仏教情報センター機関誌「仏教ライフ」秋彼岸号のコラム「お坊さんのイイ話」の原稿を書いた。推敲3度目。

先日届いた「お盆号」の「お坊さんのイイ話」は

「社会は、厳しい」?

子どもの頃、大人になったら社会は厳しいから、

しっかりがんばりなさいとよく言われました。

 

いざ大人になると、一人で生きていけるほど、力も才能もないのに気づかされます。

でも、苦しいことだって辛いことだって、

必ず誰かが助けてくれたり、支えになってくれています。

 

私は、世の中は何とかなるよと教えるのが、本当だと思っています。

 

私(和尚)、楽天家なんです。

                    曹洞宗相談員 土本公祥

 

自殺自死を思っている人には、この話はイイ話となるだろう。現実では、助けや支えが足りないことがあるかもしれないが、何とかなるよという望みを持ちたいものだ。

有名な一休宗純和尚の「大丈夫 心配するな 何とかなる」と同じことを言っているのだろうな。

支える人、助ける人を良き友と言っていいかもしれない。その良き友が見つからなかった場合はない訳ではない。その時でも必ず見つかると言い続けるのだろうが、ぎりぎりの瀬戸際でない日常の時は自立する精神で生きたいものだというのが、私のイイ話。

 

ソーシャルディスタンス。

 

何故に英語使用か分からないが、コロナ禍の今年によく聞いた言葉。

 

自他ともに大切に思うからこそ、距離を取ろうという

新型コロナウイルス感染防止策のひとつ。

 

コロナ以前も別の意味合いで賢人によって言われてきた。

 

「人に寄りかかって歩くと、人も歩きにくいし、自分も歩きにくい」

 

「君子の交わりは淡きこと水の如し」(前者は下村湖人。後者は孔子)

 

本能のままにしていると密集・密接になりやすい人間の性。

 

多勢に流される人々。だからこそ呼び掛ける精神の自立を。

 

「犀の角のようにただ独り歩め」はブッダの言葉。

 

つながりが強化された社会だからこそ、 

つながりからこぼれ落ちた存在を認め、

孤独を怖れる必要はないと説くブッタがいる。

 

コロナ以後も、心は基本、ソーシャルディスタンス。

 

              真言宗豊山派相談員  小川亮昌