私が勝手に「福祉メシ」と名付け、食べ歩いているジャンルのランチがあります。
残念ながら具体的な地名、店名を出すと速攻身バレするので、ぼんやり、ぼんやり紹介します。
福祉メシとは、障害者施設や支援団体などが運営する店舗で食べられるランチなどのこと。
知的障害や精神障害の方が多いかな。
福祉メシが食べられるお店では、健常者の職員さんや管理栄養士さん、看護師さんたちと一緒に障害がある人が働いて食事を提供しているんです。
私が仕事のテリトリーとしている地域で見つけた福祉メシは全部で6店。
カフェのみの店舗がもう2店。探せばどこの街にも1店か2店はあるんじゃないかな。
なぜ福祉メシを食べ歩くようになったのかというと、理由はシンプル。
うまい、安い、雰囲気が良い。
確かに多少は社会貢献になると思いますが、そんなもん二の次ですよ、うまくて安い、これだけで十分行く価値がある。
しかも行くとなんだかほっこりする。
障害のある人が作るご飯て、なんやかんや偏見あると思いますが、それ絶対損してるから!
これから福祉メシのおすすめポイントを書いていくので、ぜひあなたの街の福祉メシに出会ってください。
※今回はいろんな考え方がある中で「障害」と表記します。
●障害のある人が働くお店ってどうゆうこと?
私も福祉メシに興味を持つようになってから知ったんですが、障害者就労支援事業っていう国の制度があります。
障害があるといっても程度も状態もさまざま。
普通の雇用は難しいけど働く機会を持ってもらって日々の生活に役立ててもらおう! みたいな主旨のもと、その人ができる働き方ができます。
障害のある人が働いているよっていうのがわりと分かりやすいお店もあれば、言われても全然分からないところもあります。
調理に携わってホールにあんまり出てこない店もあれば、接客はするけど調理は健常者の調理スタッフがやるところもあって、本当にいろいろです。
とりあえず、障害のある人が作ってるから、何か変なモンが入ってるかもしれないっていうのだけは完全に誤解です。
障害のある人が調理に携わっているところだと、まあ盛り付けが多少、隣のテーブルより個性があったりするかな。
輪切りのゆで卵が上向いてたり下向いてたり。そんな程度。
あとはデザートで必ずつくシフォンケーキとか、あんまり変更のないものを作っていることもある。
食べ物として何か問題あるかというと、本当に全然何にもない。
●福祉メシはうまい!
うまいんすよ。
しかもただうまいんじゃない。おなかに優しくて毎日食べたくなる。
だいたい通所施設(障害者が昼間通う所)がお店をやっていることが多いです。
なので、お店に出てない利用者(障害者)の方も同じもの食べているらしい。
給食みたいな感じかな。そこはちょっと見たことないのでどうでしょう。
働いている人もそこの利用者の場合が多いみたい。
同じ人が毎日食べる前提だからなのか、メニューは日替わりランチがメイン。
日替わりランチオンリーのところもあって、メニューが少ないです。
でも日替わりランチしかないと、今日の昼何食べようかな~どこで食べようかな~とか考えなくて良くて、毎日外食マンとしては地味にありがたいです。
それでいて医療スタッフとも連携しているから、だいたい看護師さんや管理栄養士さんがいます。
そのせいなのか、普通の外食を提供する飲食店より、味が優しい。刺激が少ない。そして副菜が多い。
なんか体に良い気がする。
量も多すぎず、四方八方からお腹に優しい。どこへ行っても福祉メシはおいしくて優しい。
これは特徴として上げられると思います。
●福祉メシは安い!
まずは最近お気に入りの福祉メシを。
もいっちょ。
ここ某地方自治体の障害者支援センターの中にあるんですけど、だいたいメインにスープ、サラダ、副菜が2品くらいとデザートがつきます。
なのに! なんとワンコイン。
ウソでしょ。500円ですよ。税込みですよ。
これもお店によりますけど、普通の飲食店よりかなり安いです。
福祉メシで800円払ったら相当豪華なランチプレートが食べられますよ。
野菜20品目くらい採れてるんじゃないかと思うような、手の込んだ料理が食べられます。
私のお気に入りの福祉メシ店では!
