こんな記事がありました。

 

トイレ、風呂、台所の汚水流入、お台場の水質「最悪」

 
お台場といえば、東京湾。こういう感じのところです。
東京湾というと、私らが子供の頃はドブみたいな汚い海でしたが、このところ、「ずいぶんきれいになった」と言われるようになったはずです。
 
しかし、実際はすごく汚かったのです。
 
この原因は???
 
その前に、実は私は、「全国各地のマンホールの写真を撮るのが趣味」でして。これ、最近は、「マンホールカード」なるものを自治体が発行するようになったりして、ちょっとした「ブーム」になっています。
私の場合は、10年ほど前に、栃木県の「石橋」というところに行った際に、このマンホールを発見して、「なんじゃこりゃ!?」と、松田優作5人分くらい驚愕したことにより、この趣味を開始しました。
 
 
さて、マンホールを見ると、必ず、下のほうに、文字が書かれています。
 
 
「汚水 おすい」「雨水 うすい」という2種類です。(石橋の写真は 「おすい」 です)
 
「汚水」というのは、家庭からの生活排水や糞尿の入った下水のことです。文字通り、「汚い水」ということになり、これは「下水処理場」に行って、浄化されてから、河川に放流されます。
 
「雨水」は、文字通り「雨の水」であり、道路端にある排水口から集められます。汚れてはいないので、そのまま、河川に放流されます。
 
つまり、「汚水」と「雨水」は、それぞれ、別々の「排水管」になっているということです。「混ぜてはいけない」というものなのです。
 
東京福生市のマンホール  「雨水用」
 
 
 
 
 
東京23区内のマンホール  「汚水用」
 
 
 
このように、本来、別々の排水管にしないといけない「汚水」と「雨水」なのですが、東京23区内では、これが、「ひとつに混ぜている」ところがあります。
 
それが「合流」というものです。
 
 
 
この合流というものは、東京23区内に多数あり、特に、山手線内ではほぼ100%が合流式となっています。
 
というのも、この地域では、早くから下水道が整備されたのですが、その際に、まだ、「汚水と雨水を分別しないといけない」という概念がなかった時代(本当は分けたかったが、費用の面からも分けられなかった)に作られたため、混ざった排水になっているのです。
 
この合流式は、上記の記事にもありますが、通常時は、すべて「下水処理場」に集められるのですが、近年多発している「ゲリラ豪雨」などの短時間集中型豪雨の場合、水道管のキャパを超えてしまうことがあり、この時は、緊急避難的に、「汚水が混じった雨水」を河川に流してしまうのです。
 
このため、お台場の海にも、家庭から出た生活排水や糞尿がそのまま流出してしまうのです。
特に、この地域は、「狭い土地に戸数の多いタワーマンションが林立しているところ」ですから、排出される糞尿の量も相当なものです。
 
もともとは「めったにないこと」なんですが、最近の「温暖化」による集中豪雨の頻発により、汚水が河川に排出されるケースが増えてきており、これが問題になっています。
 
東京五輪の開催時期は、ゲリラ豪雨が多くあると予想される時期であり、根本的な下水道の整備(処理場の増設も含む)をしない限り、今回と同様の「糞尿の中で泳がないといけない」という事態が発生する確率は高いです。
 
とにかく、東京湾での水泳はやめたほうがいいと思います。
 
そして、「湾岸のタワーマンションってかっこいい!」とか安易に住まないで欲しいです。住民が増えれば増えるほど、東京湾が汚れるのですから。