今日は「ボスミン」という薬剤についてのお話です。医療ドラマでも、蘇生のシーンなんかでドクター指示として登場することがあります。
昔からいる、あの子「ボスミン」についてのお話です。


心肺停止で運ばれてきた患者さんの蘇生には何度も関わったことがあります。


しかしアナフィラキシーショックを起こした患者さんの治療は経験なし!


そんな私が、今年から週一回の小児科勤務もするようになりました。


アレルギーの患者さんもよく来られる病院なので、緊張感を持っていかねば!と思いつつ。


こういうのって、緊張感を持っているだけじゃダメなんですよね。


頭の中にイメージ出来ていないと。


とっさの時に、動けるようになるためには、シチュエーションをイメージして、何を準備して、何を観察して、どんな処置をするのかというシミュレーションをしておかないといけないのです。


先輩ナースに、尋ねましたが
「ここではアナフィラキシーまで起こした人はいない。ショック時は、この救急セットから先生の指示に従って処置すれば良いよ。」
との回答でした。


、、、、。



、、、、。



いや、ちゃうねん ちゃうねん。


私、小児の経験無いし。アナフィラキシー対応も未経験やから。


ということで、後日 直接ドクターの所に行って



私:
ちょい ちょい(手でドクターを呼び止める)


ドクター:
何?


私:
ちょっと教えて欲しいことがあるんですけど。

ドクター:
はぁ。何でしょう。


私:
アナフィラキシーショック時の処置の流れを教えていただきたいんです。何を使って、どういう処置をするのかっていう具体的なところを。


そうやって、きちんとお願いして、具体的な質問を投げかけていくと、ガッツリ具体的な情報くれる優しい先生なのでした。


この病院では生食(生理食塩液)250mlのボトルで末梢ルートを確保すること、延長ルートとか三カツと呼ばれるアイテムは無いということ。


私:
なるほど。じゃあ生食をこのルートでつないで直接留置針と繋ぐってことですね。


ドクター:
そうそう。で、テープ固定の仕方なんですけど。これは僕の好みのやり方ですが、、
(私は、ここのドクターが 自分のことを「僕」と表現するところが好き。笑笑 会社で自分のこと「僕」って言ってるオジサンっているのだろうか、、、。オフィスで働いた経験ゼロなので分かりませんが、30代後半とか70代で「僕」って可愛すぎるやろっ!! 過去関わったドクターを思い返してみても、、、結構多い気がします。一人称に「僕」。「僕」のくせに的確な指示が出せるというのがポイントです。)

私:
そういうの。聞きたい聞きたい!

ふむふむ。
こういう固定ですね。メモメモ。
※乱筆メモ 失礼します。


ドクター:
そうそう。


私:
ねぇ 先生。
子どもの血管って ただでもあんなに細いのに、血圧低下したらめっちゃルート取りにくいと思うんですけど。

先にエピペン打った方が血圧保てて良いんじゃないかと思うんですが。


ドクター:
いや、だから ボスミン打つのよ。


私:
、、、。
私、ボスミンって静脈注射でしか使ったことがありませんでした。筋肉注射ってこと?


ドクター:
そそ。


私:
でも、なんでエピペン使わないんですか?ボスミン注射器で吸うより処置が速そうですが。


ドクター:
エピペンってめっちゃ高いのよ。一回使い捨てで1万円とか越えるんじゃないかな。一般の人が緊急時に打てるように作られてるものだから。
ボスミンはチュって吸って使うだけ。僕らはそれが出来るから。ボスミンって1アンプルいくらかな。やっすい薬剤なんですよ。
単価でいうと一番安いんじゃないかな。


私:
へぇー。ボスミンってそんなに安いんだー。知りませんでした。で、ボスミンの投与量ですけど。


なーんていう感じで話が進んで、体重によってボスミンの投与量が決まることや、酸素投与や、患者さんの体位とか、転院の判断基準など色々とイメージできる状況にまで話が膨らみました。


だいたい蘇生時と同じですが、筋肉注射ってところがポイントですね。あと、ここで使う資材っていうのが分かっていることが大切。


帰宅して、ボスミン薬価を検索すると、、、。




、、、、。



、、、、。



なんと!1アンプル
94円!!


、、、、。



、、、、。



待て待て。


末っ子4歳が大好きな
キャラパキ恐竜よりも安いっ!

キャラパキは、いわゆる「準チョコレート」

この子どものお菓子よりも、「ボスミン1A」が安いというのは、私も初めて知った事実でした。


いやいや、どうゆうことやねんっ!命を救えるボスミンなのにっ!ナメられすぎでしょ。苦笑


そうこうしているうちに、月日は経ち、、、。


先月、私の勤務中に 患者さんが「アナフィラキシーショック」を起こしました!


先生とバッチリ シミュレーションできていたので、こちらから
「ボスミンいきますか。」
「ルートとる?」
「酸素何リットルでいきます?指示ください。」
と準備してこちらからも指示をあおぐことができましたし、合間に嘔吐があっても、ドクターとのコンビネーションで、はい一杯目、はい おかわり。👍と
比較的落ち着いた対応ができました。


全身に出ていた発疹や痒みも、内服で落ち着きましたし、一時は70代にまで下がった血圧も、あの子(ボスミン)と補液のおかげで平常時に戻りました。


患者さん、めっちゃ元気になりましたよ。良かった良かった。


ひととおり処置が終わって、


私:
ちょっと先生、以前、先生にアナフィラキシー対応を確認しておいて良かったぁーーーーー!と思いました。色々教えていただいてイメージできていたから、動けました。先生の好みのテープ固定の向きはちょっと忘れてましたけど。苦笑
そして記録は、書き直したいくらい汚いですけど。苦笑


ドクター:
緊急時って、そんなもんです。十分出来ていましたよ。


、、、、。



、、、、。




私の心の声↓
僕 めっちゃ優しい。笑笑


それから小児の血圧についての話で先生とトークを繰り広げ、さらに知識が深まりました。ありがとう、先生!


そして、


やっすいけれどスゴいヤツ。


あの子の名前は「ボスミン」


昔ながらのあの子って
キャラパキよりも安いのに、
人の命を救えるなんて

能ある鷹のような君。


ありがとうボスミン!

最後までお読みくださり、ありがとうございました。


あ、ついでのようになってしまいますが
こちらの絵本。手に入りにくくなっていたのに。復刊されていました。2020年4月5日


表からも裏からも読める絵本。

表から読むとタカが強気にとんでいきます。


裏から読むとガンの子が弱気におうちに向かってとびますよ。


錯視を利用したほんとよく出来た絵本!
こどものともなので
絵本としては、安い部類なんですけど。
まぁ、子どもたちが喜びます。
タカ 登場しますしね。

私、らぁりいBookさんにこの絵本読んでもらったんだよなー。嬉しかったなぁ。