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神尾真由子さん [クラシック演奏家]

あの衝撃の2007年のチャイコフスキー・コンクールの優勝。


いまでこそ、国際コンクールで日本人演奏者が優勝したり、入賞したりすることはそれほど珍しくなくなってきたけれど、まだ10年前の2007年当時は大センセーショナルだった。


しかもコンクールの名門中の名門。チャイコフスキー・国際コンクール。


諏訪内晶子さん以来の大快挙、ということで、日本中が沸きに沸いたことを覚えています。
まさに自分はそのときのリアルタイム世代ど真ん中。


あれは興奮したなぁ。


いまの日本人優勝、入賞の衝撃度とはくらべものにならないほど大センセーショナルだった。


あのセンセーショナルな大事件の中に自分がリアルタイムでちゃんとその中にいた、というのは本当に人生の宝物でしょう。


神尾真由子さんとの出会いは、もちろんそこが起点だった。


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その後、BSだったと思うけれど、そのときのチャイコフスキー・コンクールの模様をTV特集したときに見ていて、そのとき自分は神尾さんが本選で弾いたシベリウスのコンチェルトに無性に嵌ってしまい、相当入れ込んで聴き込みました。(ピンクのドレスだったと思いました。)


シベリウスのコンチェルトはどちらかというと解釈が非常に難しくて、少なくとも一般受けするようなポピュラーな曲ではないが、自分はこのコンクールで神尾さんのシベリウスを聴いたことがこの曲に嵌るきっかけになって、それ以来自分はこの曲に対する印象が随分違ってきて、自分にとってこの曲がヴァイオリン協奏曲の勝負曲にまで昇りつめた、という出会いの経緯があるのだ。


神尾真由子さんのそのデビュー当時の魅力は、諏訪内晶子さんが日本古来の正統派の美人としたら、神尾さんは、どちらかというと、ちょっと小悪魔的なセクシーさがあって、男性にとってはドキドキと誘惑させられるような、そんなある意味ちょい悪的なセクシー美人のようなヴィジュアルだった。(男性って、じつはそういうタイプの方に弱かったりするんですよね。(笑))


それ以来、ずっと神尾さんのことはファンとしてずっとウォッチしてきたし、自分の記憶にある限り、実演にも4回くらいは馳せ参じているのではないか、と記憶しています。


ところが、ここ最近ずっと気にかかっていたことがあって、神尾真由子さんのことについて、きちんと自分の日記で語っていない、ということ。


これはかなり気まずい感じで、こりゃいかんな、とどうしようか日々悩んでいた。いわゆるヒラリー・ハーンのときと同じで、ファンでいて、CDディスコグラフィーも聴き込んでいて、演奏会にも何回も通っているにも関わらず、日記でちゃんと語っていない、ということ。


これはなんとかしないといけないな、とずっと自分の心の中で引っ掛かっていた課題だった。チャンス、きっかけを探っていた。


そんな風に思い悩んでいた時に、つい先日、藤岡幸夫さん&東京シティ・フィルの首席客演指揮者就任披露公演で、ソリストとして神尾真由子さんが登場した。


これを見て、久し振りに神尾さんが檜舞台で大活躍されているのを嬉しく拝見した。


藤岡さんも神尾さんと初共演ということで、ずいぶんとSNSの投稿で盛り上げてくれたので、それで自分も、よし!いまだ!時到来、ぜひ自分の日記で語ろう!と思ったのである。


自分には神尾真由子さんについて語れる資格は十分にある。

それだけの経験がある。


もちろん神尾さんの熱狂的大ファンである、うさぎ仮面さんには敵いませんが、ほどほどにご容赦を。(笑)


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神尾さんの実演を4回ほどじかに接してみて、自分が抱く印象は、非常にダイナミックな奏法で男性的なパワフルな奏者である、ということ。そういうスタイルがご自身の意識しない本能的なところで成立しているので、切れ味の鋭いボーイングに、奏でる音に力強さがあって、なんといっても歯切れがよい。


