MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

やさしい日本語

2019-11-15 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
お久しぶりです。
10月、11月は団体職員(非常勤)の仕事をしながら
週に3カ所くらいの講義や研修を行っているので
レジュメの作成と移動に追われる日々を送っています。

もともと秋は研修や学会などが多い時期なので
出かける機会は少なくなかったのですが
今まで「医療通訳」に関するものが中心だったのが
全国に相談窓口を配置する施策で地方都市でも
外国人相談窓口を作る動きが加速しており、
外国人対象の相談員研修が増えてきています。

また、今回の在留資格「特定技能」の対象国の9カ国
英語でも中国語でもないという現状を受けて
行政職員の「やさしい日本語」研修の依頼が増えています。

「やさしい日本語」はご存じの通り
阪神淡路大震災を契機に、災害時に有効なコミュニケーション手段として
考案されました。 

 「やさしい日本語とは」

私が初めて、弘前大学の佐藤先生の講義を聴いたときは
本当に目からウロコでした。
ずっと悩んでいたマイノリティ言語の人たちに
どういう通訳サービスを提供したら公正に情報が行き渡るかをのヒントが
ここにあると気づきました。

もちろん、コミュニティ通訳が必要な場面は
きちんと通訳者を配置する制度化をするべきです。
でも、もっと身近なレベルの情報提供は
日本語が母語の人たちが母語でない人たちに伝わる語彙で、
やさしい日本語の手法で話せば、伝わることも少なくありません。

私は通訳者として、よく難しい日本語からやさしい日本語への
通訳をさせられることがあります。
通訳する際に、難しい専門用語を本人に伝わる言い回しで伝える手法が
やさしい日本語に似ているためです。
今の日本ではコミュニティ通訳に「やさしい日本語」があってもいいかなと思うくらいです。

通訳者として「やさしい日本語」を広めたいのは
通訳者の無駄遣いを無くして欲しい。
日本語で話そうとしている人たちに
通訳がいなければコミュニケーションができないということならば
その人達の知る権利はどうなるのかと思うのです。
なので、一緒に音声翻訳ソフト使い方やコミュニケーションツールの紹介も行います。
と同時に、日本の通訳者の多くは日本語が母語ではありません。
なので、やさしい日本語を使うことで誤訳が減るというメリットもあるはずです。

私たちの目的は、通訳者の雇用を確保するためでも、仕事を作ることでもありません。
日本に暮らす日本語を母語としない人たちが、自分の言葉で自己決定を行うことを支援することです。
そのために、通訳者でなくてもいいことは「やさしい日本語」も含めてツールを使い
必要な場面でトレーニングを受けた通訳者を適正に使ってほしい。
通訳者の無駄遣いをする余裕は今の日本にはありません。

目的はあくまでも「自分のわかる言葉で知る権利」と「自分の言葉で表現する権利」を守ることです。






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