私の恋愛身分証明 第八話 ブスの再来 〜夏フェス編〜 | なんやかんやあって最終的にYouTuberになった人のブログ

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ここではその情報やなんか適当にぺぺーいと記事書きますよ

 出会い系アプリ熱はほんの2ヶ月程で終わり、これまでの自分を振り返っていた。
 こういう事はあいつに相談した事がない。気の置けない相手ではあるけれど、あいつの正論は時に私を傷つける。
 この判断は悪手であると後でわかる事が多い。それだけあいつの言う正論は間違いではないという証拠だ。その都度謝る事になるけれど、反省も成長もしない。

 だからだめなんだ。

 こういう精神状態の時はなにもかも一度リセットしたくなる癖があり、せっかくキープしたバーテンダーの男を切った。どうせ相手も遊びだし、未練はない。

 この頃から自分は相手に流されやすい事に気付いてきた。見た目もモテる事に対する自信もブレてはいない。一つだけ発見したのは、寂しがり屋だという事実のみだった。

「お前ってさ?ちょろいよな」

「そうか?www」

「すぐ流されるだろ」

 流されやすい?確かにそうだ。だけれど、それも寂しいという限定的な精神状態で起こる私を口説こうとしている相手にとってのボーナスタイムのようなものだ。

「暇だからwww」

「その暇を趣味に使えよwww お前の趣味何?」

「ネット」

「おわたwww 現代っ子め」

 趣味がネットという人は多いはず。あいつも数年前までは私と一緒にネットで暴れていたのにこの差は何なのだろう?
 あいつは多芸だ。いや多芸というか新しい事にとりあえず飛びつき、飽きるまでそれで遊ぶ。スタンプもその一つで、過去には絵本も描いたりしたらしい。前にその絵本を見せてもらったけれど、癖になる絵柄で本になってないのが不思議な物語だった。

 あいつ曰く…

「出版の話したけど、金がなかったから断った」

 というあいつらしい理由が面白かった。
 自分に何の才能があるのかがわからないから色々と手を出すとの事らしい。
 頑張るあいつを見ていると虚しくなってしまう。私は何をしているのだろうと落ち込むのを男で紛らわす日々を過ごす。
 楽しければいいのだ。そう楽しければ何も考えないです済むし、それを可能にできる容姿を持っている。それだけが私のアイデンティティだった。

「お前頑張ってんじゃん」

「そうか?www」

「美容師になる為に頑張ってんだろ」

「頑張ってるけど〜」

「お前今は恋愛しないで目標に向かって頑張る時じゃないの?」

「だよなあ」

「予言しとくわwww」

「なに?www」

「お前は男で駄目になる」

「わろたンゴwww」

「正確には付き合う男次第で駄目になるだな」

「お前ささみと付き合う?www」

「それは断る」

「○ね!www」

 美容師になる為に専門学校に通っているけれど、壁にぶち当たると現実逃避をしたくなる。そういう時はあいつに悩みをぶちまけると解決するし、安心する。
 趣味はネットであると言ったけれど、もう一つ夏限定の趣味がある。それが夏フェスだ。

 夏フェスは良い。一人で行っても周りの人と同じノリで楽しめるし、ストレスの解消になる。あの開放的な空間は心も開放的になってしまいちょっとハメを外しそうになる。
 このトランス状態で精神的にも寂しいと感じている。そして現実逃避をしたい気持ちがMAXという口説いてくる相手にとってスーパーボーナスステージが発生してしまっていた。

 そんな時に復縁を迫られるとどうなるのかというと…ブスで私にトラウマを植え付け相手でも居ないよりましという事になってしまう。
 そして、再び村田タクマと付き合う事になってしまった。

 復縁を迫る相手はこれまでも多かった。というか熱りが覚めると復縁を迫ってくるのは日常茶飯事で、それだけ私の虜になっているのが笑える。
 復縁の理由は、別れた後に彼女が出来ても私の方が可愛いからというのが大半で、その理由は私を調子に乗らせる1番の魔法の言葉だ。

 私も少しは成長している。村田タクマと復縁したといっても以前のように献身的な彼女を演じる事はない。別れた理由が理由だし、もう傷つくのは嫌だ。
 中古だけれど新しいおもちゃが手に入った喜びで楽しい日々が再び訪れた。
 この事はあいつには言っていない。言うと怒られるのは目に見えていたし、楽しさが勝ってしまうから避けていた。

 一人で参戦するより二人で参戦する夏フェスはより楽しかった。村田タクマは一眼レフを持っていた。撮られた写真はスマホで撮るより味があり私をより輝かせた。開放的で露出が多い格好になりダイブする。夢のような時間は何もかも忘れさせてくれた。

 撮られた写真をあいつに見せたくなり、ついうっかり送信した。

「これ良くない?」

「何これ? どこ?」

「夏フェスwww」

「清楚系ビッチがただのビッチになってんなwww」

「うけるwww」

「これ誰が撮ったの?」

 やってしまった。こういう事にあいつは鋭い第六感を発揮するから嘘をついてもすぐにバレてしまう。
 とは言ってもバレても問題はないのだけれど、怒られるのは嫌だ。

 さてどうしよう。

「村田タクマ」

「なんかその名前覚えあるな…だれだっけかな」

 第六感どころか、もう一つ忘れていた…あいつは記憶力が化け物並みに良い。私が忘れていても、やり取りを詳細に覚えている。もちろん付き合った男や遊んだ男の事も全て覚えていて、どんな奴だったとかどんな別れ方をしたのかを私以上に覚えているから怖い。故に反省も成長もしない私を都度罵倒してくる。

「元カレwww」

「あータクマか思い出した。 てか、お前バカなの?」

「ごめーんwww」

「お前何やってんのwww 寂しいからだろどうせ」

 御名答!正解ですよ!ぐうの音もでない。

 怖いやつだ、本当に怖いやつ。

「本当www俺の助言返せよwww」

「良いんだよ! 別に」

「まあどうせすぐ飽きるだろうけどな」

 その言葉通り、夏フェスの終わりと共に村田タクマに対しては一切の興味を失った。
 何かがあった訳ではない。ただ単純に飽きたそれだけ。

 私の目の前をトラウマを植え付けた男が興味すら失って通り過ぎていった。