森中定治ブログ「次世代に贈る社会」

人間のこと,社会のこと,未来のこと,いろいろと考えたことを書きます

PCR推進に関する一つの提案と考察

2020-10-17 16:13:59 | 社会問題

埼玉県では、県が主体となり、埼玉県河川環境団体連絡協議会(埼河連)が協力して、毎年2月に県内の河川に関わるNPOが一堂に会する「川の再生交流会」が開催されます。
埼玉県は、県の総面積に占める河川の面積が3.9%で日本一、同じく道路の占める面積が6.8%ですから、道路の面積には及ばないもののそれに近い川の面積を持ちます。環境問題に力を入れた上田前知事以来、河川を埼玉県の環境向上の大きな目玉にしてきました。
来年度(2021年)は2月13日(土)にさいたま市のホールで開催の予定ですが、新型コロナの問題があり例年通りの開催ができるのかどうか、行うとしても参加人数や集いの進め方、あるいはZoom等で行うのか、それとも中止にするのか、抜本的な対応が必要です。10月6日に県、埼河連及びNPO有志が集まって、その第1回の会合が開催されました。
私は、「綾瀬川を愛する会」の代表として参加しましたが、その席で参加者全員の事前のPCR実施を提案しました。その費用は、県に特別予算を組むようお願いしました。
去る10月10日にはさいたま市市内の劇団「ミュージカル座」で62人のクラスターが発生しました(見出し記事)。当然ながら検温やマスク着用、社会的距離は相応に配慮されていました。要は、たった一人の無症状の感染者がその集いに混じれば、クラスターが生じます。

ですから、対策はただ無症状の感染者を見出せばよいだけなのです。
その無症状の感染者をどうやって見つけるのか?
開催日直前にPCRを実施して、その陽性者を外せばよいだけです。
この提案は、数名の参加者から即座に否定されました。

謂く、偽陽性、偽陰性が生じる。差別につながる・・。
人間のすることは完全ではありません。
偽陽性、偽陰性は混じるかもしれませんが、検温だってそれは同じです。検温で37.5度以上の人を不参加にしても、その方は他の理由で体温が高いのかもしれないし、逆に体温37.5度未満でもコロナの人が混じっているかもしれない。
差別につながるとは・・!!
陽性反応が出た人を不参加にすることが、どうして人種差別やLGBT差別と同じなのでしょうか?
検温で、体温37.5度以上の人を不参加扱いとすることを差別だという人はいないでしょう。それと何が違うのでしょうか!
僅かにこんなやりとりがあって、すぐにここは「川の再生交流会」の具体的な内容を検討する場であって、コロナについて議論する場ではないという主張が出て、それでこの話は終わってしまいました。

フランスでは、9月には感染者が1日1万人を超え、現在では3万人を超えています(下の記事も参照)。
https://news.yahoo.co.jp/byline/saorii/20201016-00203244/
なぜ1日に3万人もの陽性者が見つかるのでしょうか?
それは、1日に20万件ものPCRがなされているからです。北京では1日100万件、米国ではトランプ大統領が4月末の時点で1日に500万件を目指すという数字を挙げています。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020091700707&g=soc
日本はこの10月の状況では最大で5万件、米国、中国、フランスと比べて桁違いに少ないのです。今年4月末の時点で、OECD加盟の36カ国中35番目でした。

https://news.yahoo.co.jp/byline/takahashikosuke/20200430-00176176/

その時から、この順位は大して変わっていないのではないかと想像します。トランプ大統領は1日に500万件を目指すとアピールをしました。では、日本の首相は1日何件を目指すと言ったのでしょうか?

私はついぞそれを聞いた記憶がありません。
種々の政治団体やその他様々の有力団体が各地の首長に、PCRを増やすよう要望書を提出します。要望された各首長もそれを有り難く受け取ります。埼玉県でもPCRを増やすことには前向きです。

でも私は、海外と対比すれば実質的にはほとんど増えていないと思います。それらの行為はまず入り口の意思表示、いわば一種の儀式であり、それだけでは十分ではないように思います。
我々の提案のように、PCRを実際にどうやるのか、その具体策が最初の意思表示と一体になってこそ、抜本的にPCRを増やすにはどうしたらよいかという、次の行動につながるのだと思います。市や県や公共機関が主催する集い、GoToトラベルもGotoイートもPCR実施を前提にすればよいでしょう。これでこそ、Gotoキャンペーンへの安心感も高まるでしょう。そしてその費用は、いつでもどこでも希望に応じて実施できるように、国や公的機関が持つようにすべきです。
そしてこれは日本における、新コロナウィルスに対する具体的な対策の新しい一歩を踏み出すことなのだと思います。

我々の提案は、その場で即座に否定されました。
でも最初はそういう目に合うものだと思っています。
おそらく具体的な集いにおいて参加者全員がPCRを事前に実施すべきというような提案は、日本で初めてだと思います。

日本で初めて・・、そういう前例のない提案は、いわば目の前にそびえる大きな壁です。そんな壁を眼前にすれば、革新的な人ですら身構えるのでしょう。我々も、理由にならないような理由で剣もほろろに否定されました。
でも、こういう試みを数回繰り返せば、どこかで必ず日の目を見ると思います。
そうやって、人間は壁を打ち破っていくのだと思います。
日本社会の壁を破ろうとする我々の提案は、実りはしなかったけれども、大きな一歩を踏み出したと考えています。

 

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« コロナウィルスに対する壮大... | トップ | 日本学術会議会員の非任命問... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

社会問題」カテゴリの最新記事