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●霜月(しもつき)


11月は旧暦で言えば冬、霜が降りると言うので
「霜月」と言うのが最も一般的な呼称です。
また10月が神無月であったのに対し11月は神々が出雲から帰って来て
それぞれの神社に収まるという意味で「神帰月」「神楽月」などとも言います。

霜月について、平安末期の歌人・藤原清輔(ふじわらのきよすけ)は
『奥儀抄(おうぎしょう)』で、「十一月(しもつき)、霜しきりに降る
ゆえに霜降月(しもふりつき)といふを誤(あやま)れり」と
多く霜が降る月が誤って霜月になったと記しております。
11月の霜月説はこの藤原清輔の解釈がほぼ定説になっており
異説はあまりありませんが、陽光が弱まり
ものが「凋(しぼ)む月」、が霜月に転訛したとする説があります。

月の別名としては、冬籠りをする前の雪を待つ「雪待月(ゆきまちづき)」
雪を見る「雪見月(ゆきみづき)」。
10月に出雲に出向いた神々が帰るので「神帰月(かみきづき)」。
収穫感謝と来年の豊作を願う里神楽が各地で催される「神楽月(かぐらづき)」。
昔の歌舞伎役者は芝居小屋と1年契約で、旧暦11月の興行で
華やかにお披露目するところから「顔見世月(かおみせづき)」。
旧暦11月を「子(ね=ねずみ)の月」とも呼び
子の月1日は芝居の世界では元日でした。
ほかに暢月(ちょうげつ)、建子月(けんしづき)、などがあります。

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現在では11月は晩秋、芸術的な香りのする気候であります。
まず「文化の日」があり、文化財保護強調週間、教育文化週間など、
文化の付く行事が多く、15日には「七五三」があり微笑ましい光景があります。
寒に入る前の最も良い季節と言われています。

11月は1年のうちで最も変化のある月です。
初旬はまだ青空高く秋晴れの好天気が続きますが
立冬を過ぎると、朝晩の気温が下がり寒さを感じるようになります。
中旬には霜が降りはじめ、山野や街路樹の木々が
華やかな黄葉や紅葉の色彩りを濃くしていきます。
下旬は落葉が舞い、初雪の便りも聞かれ
寒い冬の到来が近いことを知らせます。
11月は日本の風土を象徴する月ともいえます。

秋から冬にかけて心もしっとりする季節。
心が澄み渡るような空気感。
寒さとともに深まる紅葉が目に染み、そして紅葉が散るともう冬です。
立冬を迎え、暦の上では冬となります。
七五三や酉の市で華やぐ中、紅葉から落葉の季節となり
寒い地方には冬将軍が訪れます。
翌年の年賀はがきが発売され下旬には喪中欠礼状が届きはじめます。

11月は全国的な秋晴れは比較的には多いのですが
別称「霜月」と言うように北の方から寒冷前線が下がってきて
局地的には天候が悪化したり
月中には霜が降りたりすることがあります。
そして立冬を過ぎると冬が駆け足でやって来ます。
健康上も家事の上でも冬支度の準備を怠りなくして置きましょう。 
11月は晩秋から初冬へと季節が移り変わります。
小春日和と呼ばれると呼ばれる暖かな日も訪れますが
立冬(11月7日頃)の頃には北西の季節風である木枯らし1号も吹き始めます。
暖房が欲しくなるのは、朝の最低気温で5~6℃が目安でしょう。
そろそろ暖房器具やコート等の冬支度が必要になってくる時期です。 

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11月は収穫への感謝と来年の豊作予祝の神楽や
関東でとくに盛んな酉の市、全国規模の七五三の宮参りなどを眼にします。
宮中では最も重儀とされる新嘗祭(にいなめさい)
その前日には秘儀・鎮魂祭などがあります。

酉の市は本来、酉待(とりまち)と云いました。
まちは祭りを意味する古語で、「とりのまつり」の転訛したものです。
大阪の大鳥神社から関東に勧請された鷲(おおとり=大鳥)神社系で
11月の酉の日に行なわれる祭礼です。酉の日は12日に一度巡ってきます。
たいていは月に二回ですが、一の酉が月初めにあると
二の酉、三の酉まであります。三の酉まである年は活気がありすぎて
火事が多いという俗説があります。

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時候の挨拶
菊薫る候  晩秋の候  深秋の候  向寒の候  紅葉の候  暮秋の候
初霜の候  霜降の候  初冬の候  小春日和の好季  向寒のみぎり
向寒のおりから  朝晩めっきり寒くなって参りました
穏やかな小春日和が続いております  落ち葉舞う季節となりました
日増しに寒さが加わって参りました

