月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

ASAKO IWAYANAGI PLUS アサコ ・イワヤナギ のおもたせ  

2020-07-05 20:02:13 | コロナ禍日記 2020

 

5月18日(月曜日)

 朝7時に起きる。

 パパさんが起き出しても、私はパソコンを開いていたので、「別の部屋でやるわ」と別室でテレビ会議を始めた。ほぉー! どうしてだろう。と思ったが、悠々した気分。リビングで母に電話をかける。

 

「最近、調子はどう?」

「まあまあね。やっぱり人はなにを食べるのか、重要ね。魚はいつもよくたべているんだけど、お肉嫌いだったでしょう? 少し食べてみるようになったら、元気が出てきたみたい」

「100歳を過ぎてもね、元気な人は赤身の上等なお肉をちょっとだけ食べているの。お肉は、全ての栄養素を補ってくれるともいうほど、バランスもとってもいいし、できたら野菜をたっぷり食べてね」

 

 母が元気と聞くと、私はやはりうれしい。よかった。

 

 お昼ごはんは、さわらの塩焼き、山ふきの煮物。大根おろしと釜揚げちりめん、胡麻油を使った小松菜のピーナッツ炒め。お味噌汁。

 2時半からのテレビ会議もパパさんは別室だ。すいすいとした気持ちになる。なにをしてもいい、自由度が広がる。本を読み、ネットをみて、パソコンをあけて、昨日書いたところまでの原稿チェックした。

 

 ハーゲンダッツのいちごトリュフをかじりながら、いま企画中のブックライティングのための資料を読む。途中。朝から曇り空で気温も低かったが、とうとう雨が落ちてきた。急いで、仕事部屋、リビング、寝室など窓を片っ端から締めてまわる。

 土曜日も一日雨だった。沖縄は梅雨入りをしたらしいし、今年はよく降る。雨の多い冷夏なのだろうか。雷が鳴る。天井の真上の空が割れていく音が聞こえる。大量の山水が放出されているだろう。泥水じゃないかと思うほど、土に激しく打ち付ける、凄い雨だ。湿度が高く、皮膚は冷たい。

 得意先の人から電話。「企画書を来週に持って打ち合わせにいってくる」ということで、すぐにパソコンの画面を切り替える。90分。大体まとまったところで、再び画面を切り替えて、先月の日記をwebにアップする。

 Nが1週間ぶりに再び帰省してくるので、パパさんは空港まで迎えにいくために、濡れてもいい短パンを履いていた。「行く?」といわれたが、企画書をまとめている最中だったので、「ううん……お願い」という。

 

 玄関を誰かがあけたと思ったら、大きく「ピンポン!」の呼び鈴がなり、Nが勢い込んではいってくる。「お、おかえり!」。

 スーパーに立ち寄ったらしく、スーツケースのほかに紙袋を2つ下げていた。

 「まだごはんつくっていないの?おなか減った」

 開口一番がこれだ。雨の日は集中しやすく、誰もいない部屋とは2カ月ぶりとばかり、ついつい粘って座っていたのだ。

 

 台所の床に置きっぱなしになっていたスーパーの袋をのぞくと、山口産のすずきの切り身が顔を出していた。

 「はいはい、あっという間におわるよ。15分でできますから」と宣言。

 35分かかった。

 きょうの夕ご飯は、すずきのムニエル(ローズマリーとタイムを小麦粉にまぜる)、奥出雲の舞茸と椎茸の炒め物。ふきのたいたん。カリフラワーとブロッコリーのサラダ。ベトナム風生春まき。特製オニオンスープ。赤のスパークリングワインで乾杯した。パパさんはレモンチューハイ。

 また賑やかな日常が戻ってきた。

 

 

 Nが「世田谷の等々力までわざわざ行って買い求めた」という。

 ASAKO IWAYANAGI PLUS (アサコ イワヤナギ プリュス)のコンフィチュール(キウイとタイム)、焼きたてのクッキー。アサコ・イワヤナギ。一度聞いたら忘れないきれいな響き。性・名、が一体となって、海外の人の名前を聞いているよう。清々しさと、品の良さが一体化している。強欲な印象がない。名は体を語るというが、朝のひとときが楽しみなおもたせだ。

今度こそ絶対に、グレーテルのかまどの朝吹真理子さんのスコーンつくりますから」 

 Nは私の眼を覗き込むように念押しした。

 

 

 

 



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