宅建夏休み特集(借地借家法の総まとめ③:借家) | 保坂つとむの宅建合格塾

宅建夏休み特集(借地借家法の総まとめ③:借家)

みなさん、こんばんは(^o^)。

宅建夏休み特集の第3弾です。今回は、「借地借家法(借家)」の“総まとめ講義”をお届けします。

「借家」の内容は、「借地」とくらべて、ボリュームは少ないのですが、その分、“民法との複合問題”となるケースが多く、民法の「賃貸借」の知識が不可欠となります。

ですから、民法の賃貸借のルールを忘れてしまった方は、そちらの方の学習もお忘れなく。。。




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●●● 借地借家法(借家)●●●

借地借家法では,借地のみならず“借家”においても,“借主(建物賃借人)”の保護を図るために,様々なルールを定めている。

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【借家の適用対象】

借地借家法上… “借家”とは,『建物の賃貸借』を指す。


注)一時使用の建物賃貸借であることが明らか…”な場合,借地借家法は適用されず,『民法』が適用される。

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【強行規定】

借家の場合も“借地と同様”に,“賃借人にとって不利”な特約は『無効』となる。
 ↓
ちなみに… “賃借人に有利”な特約は,『有効』となる(この考え方も,借地と同じ…である!)。

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【建物賃貸借契約の更新等 (強行規定)

1)建物賃貸借の“期間”
借地借家法上,建物賃貸借では,民法の存続期間の規定(最長20年)は,適用『されない』
 ↓
また… 期間が『1年未満』である賃貸借は,“一時使用の建物賃貸借 & 定期建物賃貸借”を除き,「期間の定めがない賃貸借」とみなされる。

2)建物賃貸借の“更新”
更新は“期間の定めがある場合”のみ,問題となる。
(期間の定めがなければ,そもそも更新自体が生じない!)
 ↓
「当事者(賃貸人 or 賃借人)」からの“更新拒絶”は,期間満了の『1年前~6ヵ月前』までに,その通知が必要!
 ↓
通知がなければ,“従前と同一条件”で更新されてしまう。
ただし… 更新後は“期間の定めナシ”となる!)
 ↓
「賃貸人」からの更新拒絶は,『正当事由』が必要となる。
ただし… “立退料だけ”では,正当事由とならない!

3)建物賃貸借の“解約”
● 「賃貸人」からの“解約申入れ”があると, その日から『6ヵ月後』に,賃貸借が終了する。
  ↓
 「賃貸人」からの解約申入れは,『正当事由』が必要となる。
 (こちらも… “立退料だけ”では…NG!
  ↓
● 「賃借人」からの“解約申入れ”については,借地借家法に全く規定がない『民法』が適用される!)。
  ↓
 だから… 解約申入れから『3ヵ月』後に終了…となる。


注)更新拒絶通知 or 解約申入れ…ともに,「賃借人」からの場合には,“正当事由”はいらない!

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【建物賃貸借の対抗力 (強行規定)

建物賃貸借は,その登記(建物賃借権の登記)がなくても,建物の『引渡し』があれば,その後に建物を購入した者等に対抗できる

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【借賃の増減請求 (強行規定ではない!)

タイトルが「地代等」から「借賃(=家賃)」へと変っただけで,中身は,借地における【地代等の増減請求】同じである!

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【造作買取請求権 (強行規定ではない!)

次のような造作がある場合,賃借人は,賃貸人に対して,賃貸借終了時に「造作を買い取ってくれ!」と請求『できる』
● “賃貸人の同意”を得て取り付けた造作
● “賃貸人から買った”造作


注)「強行規定」ではないため,特約で『排除』できる。

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【 建物転借人の保護(強行規定)

建物が転貸(また貸し)されており,建物の賃貸借が,次のいずれかによって終了するときは…
● 期間満了
● 解約申入れ
 ↓
賃貸人は,「転借人」にその旨の『通知』をしなければ,その終了を転貸人に“対抗できない”。
 ↓
賃貸人がその通知をした場合,転貸借は,通知がされた日から『6ヵ月』を経過したときに終了する。

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【居住用建物賃貸借の承継 (強行規定ではない!)

居住用建物(店舗事務所『対象外』!)」の賃借人が“相続人なし”に死んだとする。
 ↓
この場合に… “事実上の夫婦(内縁)である同居人”がいても,配偶者ではないため“相続権はない”が…
 ↓
その同居人は,建物から追い出されなくてすむように,建物賃貸借の権利&義務を承継できる…と定められている。
 ↓
でも… その同居人が,死亡したことを知った後『1ヵ月』以内に,「承継しません。引っ越します。」と意思表示すれば,建物賃貸借は“承継されない”。


注)「強行規定」ではないため,この“承継を認めない特約”も『OK』である。

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【定期建物賃貸借 (定期借家契約)】

次の条件を満たせば,「賃貸人」に“やむを得ない事由”がなくても
● 『書面』で契約している。
● 「賃貸人」が『書面』で“事前説明”をしている。
 ↓
契約の更新がない”旨を定めることができる。
期間は… “1年未満”でも『OK』!)
 ↓
《ルール1 (終了通知)》 
期間が“1年以上”の場合,「賃貸人」は,期間満了の『1年前~6ヵ月前』までに,賃借人に対して,“期間満了で賃貸借が終了する”旨の『通知』をしなければ,その期間満了による終了を賃借人に対抗できない
 ↓
この規定に反する特約で“賃借人に不利”なものは,『無効』となる。
 ↓
《ルール2 (途中解約)》 
床面積『200㎡』未満の「居住用建物(店舗事務所『対象外』!)」については,“やむを得ない事由”があれば,『賃借人』からのみ“途中解約”が認められる。
 ↓
この規定に反する特約で“賃借人に不利”なものも,『無効』となる。
 ↓
《ルール3 (賃料改定特約)》
賃料改定特約」が“ある”場合,借賃の増減請求に関するルールは,『適用除外』となる(この場合… 借賃の増減請求権は行使できない!)。
 ↓
これに対して,「賃料改定特約」が“ない”場合は,借賃の増減請求権を行使することができる(普通の建物賃貸借と『同じ』ルールが採用される!)。


注)賃料改定特約とは,次の2つの要件を満たす特約をいう。
① 賃料が“客観的”に定められている。
② 賃料(借賃)の増減請求権が“排除”されている。
 ↓
具体的には,次のような特約を指す。
● 期間中は,賃料の改定(増減)を一切行わない
● 1年ごとに,定期的○%の賃料増額を行う。
 ↓
これに対して,次のような特約はNGとなる。
● 必要があれば,当事者は,賃料の増減を請求できる。
● 当事者は,協議の上,賃料の改定ができる。
(これらは,単に“賃料を決める方法”を定めただけであり,客観的に賃料を定めているとはいえないからである。また,賃料の増減請求権も排除されていない!)

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【取壊し予定の建物賃貸借】

次の1)2)により,一定期間経過後の“建物取壊しが明らか”であれば,その取壊し時に賃貸借が終了する旨を定めることができる。
1)法令 … 行政上の法令に限る!
2)契約 … 賃貸人と第三者との契約に限る!
 ↓
なお,取壊し事由を記載した『書面』が必要となる。

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今回の“総まとめ講義”は…ここまで!






【制作・著作】
たっけんコム(http://www.takken.com/)代表 保坂つとむ

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