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全員を一回り見渡すと奈緒は静かな口調で話し始めた。

「皆さん、お疲れ様です。お時間頂いて申し訳有りませんがもう暫くお待ち下さいね。」

官僚たちは先日のナオと今日の奈緒が同じ人物だと思っているので、この態度の違いに違和感を覚えた。

しばらくすると会議室のドアがノックされ各省所管の大臣が入室してきた。

これには官僚たちが驚いた。

単に打ち合わせの場に大臣まで列席とは何事かと静かなるひそひそ話が始まる。

全ての大臣が席に付き総員が揃った所で改めて奈緒が話を始める。

「さて、皆さんお集まり頂いたので、早速会議を始めましょう。では・・・まずは先日の宿題、所管の独法の削減についてです。」

議場に緊張が再び走る。

「補佐官、それぞれの省庁が提出したリストを発表して下さい。」

「はい。それでは・・・まずは防衛省から始めます。」

「ええ、そうね。国の根幹ですから、そうして下さい。」

実は防衛、経産、総務、内閣府には予め必ず予定を守るように特別に伝えてあった。

「防衛省の所管の内、装備に関する独法は国家機密に関わるので除外を願いたいと申し出がありました。」

「そう、確かにそうね。良いわ。それ以外はどうなっていますか?」

「はい、それ以外は全廃で構わないと言う事でした。」

「あら・・・それは大変良い事ですわね。官庁が率先して無駄遣いを止めるのは当然ですからね。」

防衛大臣の威信・橋田が一言付け加える。

「総理にひとつお願いがあります。無駄を削りますので、その分、是非とも防衛費の1%枠の撤廃をお願いしたい。」

これも当然打ち合わせ済みである。

「そうですね・・・通常の国家であれば4%程度が基準ですね。・・・そうしましょう。」

この一言に財務次官が飛び上がって異議を唱えた。

「総理、申し訳有りませんが、4%と言うと・・・約22兆円になります。そんな余裕は我が国にはありません。社会保障費だけでも34兆円必要なんです。財政難の今は無理です。」

奈緒はここぞとばかりにその発言を咎める。

「財務次官、そんな大嘘をいつまで付き続けるつもりですか?今までの馬鹿な政治家と私を一緒にしないで頂きたいです。」

「あ、いや、嘘とか・・・馬鹿なとか・・・そういう事は・・・。」

「いえ、大嘘です。まず、宣言します。私は今までの国民を騙していた予算をマトモにします。

一般会計・特別会計などと言った官僚に都合の良い予算編成は改めます。

来年度から予算は1つです。それから財務省、意味のない国債費等と言う項目は許可しません。」

財務次官はいきなりの特別会計廃止、国債費計上の不許可という事態に対処が出来ない。

考えてもいなかった事象には官僚はトコトン弱い。

奈緒は続ける。

「これまで一般会計100兆円、特別会計400兆円なんて誤魔化しは一切許しません。

私が検討した結果、今年度の予算で現実は「歳入244兆円余り」「歳出243兆円」でした。

その中に全く必要のない国債費が87兆円が含まれておりました。

これは実際には一切使われていない予算ですよね、次官。」

痛いところを突かれて次官はシドロモドロになる。

「そ、それは・・・いや、国債の償還費用として・・・あの・・。」

「いい加減にしなさい。償還期限が来た国債は再発行という手段で予算措置を行っているではありませんか。

何の為の金融緩和なのですか?全額国銀に任せれば歳出が87兆円不要じゃないですか!」

「あ・・・いや・・・しかし、それでは・・・・。」

「言い訳はもう結構です。国銀さんは現在行っている自由経済で禁断のEPF買いは今後は許しません。

国銀の仕事は第一に失業者数に見る金利の調整、第二にインフレ率による金利の調整。そして政府と協力した金融緩和政策に限ります。よろしいですね。」

新たな国立銀行総裁とはもちろん打ち合わせ済みで答えはイエス。

財務省への追い込みはまだまだ続く


続く