本当に男勝りの奏法。


聴いていて本当に気持ちがよくスカッとするのだ。


そのダイナミックな奏法は、もちろん演奏パフォーマンスにも現れていて、非常に動的スタイルな格好よさがある。


それがまず自分が神尾さんに抱く第1印象。


逆に優しい女性的なメローな曲もいささか男性的な感情表現になってしまう傾向にもあること。


でもそれは若い頃の若気の至りというか、自分がより女性的で柔らかな面持ちになってからの神尾さんの演奏を聴くと、そういうところも軽減され、より女性的なオーラも十分醸し出されるようになった、と思う。


そんな感じだろうか。


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いまでも忘れられないのは、2012年4月30日の軽井沢大賀ホールでおこなわれた大賀典雄メモリアル軽井沢大賀ホール 春の音楽祭に行ったときのこと。この日の自分が選んだプログラムは、前半が諏訪内晶子さん、後半が神尾真由子さん、という今では信じれられない贅沢なプログラム。


この日はテンションが上がって、軽井沢現地でSNS投稿でハシャイでいたら、「諏訪内に神尾。なんて贅沢な・・・羨ましすぎ!」と読者から冷やかされたのを覚えています。(笑)


神尾さんはチャイコフスキーのコンチェルトという、まさにヴァイオリン協奏曲の王道の曲を演奏された。井上道義さん&オーケストラ・アンサンブル金沢に、ヴァイオリン独奏:神尾真由子という組み合わせ。


これは格好良かったねぇ。


シビレルとは、まさにこのことを言うのだと思います。


やっぱりチャイコフスキーのコンチェルトは耳タコ名曲だけあって、絶対盛り上がるんですよ。


「神尾さんは胸元が大きく空いた、肩、背中を露出する 大胆なベージュのドレス。
 
神尾さんは諏訪内さんと正反対で、とても男性的な弾き方。両膝をしっかり曲げて体を左右に激しく揺らしながらかなり動きながら弾く傾向がある。


”静の優雅な諏訪内に対して動のダイナミックな神尾という感じ。”


このコンチェルト、ソリストにとって聴かせどころ満載で、また彼女の18番の曲でもあって、見事な演奏だった。


後半のグルーブ感、疾走感からのエンディングは背筋がぞくっとする素晴らしさ。 諏訪内さんの華麗なソナタを聴いた後にダイナミックな神尾さんのコンチェルトを聴くという順番は盛り上がり、という点でも正当な順番だと 思いました。」


と、このように当時の日記で書いていた。


自分が3年間、定期会員だったミューザ川崎の東京交響楽団での名曲全集でも、神尾さんはソリストとして登場した。2014年12月27日で、指揮者が秋山和慶さん。


このときの演目が残念ながら覚えていないのだけれど、昔よりもずっと角がとれたというか柔らかい表現で、神尾さんもより大人の女性らしくなったのかなぁとその当時思ったことを覚えています。


そのときのカーテンコールは撮影しました。(笑)


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神尾さんが経年ともにより女性的な柔らかさ、繊細な感情表現が滲み出てきたのも、自分の想像だが、やはり結婚が大きなきっかけであったのではないだろうか?


2013年に、ロシア人ピアニストのミロスラフ・クルティシェフさんと結婚し、2015年に第一子を出産。


いまはおそらく育児とともにソリスト生活も兼任する、という大変な時期だと思うが、自分が神尾さんのコンサートに行っていた時期と、この結婚、子供が生まれる時期とで、その動的ダイナミックな奏法からより女性らしさが醸し出される雰囲気が出てきたタイミングが合致するのだ。


風貌も、より柔和で優しさが滲み出てきて、温和な表情になった。
小悪魔的なセクシー美女から、優しい柔和な美人の表情に変わっていったと思う。


ピアニストの旦那さまと結婚した当時、日本のTV番組が長期密着取材をして、ロシアの自宅の中で、旦那さまピアノと神尾さんヴァイオリンで稽古をしたりする風景。結構キツメなアドヴァイス・コメントを旦那さまに投げかけるシーン、そしてピアノ旦那さまと神尾さんヴァイオリンで、ロシアのホールで夫婦でのヴァイオリン・ソナタのコンサートをやっていくシーンなど。。。(2011年に拠点をニューヨークに移して、結婚は2013年なので、アメリカでの話かもしれません。
自分の記憶では確かロシアだったような・・・)


