その幼い顔は、

 これまでの人生で

 受けた痛みや傷で

 心が歪んでしまった

 ゆづるの本当の
 顔なのかもしれないと

 松坂は感じた。

 その顔は

 悪意を知らなかった

 頃のゆづるを

 思わせる。
 何故ゆづるを愛したのか?

 この哀れな幼子が

 ゆづるの心にいるから

 じゃないのか?
 松坂はゆづるを

 抱きしめながら

 そう思った。
 ゆづるはうめき声をあげ、

 うなされる。
「順、順、許してくれ…!」
 松坂はゆづるを

 抱きしめ

 ゆづるの耳に囁き続けた。
「愛してる。愛してる。ゆづる、愛してる。」
 松坂が愛してると

 囁き続けると、

 ゆづるの顔が

 穏やかになった。
 だから松坂は朝まで

 ゆづるを腕に抱きしめ、

 ゆづるがうなされる度に

 抱き寄せたまま

 囁き続けた。
「大丈夫だ。俺はいる。

 ゆづる、

 お前を誰よりも愛してる…。
 愛してる…愛してる…愛してる…。」
 混濁した意識の

 暗闇の中でゆづるは

 その声を聴いた。
 

 

 

 

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ゆづるの物語はもう少し続きますのでまだ見捨てないでね~