TESE-ICSIの妊娠率予測モデル | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

本論文は、TESE-ICSIの妊娠率予測モデルを作成した報告です。

 

Hum Reprod 2020; 35: 1972(中国)doi: 10.1093/humrep/deaa163

要約:2016〜2019年にTESE-ICSIを実施した453組の夫婦を対象に、モデルの作成(302組)とモデルの確認(151組)を行いました。女性の年齢とAMHとAFCの3項目、男性のテストステロンとLHとFSHと精巣容積と無精子症の状態(非閉塞性、閉塞性、先天性、後天性など)の5項目が妊娠率予測に必要な項目としてピックアップされました(いずれも大きい方が良い)。それをもとにした妊娠率予測は、Hum Reprod 2020; 35: 1978 Fig 6に当てはめて計算します。このモデルを用いると、AUCは0.891(モデルの作成)と0.866(モデルの確認)と高くなっていました。

 

解説:妊娠率の予測モデルはいくつか報告されていますが、TESE(精巣精子)の妊娠率予測モデルはありませんでした。本論文は、TESE-ICSIの妊娠率予測モデルを作成した初めての報告です。本論文の著者は、このモデルを用いてTESE手術の決断やドナー精子の決断に当たって欲しいとしていますが、あくまでもモデルですので実際に手術をしてみてからの判断が良いと思います。

 

下記の記事を参照してください。

2019.7.13「妊娠率の予測モデル

2018.12.23「自然妊娠率の予測 その2

2017.3.12「自然妊娠率の予測