確か録画していまでも残っていると思うけれど、神尾ファンとしてはちゃんと興味深く拝見していました。


ディスコグラフィーのほうは、意外やあまり録音の数は多くない。
2008年 Sony BMG Masterworksと専属契約をして、いままで5枚のアルバムをリリースしている。


自分は、その中で、PRIMO、パガニーニ:24のカプリース、チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲の3枚を持っています。


その中で、やはりお勧めなのはこれ。



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24のカプリース
神尾真由子



デビュー当時の小悪魔的でちょい悪的なセクシー美人とは、まさにこのジャケットのような感じでした。


最高でした!


パガニーニの24カプリースは、ヴァイオリニストにとっては、非常に難度の高い超絶技巧の集まりのような曲で、このアルバムでは、その神尾さんの最高のテクニックが堪能できる最高の作品だと思います。



2011年に拠点をニューヨークに移している。


使用楽器は、2001年8月、サントリーから1727年製ストラディヴァリウス(以前ヨーゼフ・ヨアヒムが所有、使用していたもの)を貸与されて弾き始めた。


2012年に、その約10年使用していた上記のストラディバリウスを返却、米国・ストラディバリ・ソサエティーから1735年製グァルネリ・デル・ジェスの貸与を受け、使用している。


2017年5月より宗次コレクションから1731年製ストラディヴァリウス“ルビノフ”を貸与。

 

そのときの写真です。


日本ヴァイオリンにて貸与式が行われ、宗次コレクションよりヴァイオリニスト 神尾真由子さんにストラディヴァリウス1731年製作"Rubinoff"が貸与されました。


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(c)日本ヴァイオリンFB


将来有望な奏者には、このように名器を貸与することは、至極当然で素晴らしいこと。でも貸与する、ということは、いつかは返却しないといけなく、それは協会側からするとなかなか言い出しにくいことでもありますね。


難しい問題です。


こういうヴァイオリンなどの名器は、やはり芸術的文化の根付いた価値観を理解できる国で、しっかり管理してほしいです。経営難とかで中国マネーのようなところに買い占められて、貸与られるアーティスト、選考基準も、その方の好みみたいになったら、もうこの世の終わりですね。


そういう意味で、日本ヴァイオリン、ぜひ芸術文化精神に乗っ取った正しい選考基準で今後も頑張ってほしいし、神尾真由子さんに貸与されるのは、まさに絶対的な適任者と言えると思います。


最近のニュースで、ブラインドテストで、「聴衆は、ストラディヴァリウスよりも現代のヴァイオリンを選んだ!」というのが賑わっていることもありましたが、これも単に聴衆の耳、音だけでなく、その弾きやすさ、演奏表現の豊かさといった面もずいぶん違うはずで、奏者の立場も参考にしてほしかったという意見もあります。聴衆だけでなく、奏者にとっても、やはりストラディヴァリウスは別格なのだと思います。


この日記を書いて、久しぶりに、また神尾真由子さんのコンサートに行こうと思いました。


来年2020年1月11日にサントリーホールで、沼尻竜典さん&東京都交響楽団で、ヴァイオリン独奏に神尾真由子さんというコンサートがあり、そのチケットをさっそく取りました。


メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。


まさに女性的な曲ですね。


いまの神尾さんがどのようにこの曲をパフォーマンスするのか、とても楽しみであります。



2022.12.17 追記


いまの神尾真由子さんは、さらに進化を遂げて、ヴァイオリニストとしてでだけでなく、女性アーティストとしてもどんどん綺麗になっていって驚くばかりです。女性演奏家は、本当に経年とともに突然化けるというか、抜群に美しくなる。大人の魅力というか、円熟の境地というか、人間としてより深み、年輪を感じさせる美しさで、これは若いときには絶対醸し出せない雰囲気ですね。若いときの格好良い美しさとは、また違うんだな。女性はやっぱり経年のほうが断然いいです。これからもますます大活躍されていくことをお祈りしています。



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