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テトさんの要望にお応えして・・・テーマ曲♪★


騒然とする議場を後にする与党議員に対して、マスコミが殺到している様子がテレビに映し出される。

テレビの中ではアナウンサーも解説者も起きた事態に対してまともなコメントが出来ず、同じ言葉を繰り返しているだけであった。

「先程、首班指名が行われると思わていた衆議院本会議で、突如解散勅書が発せられ衆議院が解散されました。

詳しい事情はまだ伝わって来ておりません。取材を進めておりますので今しばらくお待ち下さい。」

それをホテルのテレビで見ながらナオと有人は、「さて」と二階堂の到着を待つ控室へと向かった。

ホテルは記者会見の準備である意味騒然となり、従業員たちが忙しく走り回っている。

そんな中で二人は記者会見での発表内容の詰めを始めていた。



衆議院では瓦斯官房長官や且来副総理が記者に囲まれ、解散に付いての説明を求められていた。

且来はそれを振り切り無言で議場を後にした。

その後ろを歩いていた瓦斯が記者につかまる。

「官房長官、この突然の解散はどういう事ですか?説明して下さい!」

怒号にも近い記者の質問が飛ぶ。

瓦斯は暫し立ち止まりその質問に簡単に答えるのみだ。

「解散は総理の専権事項なので私がお答えする事はありません。」

官房長官会見でもそうだが、瓦斯はほとんど自分の意見を述べない。

それを一番知っているはずの頭狂新聞、餅付記者が食い下がる。

「おかしいでは無いですか?政権のNO.2である官房長官がこの重大事にちゃんと答えないのは国民への説明責任を果たさない事になります。ちゃんと答えて下さい!」

いつもの自己主張や演説質問ばかりの偏向報道常習者にしてはまともである。

まわりの記者も珍しくその質問を支持して瓦斯へ答えを求め続けた。

しかし瓦斯は周りを秘書たちに守られその質問には答えず、議場を後にする。

その後ろを二階堂が通りかかると、記者達は瓦斯を追うのを諦め二階堂を取り囲んだ。

「幹事長、この解散と昨日の党大会での混乱は関係あるのですか?!」

またまた頭狂新聞、餅付のまともな質問が飛ぶ。

二階堂はそれにかなりの皮肉を込めて答えた。

「おや?異常な事態になると記者さんも異常な事になるんですなぁ~。おかしな記者がまともな質問をしなさるなぁ~。」

周りの記者たちからどっと笑い声があがった。

当の本人は勿論ヒートアップする。

「今の発言は私に対する侮辱行為です。謝罪と訂正を求めます!」

「おや?私は誰か個人を特定して侮辱したのかな?」

涼しい顔で二階堂は不遜な笑顔を向けるが、その目にはそれ以上の発言を許さないと云う睨みが込められていた。

怖じ気ついた餅付記者が言葉を失うと、横にいたベテラン記者が助け舟を出した。

「幹事長、冗談はそれくらいで良いので、今回の解散に付いて説明して頂けませんか?」

その質問に二階堂はしばらく記者たちの顔を見回しながら、今度は真剣な表情を浮かべて語気を強めながら答え始めた。

「勿論関係有るに決まっているじゃないか!長年記者をやっているならそれくらい想像付くだろう?」

「うおぉ~。」

記者達に驚きとも歓声とも付かない声が上がる。

「そ、それはどういった経緯ですか?」

「簡単な事じゃよ。我々が党を割った。新党を結成して今の混迷した政治を正す!」

「うおおおぉっっっ!!!」

今度はその場にいた記者全員の驚きの声が廊下に響きわたった。

「この後、我々は定刻ホテルで新党結成の会見を開く。記者さん達は是非お集まり頂きたい。」

そう言い放つと二階堂はそれ以上の質問には答えず、足早にその場を後にした。

記者達は一斉に自分達の報道スペースへ走り出した。

テレビは一斉に与党の分裂を報じ、その内実への取材へ矛先を向け始めた。


続く