です。

医療の技術が進歩する中で、分業化が進み、
従来、医師だけが行っていた部分を
診療放射線技師が担うようになりました。
また、近年はチーム医療が常識となっていますので、
診療放射線技師もその一員として欠かせない存在となっています。

ここ数年は医療もののドラマを見る時に、
現実の世界で医療職として働いておられる方々の反応を
Twitterで見ることも楽しみとなっています。

今回もなかなか現場の方々のツッコミが面白いのですが、
ただ、放射線技師という仕事を描いてくれていることを
喜んでおられる本物の方々が多いように感じました。

看護師もそうですが、理学療法士、管理栄養士、医療事務員などなど、
医療機関には医師以外の多数の医療者、医療職の方々がいますが、
それぞれ、その道のプロだと思うんです。
医学生はひと通りの読影や
放射線を用いた検査や治療を学ぶのでしょうが、
いまさらCTやMRIの使い方なんかわからないという医師も多いのではないでしょうか。

その分野には医師よりも
優れた知識と経験を持っているその分野の専門家がいるわけです。
看護師にしても看護学を実践するプロではないでしょうか。
医療事務にしても、たいていの医師は
診療報酬請求事務能力認定試験を受験しても受からないでしょう。

そういう点において、診療放射線技師が主人公のドラマは貴重です。
ただ、主人公が医師の資格も持っているという設定は残念です。
これは原作からそうらしいのでしかたありませんが、
できれば、今後、医師にはない
診療放射線技師としての矜恃を見たいと思っています。