Deadwater Fell | First Chance to See...

First Chance to See...

エコ生活、まずは最初の一歩から。

 イギリスのChannel 4で放送された、全4話のテレビドラマ。私の好きなデイヴィッド・テナントが主演しているということ以外、何も知らないまま観たのだが。

 

 

 スコットランドの、見るからに牧歌的な田舎町。デイヴィッド・テナント演じるトムとケイトの夫婦は、3人のかわいらしい娘に恵まれている——が、どうもケイトはいささか育児ノイローゼ気味らしい。

 

 トムとケイトの家のすぐ近くに住むスティーヴは警察官で、2人の息子に恵まれている。ただし、一緒に暮らしているジェスはこの2人の息子の母親ではなく、あくまでスティーヴのガールフレンド。ジェスは血の繋がらない2人の男の子の面倒を上手にみているが、スティーヴの間に自分の子供を持とうと目下不妊治療中でもある。

 

 そんなある夜、トムとケイトの家が火事になった。直ちに駆けつけたスティーヴがどうにか家から引っ張り出せたのは、トム一人だけ。ケイトと3人の娘は、死体となって警察署に運ばれる。当初は不幸な出火と思われていたが、4人の死体には怪しい注射の後があり、スティーヴはジェスに「トムの犯行にちがいない」と告げた。

 

 なぜ?

 

 ……という辺りまでが、第1話の大筋。正直、ここまでのところは人間関係の把握に精一杯で何がどうおもしろいのかよくわからなかったが、それもそのはず、話が断然おもしろくなるのは第2話からだ。これまでのところ、育児ノイローゼ気味のケイトに振り回されながらも子煩悩で家庭的な父親、にしか見えなかったトムこそが、何のことはない、ケイトが精神不安定になる原因だったんじゃないかということが、少しずつ明らかになってくる。

 

 で、でも、メンタルDV気質の男だからって、トムが妻と娘を殺害したかどうかは別問題よねえ?

 

 最後には、ことの真相はきっちり明かされる。が、それまでの過程は恐ろしく怖い。本当にトムが犯人なのか。あるいは、殺害に関しては彼は無罪なのか。「どう考えてもトム、お前が犯人だろうが!」と言いたくなる一方で、時折見せる表情やセリフで「え、やっぱり冤罪だった?」という気にもなる。要するに、デイヴィッド・テナントの演技に振り回される。

 

 はーーー、怖かった。でも、最後の最後まで観れば希望もあるので、後味は意外と悪くないのがせめてもの救いだ。