ピアノ発表会。

我々プロは、「演奏者や観客に迷惑をかけないように」と、「シャッター音のしないカメラ」を導入したり、相当なおカネをかけて、機材を揃えていますが、「孫の晴れ姿を撮ろう」「娘・息子の雄姿を撮ろう」と、大きな一眼レフを持ち込んでくる「ご家族カメラマン」の場合、そういう配慮をしている人は少ないです。

 

この前のピアノ発表会の撮影の際、かなりの数のお客さんが、立派な一眼レフカメラを持ち込んできていました。

「自分の子供の演奏の時に、親や祖父が、大きなシャッター音を立てて撮影する」には、自分の子供なんで、「他人の演奏に迷惑をかけている」わけではなく、私達プロは気にしておりません。

 

ただ、その時は違いました。

 

一眼レフカメラって、カメラを構えて、シャッターボタンに軽く触れると、「ピントを合わせる動作」を行ないます。

この時に、ピントが合うと「ピピ!」という大きな電子音が発生します。これを専門用語で「合焦音」(がっしょうおん  焦点が合ったことを知らせる音)といいます。

これが3ケ所くらいで鳴り響くのです。そう、「合焦音」の合唱です。電子音というのは、小さな音量でもけっこう耳障りです。

 

 

ここまでは、よくある話なんですが、今回、不思議に思ったのは、「合焦音」がしたあとは、当然、「シャッター音を切る音」が、「カシャ!」とするのが普通なのに、それがないのです。つまり、ピピ!という合焦音だけで、シャッターを切っていないのです。

カメラを構えている姿は間違いなく見ているのですが、どうやら「写真を撮ってはいない」ようなんです。これ、不思議です。

 

そして、さらに不思議なのに、普通は「自分の子供だけを撮る」はずなのに、その人達は、連続して何人もの子供の演奏に対してカメラを向けています。

 

そういう「なんでだろう?」という、「合焦音の合唱」を聞いていた所・・・・・・ 数組の演奏が終わったところで、そのカメラの1台から「カシャン! カシャン!」という、大きなシャッター音が何度も何度も鳴り響きました。そう、やっと、シャッターを切ったようです。そして、そのカメラマンは、その次の演奏者の時はカメラを構えませんでした。つまり「撮影終了」ということです。撮影はしないのですが、次の生徒さんの演奏中に、三脚を畳んだり、カメラをカメラバッグに入れたり、いろいろな騒音を響かせていました。

 

というようなことが3組ほどありまして。

 

あとで、その「おじいさんカメラマン」に話を聞いたら、「自分の孫の演奏は9番目だったので、1番から8番までの演奏の時に、カメラを構える練習をしていた。その時は撮っていない。9番目の孫の時だけ撮影した」とのこと。

 

つまりは、あの「ピピ!」の合唱は、みなさん、「自分の子供の演奏の時の撮影に備えて、別の生徒さんを利用して、実地練習をしていた」ということです。

 

いや~ まあ~ 事前に他の演奏者を利用して練習するのは悪いことではないですが、その演奏者にしたら「邪魔」「うるさい」という迷惑行為です。

 

カメラの「合焦音」というのは、設定で、「消音」することが簡単にできます。一眼レフなどの高級機種であれば、絶対にその機能はあるはずです。

こういう「静粛性を求められる場所」では、事前に、「消音設定」にしておいてほしいと思います。

 

ちなみに、私のカメラはすべて「合焦音はしない」に設定してあります。プロであれば当然です。

 

教室の先生としては、事前に配布する「発表会の案内」の書面に、「ピピ!という音は消せますから消してください」と書いておくといいかもしれません。