「布マスク2枚配布」は馬鹿にされるほどの悪手なのか？ -新型コロナウイルス-
安倍総理が全世帯への布マスク2枚を配布すると発表しました。
この件で多くのマスコミ、多くの国民が批判しています。
あきれているコメントも多数見られます。
私も第一報を見たとき、的外れだと思いました。
ただ、発言の一次ソースを首相官邸のサイトで確認しますと
報道に大きな問題があることがわかります。
令和2年4月1日 新型コロナウイルス感染症対策本部(第25回) - 令和2年 - 総理の一日 - ニュース - 首相官邸ホームページ
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202004/1corona.html
マスク関連の発言を要約すると、
・先月、(使い捨てマスクを)6億枚超を供給
・先月、全国の医療機関に1,500万枚のサージカルマスクを配布
来週には追加で1,500万枚を配布する予定
・高齢者施設、障害者施設、全国の小中学向けに布マスク確保、順次必要数配布
・布マスクは使い捨てではなく、洗剤を使って洗うことで再利用可能
・全国で5,000万余りの世帯全てを対象に、一住所あたり2枚ずつ配布
とした上で、
世帯においては必ずしも十分な量ではなく、また、洗濯などの御不便をお掛けしますが、店頭でのマスク品薄が続く現状を踏まえ、国民の皆様の不安解消に少しでも資するよう、速やかに取り組んでまいりたいと考えております。
となっています。
加えて、今日の管官房長官の会見では、
2世帯住宅など一つの住所に複数世帯が生活している場合に、
追加配布を検討する考えを示しています。
まず、重要な点は「必ずしも十分な量ではなく」と官邸も認識していて、
「布マスク2枚を以て対策を完了」と考えているとは
ひと言も言っていないこと。
政府には言いたいことがたくさんありますが、
いくらなんでも、これで打ち止めであるはずはありません。
現状、サージカルマスクだけでなく
使い捨ての100円均一で手に入るようなマスクでさえ、
医療機関など、どうしても必要な人に回らなくなっています。
2週間ほど前に伺った話では、大きな病院なのに、
医師や看護師を含むスタッフは1日1枚、
手術室のスタッフのみ1日2枚というところもありました。
市場がどういう流れになっているのかは不明ですが、
とにかく、医療機関を守らないと、我々の命が守れません。
使い捨てマスクが足りないのであれば、
まずはそちらに回すべきです。
マスコミはこれまで、マスクが足りない足りないと言っておきながら、
それがどこへ流れているのか取材しませんでした。
その仕事を放棄しておいての政府批判です。
家電メーカーのシャープなどがマスクの生産を行っていますが、
それは政府として生産設備への投資の支援があったから。
そのことを報じたメディア、ありましたか？
次に考えるべきは布製のマスクに意味があるのか、
逆に感染管理の観点からはマイナスになるのではないかという懸念です。
現在、マスクは使い捨てが基本です。
ただ、かつては医療機関でも再利用されていて、
煮沸消毒器なんてものもありました。
そもそも、使い捨てのマスクを含めて、
WHOやCDCなどは、予防のための着用を推奨していませんでした。
ただ、最近になってマスク着用すべきではないかとなってきています。
まだ、正式な提言は確認できませんが、
米保健当局、外出時の布製マスク着用を検討 米紙が内部資料入手 - BBCニュース
https://www.bbc.com/japanese/52116972
アメリカでもN95マスクや外科手術用マスクが不足していて、
バンダナやスカーフをマスク代わりにしているなんて話も聞こえてきます。
布製のマスクでも「自分が感染していることに気付かない人からの感染」を
減らす効果が期待できます。
マスクは外からの病原体を防ぐ目的以外に、
着用者から外への病原体を防ぐ目的があります。
ベストではありません。
ただ、これしかないのであれば、注意を払いつつ使用すべきでしょう。
布製のマスクについて現時点で言えるのは、
医療職の方々が現場で使用すべきではないこと、
使い捨てマスク同様、耳部分以外マスクに触らないこと、
布製のマスクを着けていても、できれば咳は肘の内側で覆うようにすること、
しっかり洗濯すること、
このあたりでしょうか。
私たちは医療職の方々に比べて低リスクな一般市民ですが、
そのような一般市民がマスクを買いあさり、
医療職のような方々に行き渡らなくなっています。
この配布により、一般市民の医療用マスクへの迷惑な「欲」を
少しでも抑えることができるなら、その意味もあろうかと思います。
マスク不足は医療用マスク不足だけでなく、
防塵マスクも入手困難にしています。
一般的なマスクで作業しているという話も聞かれます。
一般的なマスクでは塵肺症は防げません。
ただ、マスコミがこの布製のマスクについて、
過大にネガティブな印象を植え付けてしまいました。
おそらく、迷惑な「欲」の抑制効果は極めて薄いものとなるでしょう。
誰の責任でしょうか？
だいたい、直前まで自作マスクの作り方だの、
どこぞの中学生が自作マスクを寄付しただの、
そういった話を美談として放送、
掲載していたのはどこの誰だったのでしょうか？
フジテレビ「とくダネ！」に出演している"医療ジャーナリスト"の肩書きである
伊藤隼也は医療の敵、反ワクチンとして医師らの間で有名ですが、
TwitterにN95マスクを付けている画像をアップしていました。
医療現場で使用されるべきN95を
市中で使用しているのです。