季節:初冬(しょとう) ※立冬から大雪の前日まで。

他の別名
神楽月(かぐらづき) 子月(ねづき)
霜降月(しもふりづき)
雪待月(ゆきまちづき)
建子月(けんしげつ)
暢月(ちょうげつ) 達月(たつげつ)
復月(ふくげつ)
神帰月(かみきづき)
天正月(てんしょうづき)

七十二候  時候  期間    季節の変化に伴う自然現象 

立冬・初冬 初候 11/7~1   ・山茶花の花が咲き始める頃 
初冬    次候 11/12~16  ・大地も凍り始める頃 
初冬    末候 11/17~21  ・水仙の花が咲き始める頃 
小雪・初冬 初候 11/22~26  ・虹もかからなくなる頃 

11月ともなれば、さすがに朝夕は随分冷たいものです。
街路樹の紅葉も美しく、風もないのにはらはらと落葉し
かさこそ乾いた音を立てるのも晩秋の風情ですね。

▪ 立冬の初候、山茶始開(つばきはじめてひらく)
「柴垣を透く日も冬に入りけり」 久保田万太郎
「朝な朝な粥食ふ冬となりにけり」 正岡子規
「山茶花のこゝを書斎と定めたり」 正岡子規

サザンカの花が咲き始める時節。
ここで山茶をつばきと読んでいますがサザンカのことを意味します。
サザンカは朝夕の冷たい空気に誘われるように咲き始め
冬のさなかにも咲き続けます。

▪ 立冬の次候、地始凍(ちはじめてこおる)
大地も凍り始める時節です。
この頃には日も雲も庭も凍りついているように思える日があります。
「凍てきびしかりし名残のある庭に」 稲畑汀子
「里人はしみるといひぬ凍きびし」 高濱虚子
凍るとは水以外のものがこおることをさし
水がこおるのは、氷ると書きます。

▪ 立冬の末候、金盞香(きんせんかさく)
金盞とは、黄金の杯のことで水仙の異名。花央の部分を杯に例えています。
香として、咲くことを意味しているのは水仙の香りをあらわしています。
また冬の寒さの中すっと茎を伸ばした凛とした姿が好ましいものです。
「水仙にさはらぬ雲の高さ哉」 正岡子規

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・・・紅葉にまつわる言葉・・・

◆錦秋(きんしゅう)・・紅葉が鮮やかな織物のような美しさを見せる秋のこと。
◆紅葉狩り(もみじがり)・・山などに出かけ、紅葉の美しさを楽しむこと。
◆山装う(やまよそおう)・・秋の山が紅葉によって美しく色づく様子。
◆初紅葉(はつもみじ)・・初めて目にする色づいた紅葉。
◆照葉(てりは)・・秋の陽ざしを受けて、照り輝く紅葉のこと。
または照葉樹の葉が紅葉する様子。

『露隠葉月』(つゆごもりのはづき)
露は秋に一番よく見られ、秋という季節を象徴する風物でもありました。   
旧暦11月は、初冬にあたります。   
このころになると葉にかかる露も姿を消してしまいます。  
凍って霜になるからです。

ちなみに「露見草(つゆみぐさ)」は薄(すすき)
「露取草(つゆとりぐさ)」は里芋(さといも)
「露湛草(つゆたえぐさ)」や「露玉草(つゆたまぐさ)」は
蓮(はす)の異称。どれも葉に置いた露が美しく映える草花です。

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文化の日 11月3日
「自由と平和を愛し、文化を薦める」ことを趣旨とした国民の祝日。
1946年に日本国憲法が公布された日で、日本国憲法が平和と
文化を重視しているということでから「文化の日」に定められました。 
※日本国憲法は半年後の1947年5月3日(憲法記念日)に施行されました。
この日皇居では文化勲章の授与式が行われます。

勤労感謝の日 11月23日
「勤労を尊び、生産を祝い、国民が互いに感謝し合う日」として
1948年に制定されました。終戦までは新嘗祭(にいなめさい)の日。
アメリカの感謝祭(サンクス・ギビング・デー)に相当するもの
とされていますが戦後廃止された新嘗祭を
「勤労感謝の日」に改めたのでしょう。

