2020年11月15日

ロックダウンの苦労・その1

【しきち】
インドが完全ロックダウンを実施したのは、3月末だった。警察が道路にバリケードを設置し、通行人や車両に検問を行うほどだった。食料品店以外はすべてシャッターを下ろした。5月に入って段階的に解除されるまで、厳しいロックダウン体制が継続した。

マンションなどの集合住宅は固く門を閉ざした。外からウイルスが入ってきたら困るという理由で、デリバリーの車も進入禁止、住民がゲートの外まで受け取りに行くシステムになった。そして各マンションでは「お手伝いさんをどうするか」が大問題になった。

インドの家庭では、家政婦(夫)を雇う文化がある。一日に2時間の掃除だけだったり、住み込みだったり。家事範囲も、掃除や洗濯から料理の支度や子守りなどを任せる場合など、雇い主の希望により多岐にわたる。しきちの同僚たちも、しきちを除いて恐らく全員がヘルパーを雇っているし、アパートの両隣にも毎朝女性が通ってきている。

通いのお手伝いさんの出入りを禁じたマンションも少なくなかった。営業マンのマニシュは「メイドが来ないから大変なんだ」とため息をついていた。彼は両親と妻との4人暮らし。妻は専業主婦で料理はするが、基本的に家事はすべてメイドが行っていたらしい。マニシュは皿を洗うタイプではないし、両親に定期的にお茶を淹れるだけでも妻は大変だろう。妻の機嫌が悪くて張り詰めた空気だったことは想像に難くない。ロックダウン中は医療などのライフラインを除いてすべてのオフィスはクローズしたため、共稼ぎの場合は夫婦とも在宅勤務となり、急に自宅が手狭になる。家事と在宅勤務の両立が難しく、離職する女性もいたという。

5月より段階的に解除されてきたロックダウン。現在は可能な限りの在宅ワークが推奨されてはいるが、交通インフラ等の規制は解除され、店舗や飲食店も営業、社会生活が普通に営まれるようになった。本日はディパバリ、光の祭だ。アパートの外壁にも、住民が電飾を施している。


Posted by shiki_chin at 01:51│Comments(0)