この味と値段で「社会貢献にもなるし~」なんて気持ちは吹っ飛びますよ。ただただありがたい。
あと違うお店のはこんな感じ。
●ほっこりした雰囲気に癒やされる
驚きのワンコインランチでお気付きでしょうが、商売っ気が薄い。
障害に合わせて自分のペースで働くことが大切なので、誰も急かしたりしない。
お客さんとコミュニケーションすることも、おそらく働く彼らにとっては重要なことなのかな、とも思います。常連さんと世間話したり、スタッフ同士で談笑している空間がわりと当たり前に存在します。
私もお気に入りの福祉メシ店に推しがいます。
その店は見てすぐ分かるくらいの障害の人も働いていて、ときどきバックヤードから鳥の鳴き声みたいなのが聞こえてきます。
最初はちょっとビックリしたけど、だんだん今日も元気だな~ここはジャングルか? ぐらいに思えてきます。
福祉メシ通になると、これくらいディープなほうがいっそ楽しい。
私の推し店員さんはたぶん知的障害。
Aちゃんと呼ばれていて、思ったことが全部言葉になって出てきます。
気分が優れないときは泣いたり怒ったりしていますが、ご機嫌の日は本当にかわいい。
「お姉さん来た~!」と出迎えてくれ、お肉か魚か選べるランチを副菜まで全部説明してくれます。
Aちゃんはもう食べた後なので「これがおいしかったよ~」と教えてくれます。
注文すると職員さんに伝えにいくのですが、バックヤードから「お姉さんかわいかった!」と大声で報告しているのが丸聞こえだったりすると、もういとおしくっていとおしくって抱きしめたくなります。
一度、明らかに不機嫌だったので「どうしたの?さっき泣いてたでしょ。心配したよ」と言うと、それだけで顔がパアアッと明るくなり、ピュッと逃げてしまいました。
その後、照れているのか職員さんの後ろから私が食べ終わるまで見守ってくれました。
他にも一方的に天気予報を教えてくれる人や、話す言葉が「ごごごごごご注文をどうぞ」みたいなDJのスクラッチみたいな人がいたりして、なかなか愉快です。
障害があることがまったく分からない人も多いですが、私は明らかに障害があると分かる人だと逆に接しやすいな~とも思います。
●わずかばかりの心遣い
こんなにおいしい福祉メシをお値打ちにいただくのですから、何かお返しができたら…と思い、勝手に実践していること、というか私が気を付けていることがあります。
○急かさない
注文を聞きに来てくれるまで待ちます。
なるべくはっきり、ゆっくり、目を見るまでいかないですが、顔を向けて、分かりやすく伝えるように心掛けています。
レジも待ちます。いくらでも待つから練習台にしてくれ! という気持ちでいます。
イレギュラーが苦手な人もいるかなと思って、レシートはいらなくても受け取るようにしています。
○言葉にして伝える
料理を持ってきてくれたら「ありがとう」とか「おいしそう」とか言います。
お皿を下げに来てくれたら「ごちそうさま」とか「おいしかったです」とか伝えるようにしています。
無反応の人もいますが、ニコッとしてくれる人もいます。
レジでお金のやり取りをするときも、いちいち「ありがとう」と言うようにして、最後に「ごちそうさまでした」と言って帰ります。
あるお店にいる方なんですが、お冷の減り具合に関係なく、水を注ぎに来てくれます。
正解は分かりませんが、私はなるべく注いでもらうようにして「ありがとう」を言う派です。
通っているとシフォンケーキ担当が誰とか分かってくるので具体的に感想を伝えたりしています。
「今日のシフォンケーキすごくふわふわでおいしかった!」とか。
うれしそうにしてくれるとこっちもニコニコしてしまいます。
でもあるとき気付いたんですよね。
これ別に相手に障害がなくてもやればいいじゃんと。
「ありがとう」って言葉にするようにしたり、ほんの少し相手のペースに合わせたり。
本当に出来の悪い人間なもので、それが当たり前にできてない自分に結構ハッとしたんですよね。
おいしくてお安いご飯食べさせてもらって、優しい気持ちになれて、大切なことにも気づかせてくれるなんて、素晴らしすぎるだろ福祉メシ!!
はあ、ありがてえ福祉メシ。これはもう行くべきでしょ、福祉メシ食べに!
○探そう、あなたの街の福祉メシ
個人的に福祉メシの話をすると、だいたいの人が興味を持ってくれます。
うちの地元にもあるかな~と言ってくれます。
ネットで検索して探すなら、街の名前と障害者、ランチ、カフェ、就労支援あたりを組み合わせて検索すると出てきます。
障害者支援をしているNPOを検索して事業項目にあるか見てみてもいいと思います。
ランチやってなくてカフェだけとか、お菓子だけ売っているとこもあります。
障害がある人が働いているからといって、何か高尚な志を持って福祉メシチャレンジしなくていいと思うんですよ。
うまくて安いからでいいと思うんですよね。
店員さんとコミュニケーション取るのは楽しいけど、べつに話さなくてもいいと思うし。
ただ、こんなにうまくて安いランチがあるのに偏見があったり知らなくて行かないのもったいないと思って。なんかライトに楽しめたらいいな~ってな。
最後に私が本日食した福祉メシの画像を貼っておきます。
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