“顧客数と業務量の増減”に対する考え方 | 会計事務所応援 ブログ

“顧客数と業務量の増減”に対する考え方

みなさん、こんにちは。

私は前職で食品を販売していたのですが、

例えば
1日で平均200本の牛乳が売れる予想で
その数を仕入れたものの、
突然の大雨で来客数が減り100本余ってしまった。

しかし、翌日には持ち直し300本売れたとしたら
平均的な売上金額も保てますし、
商品を売場に陳列する労力も総合的に考えれば
ほぼプラスマイナスゼロです。

それでは、
あまり想像したくはないのですが、

会計事務所において
顧客が3件減り、
ほぼ同時期に新規契約先が3件増えたとしましょう。

前述の例と同じような考え方で
普段通り業務は回せるでしょうか。

これは、なかなか厳しいと思います。


一人の監査担当者がうけもつ顧客が、
一度に3件無くなってしまうことは
それほど珍しくもありません。

ただ、その空いた時間で
3件の新規契約先を担当できるかと言えば、
顧客数のプラスマイナスだけで考えればゼロとはなりますが、
実際にはそういうわけにもいきません。

つまり、この例のような場合
顧客数をプラスマイナスゼロにするために、
二人以上の担当者の手を必要とするということです。

だからといって、
このような状況で職員の増員を考える
所長先生はどこにもおられないと思うのです。

収入が上がるわけでもないのですから、
当然といえば当然のことかもしれません。


しかし、
そのような環境がずっとそのまま続けば、
今度は職員数のほうが減り始めていきます。

仮に採用活動で人数は補えたとしても、
事務所としてのサービスレベルを
プラスマイナスゼロにするまでは
相当な負荷がかかることになるでしょう。

本当に頭の痛くなる問題です。


私はこれまで、

「とにかく顧客(売上)が増えれば、
 それ以外の諸問題はおおよそ解決ができる」

という大多数の先生がお持ちの考え方と
何ら違いはありませんでした。


ところが会計事務所経営に限っては、

「とにかく人(業務)の問題を解決しなければ
 顧客(売上)を増やすことすらできなくなる」

という方向に大きく変化しました。


しかも、税務会計の知識に長けた人材を確保し、
平均レベル以上の業務処理に対応させるという
従来のプレーヤー増員思想ではなく、

専門家や業務スタッフと上手にコラボする。
お客様とのコミュニケーションをしっかりとれる。
ITを駆使して効率よく仕事をこなし
自身のリソースを極力減らさない工夫ができる。

そんなマネージャー思想に基づく少数精鋭の人材確保が、
これからの会計事務所の成長発展に
不可欠なのではないかと考えています。

そうでなければ、
巨大税理士法人ならではのスケールメリットに
中小事務所は飲み込まれてしまうと思うのです。



そうでなくても
新型コロナウィルスの影響で、
これから顧問先が徐々に減っていくのではないか。

そうならないためにも
一刻も早く顧客数を増やしておかなければならない。
対応する職員数も増やさなければならない。

そうお考えになる小規模事務所も珍しくありません。


しかし、その強いお気持ちが
顧客増だけに注がれることで、
かえって事務所経営を逆回転させてしまう可能性もあることを
私たちは全国の失敗事例を目の当たりにして
認識しています。

そういう意味では、
「人材」ではなく、「業務」という側面から
事務所経営を俯瞰してみるのも良いかもしれません。

昔と違い、
私たちは直接的なマンパワーに頼らなくても、
“アライアンス”“アウトソーシング”“IT活用”
といった様々な選択肢ができました。


先の見えない日々が
しばらく続いていきそうですが、

私たちにはそれでも生き残れる術が十分残されている。
あとはそれをしっかりと
掴めるかどうかではないでしょうか。

 


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