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[七五三]
三歳、五歳、七歳の子のお祝いです。
新暦11月15日に子どもの成長を祝い、厄を祓う行事。
通常、女児は三歳・七歳、男児は五歳の時に祝うものが一般的です。
兄弟・姉妹などではその年齢に関わらず
一緒にお祝いしてもよいとされています。
晴れ着姿の子供達は、親に連れられて神社に詣でる。
お祓いを受けてから祝をもらった親戚や知人に
千歳飴を持って回礼するのが習わしでした。
江戸時代の武家社会のしきたりが一般化したもので
当時、武家の子女は3歳で男女とも初めて髪を伸ばす「髪置きの儀」を行い
その後、男児は5歳になると初めて袴を履く「袴着の儀」
女児七歳の祝いは「帯解きの儀」
(おびとき⇒幼女が用いる付け帯をやめて初めて普通の帯を用いること)を
行ったとも云われています。
武家の行事が民間に広がったもので、もともとは質素だったそうです。
七五三と呼んで祝うようになったのは明治以降のこと。
千歳飴は江戸時代に浅草寺境内で売られたのが始まりだそうです。
かつては「麻疹(はしか)」などの難を逃れて
子どもが無事に成長した祝いでもあったという。

立冬(りっとう)
11月8日頃(2014年は11月7日)。
および小雪までの期間。
太陽黄径225度。霜降から数えて15日目頃。 
立冬とは、冬の始まりのこと。
「立」には新しい季節になるという意味があり
立春、立夏、立秋と並んで季節の大きな節目です。 
※これらを四立(しりゅう)といいます。
朝夕冷えみ、日中の陽射しも弱まって来て冬が近いことを感じさせる頃。
木枯らし1号や初雪の便りも届き始めます。
立冬を過ぎると、初霜が降りて冬の佇まいへと変わります。
この日から立春の前日までが冬。

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小雪(しょうせつ)
11月23日頃(2014年は11月22日)。
および大雪までの期間。太陽黄径240度。
立冬から数えて15日目頃。 
北国から雪の便りが届く頃ですが、まだ本格的な冬の訪れではありません。
雪といってもさほど多くないことから、小雪といわれたものだそうです。
陽射しが弱くなり、紅葉が散り始める頃。
いちょうや柑橘類は黄色く色づいてきます。
次第に冷え込みが厳しくなってきますので、冬の備えは整えておきましょう。
お歳暮の準備をする目安にも。
※「こゆき」ではなく「しょうせつ」と読みます。お間違いなく。
気象の「小雪」
気象庁の予報用語における「小雪(こゆき)」は
数時間降り続いても、1時間あたりの降水量が1mmに満たない雪のこと。
※北日本や日本海側の地方で「小雪」の表現が適切でないときは
「雪」の表現を用いるそうです。

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「霜消し」という言葉があります。
これは霜が降る夜の寒さを消すほど暖まるということから
お酒を飲むことをいいます。

霜が降りるほどの朝晩の冷え込みは骨身にこたえるもの。
特に、暖房が十分でなかった時代ではなおさらだったことでしょう。
江戸時代末期の歳時記では「旅人などの朝酒をいう」とあります。
当時の旅人は早朝に発ちますから、最も冷え込む時間。
少しからだを温めてから出発したのでしょう。
のん兵衛さんたちが口実に使った言葉ではないかという気もしますが
それでも、霜夜のしみじみとした風情が感じられて
味わいのある言葉ではないでしょうか。 
冷え込んだ夜「霜消しに一杯どうですか」などと勧められると
つい「それでは…」となりそうです。

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朝夕の冷え込みが厳しくなり日中でも
上着なしで過ごすのは少し辛くなってくる時期。
寒い北風が吹き始めたり、急激な冷え込みが襲ってきたりすると
体調を崩される方も増えてきます。
風邪の予防には「お茶でうがい」を実行しましょう。
お茶に含まれているカテキンには殺菌効果がありますので
外出から帰ったらすぐにうがいをする習慣を。

それでも風邪をひいてしまったら、薬に頼る前に
古くから伝わる民間療法を試してみてはいかがでしょう。
卵酒やショウガ湯などの他、角切りにした大根をはちみつ漬けにして
上澄みをお湯で溶いて飲む大根あめも効果的です。
とにかく「風邪かな?」と思ったら栄養のあるものをたっぷり摂って
暖かくして睡眠を充分に取ることが第一です。

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■秋の暮 

“春はあけぼの”と書いた清少納言が“秋は夕暮”と讃えています。 
「夕日が射して山の端に沈もうとしている頃、夕焼けを背景にした烏が
ねぐらに帰ろうとして三羽四羽、あるいは二羽が
思い思いに連れだって急ぐのも感慨深い。まして雁などが列になって
小さく見えたりするのは興趣がそそられる」と書いていますが
人生をこの季節に重ねて思うひととき、多くの人が詩人になるようです。
 「この道や行く人なしに秋の暮」 芭蕉

寒さとともに深まる紅葉が目に染み、そして紅葉が散るともう冬です。
立冬を迎え、暦の上では冬となります。
11月ともなれば、さすがに朝夕は随分冷たいものです。
街路樹の紅葉も美しく、風もないのにはらはらと落葉し
かさこそ乾いた音を立てるのも晩秋の風情。

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