パピとママ映画のblog

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コンプリシティ 優しい共犯 ★★★・3

2020年05月02日 | アクション映画ーカ行

短編「SIGNATURE」が第70回ロカルノ国際映画祭などで高い評価を受けた近浦啓監督の長編デビュー作。チェン・リャン役を「孔雀 我が家の風景」の中国人俳優ルー・ユーライ、弘役を藤竜也がそれぞれ演じる。2018年・第19回東京フィルメックスのコンペティション部門で観客賞を受賞。

あらすじ:中国人青年チェン・リャンは技能実習生として日本にやって来た。中国の家族たちの期待を背負って来日したものの、劣悪な職場環境から逃げ出してしまい、チェン・リャンは不法滞在者となってしまう。そんな彼は他人になりすまし、そば屋で働き口を見つける。そば屋の主人・弘は良好でない息子との関係もあり、心に孤独を抱えていた。口数が少なく不器用で、厳しくも温かい弘の人柄に父を重ねるチェン・リャン。彼の嘘に気づくことなく、次第に情を深めていく弘。2人はまるで親子のような関係を築いていくが、チェン・リャンに警察の手が迫っていた。

<感想>新型コロナウイルスの蔓延による緊急事態宣言を受け、日本中のほぼすべての映画館が営業を休止しています。自宅でのTV鑑賞をはじめ、映画やコンテンツを楽しむ需要自体は根強くあるものの、“映画館という場”は窮地に立たされてます。
コロナ禍の終息後、劇場が営業を再開したらばすぐにでも映画館へと足を運ぶのが楽しみです。

劇場再開、それは5月の下旬か、6月に入ってからなのかはわかりませんが、世界的な規模での新型コロナウイルスの蔓延による緊急事態宣言なので、これは自分たちの身体に関わることなので、何とも言えませんが、いつまで続くのかは政府の方たちの意思にお任せするしかありません。

物語は近浦監督の長編デビュー作であり、第70回ロカルノ国際映画祭、第42回トロント国際映画祭短編部門で上映された「SIGNATURE」に続く物語で、家族の期待を背負い、日本企業に技能実習生としてやってきた中国人青年チェン・リャンが主人公。劣悪な労働環境に絶望して研修先から失踪し、不法滞在者となったチェンは、借金返済のためにリウという他人になりすまして山形の小さなそば屋で働き始める。そこでそば職人の弘(藤竜也)と出会い、人生に一筋の光を見出していくというストーリーであります。

劣悪な職場から逃げて不法滞在者となり、東北の蕎麦屋に流れ着く。まさに現在的な題材であり、しかも日中合作で意欲的な作品と言えるでしょう。青年は蕎麦屋の住み込み店員になったものの、蕎麦については何も知らなかった。出前の配達の仕事をおどおどとこなす合間に、店主の藤竜也が蕎麦を作る姿をひたすら見つめているわけ。

中国人俳優ルー・ユーライと藤竜也。いつも不安げな青年と、鮮やかな手さばきで蕎麦を打つ寡黙な老店主。この組み合わせが絶妙であり、店主は何も青年に聞かずに受け入れてはいるが、何時、両人の意思疎通が本格化して、別の名前の偽造パスポートを持つ青年の身元がバレるのかが、サスペンスが高まってゆくのが見どころである。

 

それと、店主と自分の息子の不和、青年の淡い恋、刑事の出没など、いろんな出来事が配置されているのだ。藤竜也の捏ね上げた蕎麦を切ってゆくシーンが秀逸であり、黙々と手を動かすだけだが、トントントンと小気味のいい音が耳に聞こえてくるのだ。

蕎麦屋での日々が続く中で、青年が中国を出発するまでのシーンが点々と挿入され、彼がどんな境遇のもとで日本へ来たのかを描きだしていて、中国での猥雑な街の模様とか、厳しい祖母と優しい母親の姿が、生々しく浮き立って浮き立って見えた。食べ物を作るアクションや、祖国に残した肉親の情愛。この二つの要素が渾然なって深い感銘をもたらしていた。

本作でそば職人を演じた藤は、そば処として知られるロケ地・山形県大石田町の職人から指導を受けたといい、朝3時に起き撮影前に卒業記念の意味を込めて、職人さんやご近所50人前のそばを打ったと思い出を語った。

ルー・ユーライが演じるチェン・リャン(=リュウ)と、彼に根気強く蕎麦打ちを伝授する弘の関係が軸となる。たとえば、リュウが弘に向かって初めて「お父さん」と呼びかけたときの、藤竜也が背中だけで表現する感情。あるいは、リュウの問題を知った後、複雑な思いを秘めながら我が息子のように受け入れようとする表情とか。頑固さと包容力が共存する弘と、誠実で危うげなリュウが心を寄せ合う、儚い夢のような時間が永遠に続けばいいのに、と思わずにはいられなかった。
それと、あの有名なテレサ・テンの名曲「時の流れに身をまかせ」が、劇中で流れてくるのが印象に残りました。

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・37  アクション・アドベンチャーランキング

 

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