パピとママ映画のblog

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洗骨★★★・5

2020年06月10日 | アクション映画ーサ行

             

「ガレッジセール」のゴリの監督・主演で、数々の映画祭で好評を博した2016年製作の短編映画「born、bone、墓音。」を原案に、ゴリが本名の照屋年之名義で監督・脚本を手がけた長編作品。父・信綱役を奥田瑛二、長男・剛役を筒井道隆、長女・優子役を水崎綾女がそれぞれ演じ、筒井真理子、大島蓉子、坂本あきら、鈴木Q太郎らが脇を固める。

あらすじ:沖縄の離島・粟国島に残る風習「洗骨」をテーマに、家族の絆や祖先とのつながりをユーモアを交えて描いていく。新城家の長男・剛が母・恵美子の「洗骨」のために故郷の粟国島に帰ってきた。母がいなくなった実家にひとりで暮らす父の信綱の生活は、妻の死をきっかけに荒れ果てていた。さらに、長女の優子も名古屋から帰ってくるが、優子の変化に家族一同驚きを隠せない。久しぶりに顔を合わせ、一見バラバラになったかにも思えた新城家の人びと。数日後には亡くなった恵美子の骨を洗う大事な洗骨の儀式が迫っていた。

<感想>wowowにて鑑賞。沖縄の葬式やその後のシキタリと風習を知り驚きました。今でも土葬や風葬をしているところがあるということも。家族だからこういう風習の葬式を執り行うのだと思いましたね。東北の山奥でもいまだに土葬で行っているところがあるみたいです。昨今、子供たちが両親のお墓に入りたくないとか、墓離れとしていて、終いお墓をする子供たちが増えているそうです。

物語は、沖縄のある家族のお話であり、妻が亡くなり家に取り残された父親のお話と、その家の長男と長女の話である。もちろん葬式前半は、父親があまりのんびりとしていて、長男が葬式を執り行うわけで、父親が借金を作り、その支払いを全部長男が肩代わりして支払ったという。そのことで、始終父親を怒鳴り散らして、文句ばかりいう長男。東京の長男夫婦の妻や子供は来ていなかった。後で分かるのだが、離婚をしたという。

親戚の前では、沖縄に帰って来て家を継ぐわけでもなく、どうやら家を売ってお金にしたいという感じがした。葬儀の食事は、料理屋から取り寄せるわけでもなく、おばさんや娘たちで慎ましく、ささやかな食卓のお膳を並べる。近所の男が、葬式の後でその法要の食事をおみやげに持って挨拶をしている。それが、まだまだ残り物を欲しいとねだるずうずうしさに呆れかえった。まぁ、香典を包んできたのだから、お返しのお茶とかで済ませればいいものを。

それに、母親の棺桶に入れる時に、膝を折り曲げて沖縄の着物を着せ、髪を結いあげて化粧もして、それは綺麗な母親の死に顔でした。普通なら葬儀屋が執り行う白い着物で、あの世への装束を着させて、寝かせて棺の中へ入れ、花をたくさん手向けて三途の川の渡せ賃をして10円玉をもたせて、火葬した後に、骨を拾いあげるときにその10円玉を身内で分ける。その後に、告別式や法要、納骨、49日、1周忌や3回忌、7回忌とか、遺族は亡くなった者への送り式を執り行う。

沖縄の風葬というのは、4年間、海の穴倉へ棺桶を野ざらしにして骨だけになるのを待つ。4年後に、家族や身内の親せきたちで、海へ歩いて行き、砂浜にその棺桶を出して、中からシャレコウベとなった頭蓋骨を大事そうに抱きかかえる父親。そして、遺体の全部の骨を出して、持って行ったタライにて、木桶の中で真水で骨を丁寧に洗い清める。頭蓋骨が茶色になっていて、きちんと頭のカタチになっていたのが凄かった。まだ魂がそこにあるような、怖いとか、そういう感じはしなかった。

その時に、4年ぶりに帰ってきた娘のお腹が臨月で、誰の子供を孕んだのかと親戚や近所の人たちが噂をする。どこも同じだ、きちんと婿殿を連れてきて挨拶をしていないので、娘は好きな人の子供を産みたかったというばかり。父親も長男もおろおろして怒っている。父親の姉というおばさんが、姪っ子のお腹をみて、「いいさ、授かりものだもの、ここで産めばいいさ」と優しく声をかけるのだ。田舎は善き人たちばかり。

そんな時に、東京から娘のお腹の父親という男が訪ねて来る。美容師の店長だという大柄なゆったりとした、笑顔の素敵な男。父親に娘との結婚の承諾を得て、赤ん坊の父親も一緒に洗骨の儀式をするのだ。

それが、ちょうど臨月なので、海へ母親の洗骨をしにみんなでぞろぞろと行く。母親の骨を出して、綺麗に洗い清めている時に、その娘が産気づき大慌ての人たち。でも、何度も子供が授かったおばさん。産婆ではないが、テキパキとみんなに号令をかけて、娘のお産の支度をさせて、自分はぎっくり腰になってしまい、横に寝ながら指図をする。

それが、死に行く人の風習をして見送り、若い娘が新たな赤ん坊を生むという。なんともドタバタ騒ぎのような感じでもあったが、みんなでお産の手伝いをして、無事に赤ん坊が生まれたのを見届けるのには、安堵とともに笑顔が自然に浮かぶのも良かった。亡くなった母親も、娘のお産に巡りあって、孫の顔を見て嬉しかろうに。

そして、洗骨も無事に終わり、赤ん坊の出産も無事に生まれて、やれやれと思っている時に、海の浜辺近くに魚がたくさん来ているというので、みんなで網を広げてカタクチイワシのような小魚がたくさん獲れたのも、演技がいいのだった。めまぐるしい騒動続きで、哀しい葬式も明るく笑って見送るのに、これでいいのだと思った。

なんともこの物語は、ゴリさんが脚本に監督だというから、驚いた。コンビニのおばさんがリアルで、沖縄の女という感じがして良かった。父親の奥田瑛二さんが渋くて味があっていい。酒ばかり飲んで、頭に怪我をしたのにはびっくりした。娘が美容師なので、兄貴と父親の頭を短くさっぱりと切ってやるのも良かったです。それにもまして、まずは沖縄の青い海が美しくて、それだけでも心が洗われます。

 

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