Q 貴院にて採卵して頂きました。移植はまだですが、採卵前も寝るときに電気毛布を毎晩使っていました。胚に電磁波の影響があるか心配です。
A 電磁波による人体への影響はどれくらいあるのでしょうか。
まず、電磁波強度の単位は、1mG(ガウス)=100nT(テスラ)がよく用いられます。ほとんど全ての家電製品が電磁波を出していますが、その程度は下記の通りです。
電子レンジ 200mG
掃除機 200mG
電気こたつ 100mG
電気シェーバー 100mG
ヘアドライヤー 70mG
炊飯器 40mG
電気毛布 40mG
ホットカーペット 30mG
洗濯機 30mG
エアコン 20mG
冷蔵庫 20mG
カラーテレビ 20mG
ステレオ 20mG
ビデオデッキ 6mG
アイロン 3mG
ファックス 2mG
コーヒーメーカー 1mG
電磁波の種類と周波数はそれぞれ下記のように割り当てられています。
超低周波(3〜30Hz):軍事用無線
低周波(30〜300Hz):電子機器
ラジオ波(3kHz~30GHz):ラジオや無線
TVモニター:3〜30kHz
AMラジオ:3〜30MHz
FMラジオ:30〜300MHz
携帯電話:300MHz〜3GHz
無線LAN:3〜30GHz
ここで、電磁波による人体への影響に関するレビュー論文をご紹介します。
Electron Physician 2016; 8: 2655(イラン)doi: 10.19082/2655
要約:電磁波による人体への影響を男女別に記します。
<男性>
2.4 GHzのWi-Fiにより精子機能低下(マウスでは精子形成細胞の細胞死を誘導、血中テストステロン濃度低下)
900 MHzの電磁波によりマウス胚性幹細胞のDNA破壊
60 Hzの電磁波により精子形成細胞のアポトーシス
50 Hzの電磁波によりウサギ精子運動率低下
50 Hzの電磁波x8時間/日x8ヶ月によりラット精巣容積低下、精細菅直径縮小
<女性>
妊娠中の女性をテレビモニターに暴露させると流産率増加、胎児奇形率増加
60 Hzの電磁波に暴露したメスラットから生まれたオスは、精細管の容積減少とライディヒ細胞の減少
20 KHzの電磁波によりマウスの性周期延長
33 Hzの電磁波に暴露したマウス卵胞は培養で発育停止
900 MHzx30日間の電磁波によりラット子宮内膜のアポトーシス増加
50 Hzの電磁波x4時間/日x2週間によりマウス胚盤胞数低下とDNAフラグメント増加
電磁波により排卵障害出現
電磁波によりマウス変性卵増加
排卵前に電磁波4時間暴露により胚発生に悪影響
電磁波によるラット卵巣への悪影響を電子顕微鏡で確認
解説:国際的な基準では電磁波は1000mG以内に抑えるようにガイドラインで定められていますので、家電製品ではそれを超える製品はありません。しかし、電磁波による精子や卵子への影響は完全には否定できません。特に、携帯電話やWiFiなどの電磁波による精巣へのダメージによる男性不妊が多数報告されています。また、電気毛布は一部のネット記事では、長時間作用するので強度は弱くても重大な懸念材料であるとしていますが、その根拠は希薄です。しかし、現代の世界で生きている限り電磁波のない生活(家電製品のない生活)はあり得ませんので、電磁波の影響を電気毛布だけで考えても意味がありません。
下記の記事を参照してください。
2013.1.25「☆電磁波の影響」
2012.10.6「男性は携帯電話をズボンのポケットに入れないで!」
なお、このQ&Aは、約2ヶ月前の質問にお答えしております。