こんにちは。

就活がスタートということなので、久しぶりに若者向けのキャリアに関する記事を書いてみます。



インターネットの発達により、これからは個人で大企業に匹敵するビジネスができるようになる、と言われています。

2010年代初頭に一大ブームを巻き起こしたノマドワークがその典型でしょう。


複数の収入源をもってリスクを分散させ、場所を選ばずに仕事をする。

一つのプロジェクトは同一組織で行うのではなく、各専門家がプロジェクトごとに集まる。

それぞれの専門家は、プロジェクトからプロジェクトへまるで遊牧民(ノマド)のように移動する。


私も、かつてはこの思想に浸かった時代もありましたが、今の考えは少し違います。

結論から言えば「個人がビジネスの主役になる時代は来るだろうが、まだ先」と考えています。



理由1:コンプライアンスやリスク管理意識の向上】

「これからは個人の時代」思想と逆行する現象がビジネスの現場では起こっています。

コンプライアンスやリスク管理意識が高まり、仕事の発注は個人ではなく、むしろ法人組織を備えたところへ流れています。

個人ではこのあたりの信用がどうしても落ちますし、事業の永続性という面から見ても不利です。

よって、いわゆる「大きな仕事」が個人に流れることは極めて稀です。

ただし、技術の発達によってリスク管理コストも下がれば、個人にも勝ち目が出てくるでしょう。



【理由2:スケールメリットの差】

個人ビジネスの強みは、柔軟性と機動性にあります。

半面、スケールメリットの一つである「効率化」を追求することは難しいと言えます。

(柔軟性と機動性は、往々にして効率化と対局にあります。)

ご存知のとおり、この国は働き方改革を掲げています。

これ自体は個人的に無視すればいい話ですが、改革の本質は生産性の向上、つまり効率化です

大きな効率化を見込めない、あるいは意識をもっていないところには仕事は流れません。

大量の仕事を短時間で、小さいコストでできる、という面においては、個人は組織に太刀打ちできないのです。

ただし、こちらも技術の進歩によりカバーできる日が来るかもしれませんが、もう少し先になると考えます。



【理由3:職域が極めて小さい】

理由①②から導き出されるものですが、現時点で、本当に個人が活躍できる分野は極めて限られたものになります。

評論家のような、自分の意見を発信する職業は親和性が高いかもしれません。

(「これからは個人の時代」思想も、ITやSNSの発達により個人の情報発信が容易になったことを理由に挙げています。)

半面、大量の物資や情報、お金が動く仕事、極めて重要な機密を扱う仕事は、まだしばらくは大きな法人組織の手元に残るでしょう。



【法人組織の牙城を崩すのは容易ではない!?】

歴史を見ても、ビジネスはもともと個人事業が中心でした。

それが、大規模組織が出せるスケールメリットがビジネスの現場で大きな魅力となり、19世紀から20世紀にかけて組織によるビジネスがここまで発達したわけです。

100年単位で発達してきたビジネスの形を崩すのは並大抵のことではありません。

現在、第四次産業革命が起こっているといわれ、従来のビジネスの形が崩れる日もそう遠くはないかもしれません。

が、まだしばらくかかるでしょう。


従来のビジネスの形を崩すには、技術の発達と人の心の変化が必要だからです。

(どんなに完璧なシステムを備えていることを説明されても、個人で銀行やってますって人にはお金を預けたくないでしょう?笑)



【これから就活を始める大学生はどうしたらいい?】

やりたいことをやったらいいんじゃない!?

これは、地域や時代を問わない不変のものだと思います。

ただし、やりたいことは特に見つからないけど、個人のビジネスパーソンとして活躍はしたい、と思って色々勉強したり情報収集したりしている人は、とりあえず大きな法人組織に入りましょう。

そこで「大きな仕事」を経験してください。

ここで得られるものは、小さな組織とは比べものにならない大きな価値があります。

(くれぐれも、大組織でぬるま湯に浸かってしまわないようにご注意。)

大きな仕事を経験し、ビジネス力を上げると、さらに大きな仕事が流れてきます。

十分な経験を積み、ビジネスの底力を上げたなら、より自分の力を存分に発揮できる小さな組織に移ったり、独立して個人のビジネスを始めたらいいんです。

焦る必要はありません。

技術の発達により、個人の潜在能力を存分に発揮できる時代は必ず来ます。

でも、今じゃありません。


(今個人で本当に活躍できるのは、本当に力をもっている人だけです。)

焦ってはむしろ今後のキャリアに暗雲がたちこめることになるでしょう。

輝かしい社会人スタートを切れることを祈っています。