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最新情報 前立腺がんの診断と治療

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2020年08月09日
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カテゴリ:前立腺がん

◆◆ 男性ホルモン、性的活動と前立腺がん その3男性型脱毛症 ◆◆

 

前回、

強い相関ではないようですが、男性ホルモンが高い人は前立腺がんになりやすいのは確かそう。

という話をしました。

 

強い相関ではありませんので、あまり真に受けないでほしいのですが、

この関連の研究は、実はいくつかなされています。

 

​​​​<男性ホルモンが高い人とは?>​​

骨太で、胸毛があって毛深く、筋肉もりもりで、髪の毛はやや薄い印象。

 

<男性型脱毛症>

この脱毛は、前額部や頭頂部が薄くなるものです。

男性ホルモンとの関連がいわれていて、治療には、抗アンドロゲン薬(男性ホルモンの作用をブロックする)を使用します。


前立腺がんで内分泌療法を行っている方に、頭髪が増加し、

逆にいん毛や胸毛、体毛が減少したと言われることはよくあります。

このように男性ホルモンの多寡と男性型脱毛症は関連がありそうです。

 

このブログで、男性型脱毛症の治療に抗アンドロゲン剤を用いる話をしました​(話はそれますが、抗アンドロゲン剤は血中PSAの値を半分にするので注意が必要です)。

 

実は、以前より男性の脱毛のパターンと前立腺がんの関連性をみる研究がいくつかなされています。

これからお話しする研究は、あくまで、1論文、臨床試験の報告です。

きちんと論文になっていますから、ある程度の信頼性はありますが、正しいかどうかは、別問題ですので、了承の上、目を通してください。

 

ある論文で、結論としていわれたことが、別の論文で正反対の結果となることはよくある話です。

 

 

 

<男性型脱毛症と前立腺がんの死亡リスク>

Journal of Clinical Oncology20152月号

Relationship Between Male Pattern Baldness and the Risk of Aggressive Prostate Cancer: An Analysis of the Prostate, Lung, Colorectal, and Ovarian Cancer Screening Trial

Journal of Clinical Oncology 33, no. 5 (February 10, 2015) 419-425.

この論文は、無料公開で、誰でも見れますので、この論文から、以下の図を引用させてもらいます。

 



男性型脱毛症のパターンと前立腺がんのリスクを前向きに検討しています。

この研究によると、39070人の45歳時の脱毛パターンと前立腺がんの関連を追跡調査しています。

中央値2.78年の経過観察中に、この中で1138人が前立腺がんと診断されました。

そのうち、571人が aggressiveな(悪性度が高い)前立腺がん(グリソンスコア7以上、臨床病期III以上で、かつまたは、死亡するようなもの)。

脱毛パターンとの関連は、45歳時に、脱毛のない人と比較して、前額部プラス頭頂部の中等度の脱毛がある人は、1.4倍悪性度の高い前立腺がんが多いとの結果でした。

前額部プラス頭頂部の中等度の脱毛というのは、この論文では、図の上から4番目の脱毛パターンです。





なお、この研究では重度の脱毛症(上から5番目のパターン)と悪性度の高い前立腺がんリスク増加との関連性は示されていません。

これは重度脱毛症の対象者数が少なかったため、数が不十分で、統計学的な研究で関連性を見出すことができなかったと記されています。

 

結論としては、

脱毛パターンとの関連は、45歳時に、脱毛のない人と比較して、前額部プラス頭頂部の中等度の脱毛がある人は、1.4倍悪性度の高い前立腺がんが多いとの結果でした。

1.4倍の差でしかありませんが、有意な差ではあるようです。

 

男性ホルモンが高い → 男性型脱毛症 → 悪性度の高い前立腺がんになる

 

という話にしたいのでしょうが、わずか1.4倍の差でした。

1.4倍は大きな数字ではありませんから、男性型脱毛症が、

悪性度の高い前立腺がんになるとは大きな声では言えません。

 

<別の研究の男性型脱毛症と前立腺がんの死亡リスク> 

もう1つの研究結果が 20154月、フィラデルフィアで開催された米国癌研究会議(American Association for Cancer Research)で発表されています。

 

皮膚科医の判定により“脱毛なし”“軽度”“中等度”“重度”に分類された25歳~74歳の4000人超の米国人男性での研究です。

調査対象期間の
21年間で、脱毛症の男性はその重症度に関係なく、脱毛症ではない男性に比べて前立腺がんの死亡率が56%高かった。

さらに“脱毛症中等度”の男性では、“脱毛なし”に比べて同死亡率が
83%高かった。

高レベルの男性ホルモンが両疾患(脱毛症と前立腺がん死亡)に関与。

つまり、男性型脱毛症の人は男性ホルモン値が高いということが判明しており、このホルモンは前立腺がんの細胞の増殖も促していて、前立腺がんによる死亡率を上昇させた。

 
<別の研究の男性型脱毛症と前立腺がんの死亡リスク> 

また、2011年にはAnnals of Oncology 誌の報告で、20代で脱毛が始まる男性は、そうでない男性よりも前立腺がんのリスクが高いという研究報告もあるようです。

 


これらの研究はあくまでも男性型脱毛症と前立腺がんとの関連をみています。

 

『男性ホルモンが高い = 悪性度の高い前立腺がんになる』

かどうかはよくわかっていない、断定できないと思います。

 

別の研究では、診断時に男性ホルモンが高い人のグリソンスコアは低い(悪性度は低い)という研究もあります。

 

男性ホルモンが高いからといって、悪性度の高い前立腺がんになりやすいというわけでもないようです。

 

 




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最終更新日  2020年08月19日 05時37分02秒
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