臨床関係の付加的治療について | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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本論文は、臨床関係の付加的治療に関するまとめを示しています。

 

Fertil Steril 2019; 112: 978(インド)doi: 10.1016/j.fertnstert.2019.09.019

要約:現在、様々な臨床関係の付加的治療が行われていますが、しっかりしたエビデンスに乏しいものばかりであり、今後のRCTスタディが必要です。

 

         出産率   エビデンスレベル   現段階での結論

子宮鏡検査     増加      低          

DHEA       増加      中          

テストステロン   増加      中          

PRにGH      増加      低低

          増加      ?          

アスピリン     不変      中          

ヘパリン      不変      中 

          増加      低低         

女性へ抗酸化剤   不変      ?          

男性へ抗酸化剤   増加      ?          

精液暴露      不変      低          

内膜菲薄のPRP   不変      ?          

*PR=poor responder(卵巣反応不良)

 GH=growth hormone(成長ホルモン)

 PRP=plate rich plasma(多血小板血漿)

 

解説:本論文は、臨床関係の付加的治療に関して否定的な見解を示していますが、GHとPRP以外は患者さんに条件が設定されていませんので、全ての患者さんが対象になっています。昨日の培養関係の付加的治療(2019.1.12「」の記事参照)と同様に、どのような方に有効であるかサブグループ解析により十分検討を行った上で、選択された患者さんについて実施すべきであると考えます。実施してみて妊娠成績が改善するならば実施すべきであり、改善しないなら実施すべきではありません。