私の母親は、昔から物をなくすのが大嫌いである。
「もうあきらめようよ~。」と、諭しても、「嫌だ!私、こうやって物がなくなるの、大嫌いなの!」と言い、目くじらを立てながら、オニの形相でなくしものを探し回る有様。
長い間探して、ないと、「えぇ~、え、どうしてないのぉ~・・・。」段々と泣きべそをかき始める。
そんな母親を見て、探偵だったら大成しそうだな・・・、と思う。
先日、私の夫なおぴょんが、そんな母の探偵24時!に巻き込まれる事件が発生した。
母が我が家に遊びに来た際、近くのスーパーで購入した、カップヌードル「スッポン」(何を頑張ろうとしている、母よ。)を昼ご飯に食べようとしていた。
なおぴょんがカップヌードルにお湯を入れ、母に渡すと、「あれ?このカップヌードルに、オイルついてなかった?」と言う。
「え?ついてませんでしたけど・・・。」
「おかしいな~、ついてたんだけどね。最近のカップヌードルってついてるよね、オイル。」
懐疑的になってきた母親を前に、なおぴょんはスマホで、「カップヌードル スッポン」と画像検索し始める。
「あ、確かに、黒いパッケージのオイルがふたに乗っかってますね、コレ見ると。」
「でしょー、私もあれ~?なんで、ないの~?と思ってさー。あったと思ったんだけど、なおさんにお湯入れてもらった後、ない!と思ってね~。」
「いやー、僕がお湯入れたときはなかったですよ~。」
「おかしいな~。」
どうやら母親の「なくしものはゆるせない!モード」に、完全に突入している。
カップヌードルを半分以上すすっているというのに、キッチンの床、ポット、米びつの裏まで探し始めた。
ゴミ箱まであさっている。
ノラネコか!?
「えー、うそー、不思議すぎー。」
あきらめたのか、カップヌードルを再び食べ出し、全部平らげてしまった。
もう全部食べたのだから、さすがの母親もあきらめただろう、と思いきや・・・
今度は炊飯器の中まで検索しはじめた。
炊飯器の中!?って、どんな超能力つかったら、入るのだ!?
食べ終わって、必要なくなったオイルをまだ追っている捜査官、ここにあり。
「こんなところにあるわけないしね~。なおさんにお湯を入れてもらった後からないんだよね。」
完全に容疑者にされてる夫。
「いやぁ、私、お義母さんの食べるカップラーメンのオイルとって嫌がらせしてやろうだなんて、思いませんよ-!」
夫は疑われていることに涙目になり、必死に抵抗している。
「ぶははは。そうだよね~、キャハハ、わぁ、なんか楽しい!おもしろーい!ふしぎー!」←必死に夫の前ではコミカルに気にしないふりをしているが、全く捜しものをあきらめていないことが、私には分かる。
母親がさて、帰るかという時、「あ!!!!!!」という叫び声。
玄関まで続く階段に例のオイルが落ちていたらしい。
「ごめーん・・・、本当、ごめん。私がここにくるまでに、おっことしてたのかもぉ。」
なくしものが見つかって、ほっとしたのか、満足そうに去ったばあば。
しかし、その後の夫は・・・
「30分くらい、ずっと疑われていてたよー。恐かったよ~。警察に尋問される人の気持ちが分かったよぉ~。」
と、震えていた。
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