順は辛そうな顔で

 左右に頭を振り

 襟を掴む

 ゆづるの手に

 自分の手を重ねた。
「ぼくが入りたいと

 思ったら鍵が開くんです。

 ぼくがゆづるさんを

 愛してるからドアも
 開いてくれるんです。」
「は????」
 本当に頭が

 おかしいのかと

 ゆづるは襟元を

 掴む手を緩めた。

 それで慌てながら

 順はテーブルに

 置いてある
 自分が作った料理を

 盛りつけた皿を

 ゆづるに見せた。
「見てください。

 美味しそうでしょう?

 ぼくのお料理を食べると

 みんな褒めるんです!
 ぼく凄く上手なんですよ。

 ほら。」

 順がゆづるに皿を

 向けると怒りで

 引きつった顔のゆづるは

 怯えた笑顔を

 浮かべた順の顔を

 平手で殴り、

 その反動で順は

 持っている皿を床に

 落としてしまった。
 皿は割れないタイプで

 割れなかったが

 料理は無駄になった。
「てめえの作った料理なんか

 気持ち悪くて食えるかよ!!」

 ゆづるの言葉は

 順の心を

 抉るように傷つけたが、

 話の通じない順への

 怒りでゆづるは続けた。

 

 

 

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