市職員
「市長に命じられてきました。
 防災課の西本です。」

所長
「所長の厚木です。(名刺を渡す)」

市職員
「(名刺を見る)『最先端研究所・所長』・・・。」

所長
「はい。

 最先端のことを研究しています。」

市職員
「最先端を・・・。

 で、どんなトラブルが起きたんですか?」

所長
「はい。

 最先端研究所で研究してた生物が研究所から逃げ出してしまって・・・。」

市職員
「研究中の生物が・・・。」

所長
「はい。」

市職員
「・・・何が逃げ出したんですか?」

所長
「トップシークレットです。」

市職員
「いや、言ってください。」

所長
「門外不出の生物です。」

市職員
「いや、逃げちゃったんですよね。

 バリバリ外に出てますから。」

所長
「これ以上は私の口からは・・・。」

市職員
「何ですか、『最先端研究所から研究中の生物が逃げ出した』っていうパワーワード。

 何か、勝手に顔のない青いマネキンみたいな生物がフラフラうろついてる画が頭に浮かぶんですけど。」

所長
「あ、その点は安心してください。」

市職員
「安心?」

所長
「逃げ出した生物は顔のない青いマネキンみたいな生物ではないので。」

市職員
「全然安心できないです。

 僕の想像と違ったってだけですから。

 で、逃げ出した生物はどんな見た目なんですか?」

所長
「トップシークレットです。」

市職員
「だから、なんでそこは秘密なんですか!」

所長
「知らない方がいい真実っていうのもあるんです。」

市職員
「怖い怖い怖い!何、この施設!

 得体の知れない生物が逃げ出したってことしか教えてくれないんですけど!

 お願いです。具体的なところがわからないので対策が打てないんです。」

所長
「対策・・・?」

市職員
「近くの小学校を集団下校にするとか・・・。」

所長
「フッ。小学生が束になってかかったところで・・・。」

市職員
「近隣住民は家から出ず、ドアには鍵をかけるとか・・・。」

所長
「フッ。鍵をかけたところで・・・。」

市職員
「麻酔銃を持った猟友会の人に出動してもらうとか・・・。」

所長
「フッ。眠らせたところで・・・。」

市職員
「ホント、何が逃げ出したんですか!」

所長
「トップシークレットです。」

市職員
「なんで核心の部分は教えてくれないんですか!

 ものすごいパワーの持ち主か何かですか?!

 なんか、勝手に緑色の筋骨隆々な生物が浮かぶんですけど。」

所長
「あ、安心してください。」

市職員
「安心?」

所長
「逃げ出した生物は緑色の筋骨隆々な生物ではないです。」

市職員
「だから、安心はできないですって。

 僕の想像が的外れってだけで。」

所長
「この生物の動きを止めるには、古代から伝わる封印の呪文が必要です。」

市職員
「古代から伝わる封印の呪文?」

所長
「確かうちの市の市営図書館に関連図書があったはずです。」

市職員
「うちの市はなんなの?

 なんでそんな本があるの?」

所長
「動きが素早いですからね。

 なんとかして封印しないと。」

市職員
「ホントなんなんですか、研究中の生物って。」

所長
「それは私の口からは・・・。」

市職員
「だから、なんでですか!ここまでおおごとになってるのに!

 なんか、勝手に紫のドラゴンみたいな画が浮かぶんですけど・・・。」

所長
「あ、安心してくださ・・・。」

市職員
「もういいですよ!

 紫のドラゴンではないんですよね!」

所長
「いえ、ドラゴンではないです。」

市職員
「・・・。」

所長
「・・・。」

市職員
「・・・あ、紫はあってるってことですか?」

所長
「それは私の口からは・・・。」

市職員
「よし、一つ情報得たぞ。

 (メモを取る)逃げ出した生物は紫・・・と。」

所長
「あと、古代から伝わる封印の呪文を使うには、伝説とされている『いにしえの杖』が必要です。」

市職員
「いにしえの杖?」

所長
「これは市営博物館にあったかと・・・。」

市職員
「うちの市はなんなの?

 ムーが監修してるの?

 そして、この施設はなんなの?」

所長
「最先端研究所です。」

市職員
「最先端じゃないよ。

 さっきから『古代』とか、『伝説』とか、『いにしえ』ってワードがバンバン出てきてるし。」

所長
「詳しいことは私の口からは・・・。」

市職員
「お願いです。対策を打つために情報が欲しいんです。

 逃げ出した生物はどんな形をしてるんですか?」

所長
「トップシークレットです。」

市職員
「だから、なんで言えないんですか!

 人の姿をしてるんですか?」

所長
「人の姿はしてないです。」

市職員
「怪獣みたいな形?」

所長
「違います。」

市職員
「ライオンとか?」

所長
「近くなってきました。」

市職員
「クマとか・・・?」

所長
「それ以上、私の口からは・・・。」

市職員
「よし、また情報出た。

 (メモを取る)クマの姿をしている・・・と。

 『言えません』って言っておきながら、具体的な質問をすると、答えが返ってきますね。」

所長
「そんなことないです。」

市職員
「・・・逃げ出した生物の大きさは?」

所長
「ごめんなさい。」

市職員
「2mくらい?」

所長
「そんなに大きくないです。」

市職員
「1m50cm?」

所長
「もうちょっと小さい・・・。」

市職員
「70cm?」

所長
「まだまだ・・・。」

市職員
「30cm?」

所長
「もう少し・・・。」

市職員
「10cm?」

所長
「それ以上はすみません。」

市職員
「(メモを取る)10cm・・・と。

 めちゃくちゃ小さいじゃないですか!」

所長
「だから、逃げられちゃったんですけど。」

市職員
「弱点とかないんですか?」

所長
「秘密です。」

市職員
「銃とか。」

所長
「効かないです。」

市職員
「鈍器で殴る。」

所長
「頑丈なんで・・・。」

市職員
「火をつける。」

所長
「熱に強いんです。」

市職員
「催涙ガス。」

所長
「すみません、これ以上は・・・。」

市職員
「(メモを取る)催涙ガスに弱い・・・と。

 そもそも、体長10cmなら、踏んづけちゃえばいいのか。」

所長
「フッ。踏んづけたところで・・・。」

市職員
「(メモを取る)踏んづけてもダメ・・・と。

 よし、とりあえず催涙ガスをできる限り用意しよう。」

所長
「クマすけのこと、よろしくお願いします(頭を下げる)!」

市職員
「(メモを取る)名前は『クマすけ』・・・と。」

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

コント内でも出てきますが、「最先端研究所で研究中の生物が逃げ出した」というパワーワードから広げたコントです。

この言葉だけで、いろんな想像が広がりますよね・・・。

 

【上演メモ】

人数:2人

市職員

所長

 

所要時間:4分~5分
上演難易度:★☆☆☆☆
備考:実際に演じにくいキャラクターが舞台上に出てくることはなく、セリフのやりとりだけなので、実演難易度は低いです。

音声コントなどにもアレンジできると思います。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【お題コント】歴史上の人物・女性版
【お題コント】幸せボケ
【コント】大型アップデート
【コント】西遊記#2
【コント】目薬

 

 

 

【コメント募集中】

今後のコント作りの励みになるので、ぜひ、感想をお聞かせください。

 

↓こんなコメントでもOKです!

・今回のコント、実演(アニメ化)するならキャストは誰

お気に入りのセリフは何?

最先端の技術だなぁと思ったものは何?

コントのお題も募集してます。