ご訪問ありがとうございます。
皆様、こんばんは。
息子君に新たなチックらしきものが出始め、ショックだった母ちゃんです。
今回は「舌を弾く」。舌打ちのように舌先を使ってチッという音を出すのではなく、舌を下顎に打ち付けるような音。
結構耳障りなので、電車の中や学校では出てほしくない…
でも、本人がコントロールできるものでもない…
(「匂いを嗅ぐ」「軽い咳」「口の周りを舐める」というのが夏休み以前より出続けています。一時期よりは減ったけれど、これで4つめ。多いな)
さて、本題。
最近、Yahoo!ニュースで何度かこの本を紹介する記事を目にすることがあったので、読んでみました。
子育てで一番大切なこと 愛着形成と発達障害 (講談社現代新書)
907円
Amazon |
発達障碍についての本を多く出されている児童精神科医の杉山登志郎氏の本です。
杉山氏の『ギフテッド』という本で、母ちゃんは自分と息子君が見えている“世界”が違うことに気付きました。(息子君は聴覚優位で、空間認知が苦手。全体を見ることができず、細部に注目してしまう傾向あり。一方の母ちゃんは視覚優位で、抽象的な言葉すら脳内では具体的な映像や色に変換してしまう) ※母ちゃん自身は発達障碍の診断が出ているわけではありませんが、アスペルガーっぽいところがあります。
話を戻します。
これまで専門的な本を書いてきた著者が、「発達障害にも不登校にも子ども虐待にも余り関心がない、普通の読者がさらさらっと読めるもっともっと優しい本にするにはどうしたら良いだろう」(前書きより引用)と考え、架空の主人公(出版社勤務の編集者)が大学教授に取材に行った時の会話という形式を取っています。
そのわりには、書名がまじめというかストレートすぎるようなぁ~と思いましたが
「子育てで一番大切なこと」というタイトルですが、「愛着形成と発達障害」というサブタイトルが付いている通り、内容的には発達障碍や愛着障碍を主に扱っています。
でも、そればかりでもなく、最初の方には、出産するのに適した年齢であるとか、子どもの生活に大切な基本などについても出てきます。
≪子どもの生活に関して大切な基本4つ≫
・早寝早起き
・栄養バランスが良い、規則正しい食事
・適度な運動
・適度な情報の制限
心身の健康のためには、上記の4つが基本!
最近は「3歳神話」は崩れたとか何とか言われることが多いですが、著者は愛着形成をするためには、子どもが3歳までは特定の大人が子どもに振り回されるような状態を作った方がいいと言います。
母親だけではなく、父親の働き方を変える必要があるだろうと。
著者は愛着障碍により、子どもが発達障碍に似た症状を見せることから、愛着障碍を「第四の発達障碍」と位置付けています。(この考え方に異を唱える研究者もいるようで、チクリと皮肉を言っています)
虐待によって愛着障碍を抱えた人の場合、虐待で脳が委縮したりゆがんだりしてしまうので、知的障碍のように見えたり、自閉症のように見たりするそうです。
ただ、愛着障碍を抱える人の中には、発達障碍と両方持っている人もいて、区別は難しいことも多いようですが。
発達障碍について、著者は
適切な教育で発達障碍は治る
という立場です。
でも、就学時に「まずは普通級→ダメなら支援級」と判断するのは良くないと言っています。
普通級で「みんなと同じ」を強制され、勉強についていけなかったりして挫折を味わってしまうからです。
さらに、「できないなら支援級に行くことになるよ!」などと大人が言ってしまうと、子どもは「支援級=自分の人生は終わった」のように捉えてしまい、ますます適切な支援をしにくくなるとのこと。(…そりゃ、そうだ)
乳児を育てている時、母親は子どもの「言葉の遅れ」を気にします。
言葉が出るのが遅い=発達障碍、という考え方をしてしまったり。
でも、言葉を獲得する時期には個人差が大きく、一概に言えないとのこと。言葉だけではなく、発達全体が遅れているのであれば、障碍と考えられるけれど。
子どもの言葉の遅れを心配する場合、頭の中でイメージする能力が育っていけば、コミュニケーション能力も育っていきます。
頭の中でイメージする能力というのは、具体的には模倣したり、他で覚えたダンスを家で再現して見せるとか、指示が聞けるとか。こうした能力を日常生活の中で育てていくことを大事にすると良いとのこと。
学校制度について、著者は驚きの提案をしています。
それは
幼稚園6年制!
発達が凸凹の子どもにとっては、6歳では集団教育はまだ難しく、昨今の「学級崩壊」の一因となっている。そういう子は10歳前後で集団教育への参加もできるようになってくるので、幼稚園を6年間にしてはどうかという提案です。9歳までは、ほぼ個別対応での教育にする。
今の学校のカリキュラムでは、小学校中学年になると学習内容が急に難しくなるので、発達凸凹の子ども達はついていけなくなりやすいわけですね。せっかく集団教育に適応できるようになってきても。
だったら、飛び級も落第もOKなシステムの中、10歳以降にその子合わせたところから学ばせた方がいいということです。
日本では学習支援というと、知的障碍がある子を対象にするイメージばかりですが、アメリカではギフテッド支援も含むそうです。
ギフテッドの支援、日本は本当に遅れていますよね!勉強ができない子は支援してもらえるのに、学校が簡単すぎる子には我慢を強いる。
我が家の息子君はギフテッドではありません(…と思う)が、学校の授業が簡単すぎて「学校に行く意味がわからない!」とよく言います。
「学校は復習する場所なんだよ」と言ってみたり、自習する時にできるよう、ちょっと先の内容をノートに書いておいてあげたりしているわけですが。
息子君ですらそうなのですから、ギフテッドの子は本当につらいと思います。
今の担任が息子君のできないところばかりに目がいってしまうように、2Eの子も「お前はまだあれができないんだから!」と言われたりしちゃうんだろうな。
著者の提案、ぜひとも文科省と厚生労働省にしてほしい!
学校制度に限らず、今の日本の社会制度について、著者はいろいろと苦言を呈しています。
オリンピック開催は悪いことではないけれど、お金の使い方が違うだろう!とか。
里親制度をもっと幼い子供から対象にしなければ、愛着障碍に繋がってしまうとか。
偏屈な精神科医を登場させて、その人の言葉として書いていますが、著者の心からの叫びのように感じました。
今の息子君の育児に役立つという内容ではありませんでしたが、いろいろと考えさせられました。
未就学の発達障碍児を育てていらっしゃるお母さん、そしてこれから子育てをする予定のお母さんには、参考になることが多いかもしれません。