月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

早口言葉ゲーム「炙り、カルビ」

2020-05-29 23:41:00 | コロナ禍日記 2020

 

5月1日(金曜日)

 

 朝8時に起きて、ビゴのフランスパン「パリジャン」にクリームチーズ×文旦ジャム、クリームチーズ×甘夏ジャムを交互につけて食べる。紅茶はダージリンで。

 

 9時。テレビ会議がはじまったので、早々に仕事部屋から退散、お風呂で本を読もうと駆け込むと、東からの朝日がそそぐ、居心地のよさそうなポイントをみつけた。洗面所から浴室につづく東側の通路で、引き戸を引くと、3帖ほどのミニベランダに出られる。

 母や祖母からジャガイモやタマネギなどの野菜が届いた際には、段ボールにいれてこのスペースで保存したり。Nが、幼い頃に家の合鍵を忘れて家の中に入れなかった時など、外階段から樋まで小さな手をのばして飛んで、腹筋を使って体を持ち上げ、このベランダまで侵入し、お風呂場の窓からわが家に入ったこともあるらしい。

 小さな空スペースに椅子を持ち込んで、それからお風呂の中で、森瑤子さんの「情事」をラストまで読む。(先日クローゼットの断捨離で見つけた)初めて読んだのは高校の時。父が営む海のみえるホテルの食堂に座って、打ち寄せる波音を聴きながら一心に読み耽り、ものすごく衝撃をうけた作品だ。

 主人公ヨーコの、内臓の奥まで魅せられた女としての美学。自立した女の孤独な愛し方を知った。

 いま、一体、何時なのか、さっぱりわからない。完全に紙の中に入り込んでいた。時計をみたら11時半。2時間近くここにいたことになる。

 



 

 お昼ごはんは、ほうれん草と玉子入りの特製チャーハン。丹波篠山「岩茶房ことり」の中華まんで。

 

 午後からは、2時半と5時〜。再び、パパさんのテレビ会議である。

 仕事がしたい、原稿に戻りたい気持ちを募らせながら、寝室クローゼットの洋服の整理をする。Nが手伝ってくれて、「カーディガン、ブラウス、ショール、スカート!」 と、声を出しながら次々と洋服の雨を降らせるので、それらをベッドの上に並べてモノの気を休ませてから。処分、クリーニング、洗濯機と仕分けした。(整理下手なので見た目の変化は少ないが)

 

 15時。アンリシャルンパンティエのケーキでティータイム。

 17〜19時。耳にノイズキャンセリングをして朝の原稿の続きを書いた。

 夕方の遅い時間に。Nを伴って散歩に出る。完全に陽が落ちていたので、ミニバラの花壇広場と杉やケヤキの森を抜ける最中に、ふと枝葉がみえないほどの暗闇があって、山の獣がこちらをのぞき見しているかのような、ぞわっぞわっとするものを感じた。昔一帯は山だったのだ。

 

 夜ごはんには、ヒラメの刺身と菜の花でちらし寿司をつくる。(盛り付けはNが担当)。舌平目のムニエル。トマトとグリーンサラダ。しじみの味噌汁も。きょうはアルコールはなし。

 



 夜。なわとびトレーニングを15分くらいした。肌にあたる夜風が爽快。心地よく疲れたところで、お風呂へ。Nが途中から入ってきて、ふたりでだじゃれを言って笑い合う。

 N、腰に手をやりながら、お尻を横に突き出して、手首をまわしながら焼肉を箸で炙る格好をし、「炙り、カルビ」「炙り、カブリ」「炙り、カブリ」と10回いって!と即す。

 「炙り、カルビ、炙りカブリ、あぶりカルビ、あるびカルビ」「あ!間違えた!ダメね」

 「じゃ、今度はN」。絶対にラストまでいえない。ジャスミンの香りのシャンプー剤を髪や頭皮に塗りたくりながら、「あぶり、カルビ」。濛々と立ちこめる焼き肉の匂いと煙! カルビを炙るN。独特のゼスチャー付きが〝ミソ〟である。

 さらに難易度をあげて「赤炙りカルビ 青炙りカルビ 黄炙りカルビ」なんて早口言葉もあるそう。お風呂の中で声が響くから面白い。

 お風呂からあがって、シロクマアイスを食べて、少し本を読み1時40分に就寝。

 



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